おかえり
外からは堕鎮が外壁を攻める音が聞こえてくる。
イヴの話を聞き終えたノアは沈黙している。今の世界の成り立ちを知り、驚きと混乱を隠せずにいる。
「イヴさんが今の世界を作ったんですね。」
「まぁそうなるね。ワイアットがいなければ不可能だったけど。」
「あと1つ疑問が、堕鎮はなぜ生まれたんですか?どうして機械が堕鎮になるのかが分かりません。」
「それは蛇の呪いのせい。蛇が機械から魂を吸い上げ己の養分としているの。呪いの耐性が無い者から魂を吸い取られ堕鎮になる。」
「そんな……。」
ということは、堕鎮にはもう機械だった頃の意識は無いということなのか…。
ノアは堕鎮になってしまった機械たちを元に戻す術が無いことを悟った。
「今はこれ以上の説明をしている暇は無い。世界中に出現した堕鎮をどうするかを決めないと。」
イヴはノアを一瞥し、顔を引きしめ話を進めた。
「そうですね。あの数の堕鎮ではここもそう長くは持ちません。殲滅戦に出るべきでしょう。」
「そうだね。そうするしかない。」
風花がアンマの意見に賛同した。
ノアが俯き黙っているとイヴが声をかけてきた。
「ノア。理解しているとは思うけど、堕鎮を元の機械に戻す方法は今のところ無い。だから、これが現状での最善手なの。」
「はい。分かってます。俺は自分の国に戻ります。」
「おけ、じゃあ私がノアを送ります。イヴ様はどうします?」
「ファムは1人でも大丈夫だろうから、私はここに残るよ。ここが1番堕鎮の数が多いんだし。」
ノアはイヴとアンマに別れを告げ、天の馬に跨った。
ノアと風花がハイドの国の上空に移動すると、国全体が金色の結界に包まれていた。その周りには多数の堕鎮が群がっていた。
「あれがハイドの神器、天の盾の力だよ。あれの前ではどんな攻撃も呪詛も無意味。入国するには、まず私たちの存在に気づかせないと。」
そう言うと風花は天の馬の出力を上げた。ノアたちの周囲は黄金に輝き、とてつもない力を放っている。
するとこちらに気づいたのか、1機のヘリコプターが城から飛び出し近づいてきた。
「やぁ!風花じゃないか。久しぶり!」
「ハイド!話は後で!とりあえず私たちを中に入れてほしい!」
2人はヘリに着いていき結界をすり抜け国に入った。
「久しぶりだね2人とも。風花、イヴ様の意向は殲滅でいいの?」
そう言うハイドの右耳にぶら下がっている丸い耳飾りが光っており、ノアはそちらが気になった。
だが今は2人の話に耳を傾けることに集中するべきだろう。
「うん。私も里に戻るよ。まぁ、先生だけで大丈夫だろうけど。」
「分かった。ノア君はここに留まるでいいのかな?」
「はい。またお世話になります。」
「こちらこそ、お世話になっちゃうよ。僕の神器は守りに特化してるから迎撃する戦力が欲しいんだよ。ノア君けっこう強くなったみたいだし、よろしくね!」
1ヶ月後、ノアは騎士団に入り堕鎮の迎撃任務に当たっていた。
ノアの強さは騎士団の中でトップを誇り、右に出る者はいなかった。そのため倒した堕鎮のほとんどはノアの手柄だ。
「あ、あ、あぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」
ザシュッ!!!!
「大丈夫ですか!?一旦引いてください!ここは俺に任せてください!」
堕鎮に殺されかけていた機械を助けたノアは目の前にいる何十体もの堕鎮を一掃した。
「こんなもんか。とりあえずここら辺の堕鎮は片付けたかな。1度戻ろう。」
その夜、任務を交代しノアは家へ帰った。
「ふぅ…。数は減ってきてはいるけど、遠くからも集まってきているらしいから侵攻が途切れない……。」
「ノアーいるかー?」
聞き慣れた声が玄関の外から聞こえてきた。
「トーマス。今日は何を作ってきたの?」
「今日はオムライスだ!」
「今日"も"だろ?」
2人は卓に着き、トーマスが持ってきたものを食べた。
「帰ってくるまでに料理の腕を上げてるって言ったけど、まさかこんな状況になるとは思ってなかったな。」
「そうだねぇ。でもちゃんと腕上がってるよ。前よりもうんと美味くなってる。」
「嬉しいねぇ!お前も強くなってたことにはすげぇ驚いたぞ。身体の原因を突き止めに行くだけだと思ってたからな。そしたらこの国で1番強くなって戻ってくるとか、想像できねぇだろ!」
「まぁ、言われてみればそうかも。」
「そうだよ!ガブリエルがいたら悔しがるんだろうなぁ。そして毎日模擬戦を挑まれるぞ!」
「だろうなぁ。俺も嫌々やるんだろうな。」
その後も談笑は続き夜は更ける。
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