課題
前回からお待たせしてしまってすみません。
私生活の方が忙しくなってきてしまったので1ヶ月ほどストックを貯めて出すという方向に変えさせていただきます。ごめんなさい。
「先輩! ここの問題教えてください! 」
「えーっと。って、これ現代文学じゃないか。友達に聞いたほうがいいんじゃないか? 」
僕は高校2年の時に理系に決めたので現代文とかいわゆる国語系は久しくやっていない。センターは国語も一応うけたので選択式ならまだ多少攻略法も知っていたが、あずの聞いてきた問題はまさかの記述式だった。本文から抜き出せというタイプは特に苦手だ。「傍線部bにおいて主人公がそのような行動をしたのは何故か」そんなこと言われても僕には全くわからない、そういうのはあれだ、筆者に直接電話すれば良いと思うんですよ。
「課題が出てたの忘れてて、この課題の提出期限まで後1時間なんです! お願いです、意見をください! 」
「うーん、わかった。じゃあ僕に出来る範囲で考えるよ」
「じゃあとりあえず本文読んでください、その間に私は漢字とか知識問題やっておきます」
さてさて。どうやらこの問題は小説で、卒業してしまう同じ部活の先輩に想いを伝えようとするが臆病になって伝えられない後輩の女の子の物語らしい。あずさんよ、僕に女の子の気持ちは分からないよ!僕が超絶イケメンとかなら的確な意見が言えるかもしれないが残念ながらそんなことはないからね。ごく一般の大学生だからね、無理です!まぁそうはいっても考えないといけないんだけど……。
「一応読み終わったぞ、まさか女の子が主人公とは思わなかったからちゃんと意見出せるか不安だけど」
「ありがとうございます、それじゃあ早速なんですけど問2について意見ください」
問2は「卒業式の日に主人公が先輩にサヨナラを言わなかった理由を考えろ」か。うん、これっぽっちもわからないな。主人公は先輩のことが好きなんだろ、別れたくなかった、とかじゃないのかな。
「なるほど、先輩はそう考えるんですね」
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「それじゃあ最後です」
最後の問は「直前で告白するのをやめて先輩と後輩という立場を変えようとしなかったのは何故か」。流石にこれなら僕にもわかるぞ。
「最後の問題の回答はわかったぞ。そこまで先輩のことが好きではなかった、ざっくり言うとこうだな」
「……先輩、本気でそう思ってます? 」
「本気も何もそうとしか考えられないだろ。そこまで好きでもなかったから告白するまでも無いな、と気づいてやめた。うん、実にしっくりくるな」
「ちょっと先輩の価値観というか考え方を疑います、正直言ってドン引きです」
「何でだよ! じゃああずには違う意見があるってことだな、あずの意見を聞かせてくれよ」
「そう言うところがデリカシーが無いんです! もっと女の子の気持ちを考えてください! 」
「えぇ、そうは言われてもなぁ。わからないものはわからないんだよ」
「じゃあ自分と置き換えてみてください、先輩が直前で告白をやめる理由として考えられるものは何ですか? 」
「えーっと、相手に彼氏がいることがわかった、冷めるようなものを相手に見つけてしまった、とかかな」
「本当にそれだけですか? それだけなんですか? 」
「他に理由なんてあるのか?好きなら好きって言えば良い、たったそれだけの事だろ」
「……そうですか、先輩に聞いた私が間違ってました。ごめんなさい」
そういってあずは走ってどこかに行ってしまった。僕が怒らしてしまったんだよな、でも理由が全く分からない。意見を求められたから自分の意見を言った、それだけである。
「あー、何でだぁ。僕に女の子の気持ちがわかるわけないだろ! 女の子の気持ちなら絶対あずの方がわかってるよ。……このままあずサークルやめちゃうのかな、そうなったら嫌だなぁ」
色々分からなくて思わず叫んでしまった。とはいっても僕にはどうすればいいのか思いつかない。謝ればいいいのだろうか、変なこと言ってあずをこれ以上傷つけちゃったら嫌だし、でもさよならするのはもっと嫌だし。誰かに思ってることを伝えるのってこんなに難しいことだったのか。自分の言いたい事だけじゃなくて相手がどう思うか、どのような影響があるのか、まで考えないと言葉一つ言えない。でも一つだけ確かなのは
「あずと一緒にいたい」
ガチャ
「あず!? ど、どうしたんだ? 」
「荷物、忘れちゃったんで、取りに来たんです。それよりも今の言葉は本当ですか? 」
「今の言葉?? 僕何か言ってたか? 」
「だから、その、私と ……一緒に、いたい、って」
「え、声に出てたのか! 恥ずかしい……」
「それで、本当なんですか!? 」
「それはもちろん本当だよ、あずがいないと寂しいからね。でも僕にはなんて言えばいいか分からないんだ。あずを傷つけたくないし、でも僕の気持ちもわかって欲しいし……」
「あー、あー、わかりました、わかりましたから。一旦落ち着いてください。恥ずかしいです」
「え、ごめん。あぁやっぱり僕はダメダメだね」
「もういいです、先輩の気持ちはちゃんと伝わりましたから! (伝わり過ぎましたよ、本当にもう……)今回のことは私も悪かったです、だから、ごめんなさい」
「何であずが謝ってるの。あずは悪くないよ、全部僕が……」
「はいはい、わかりました。じゃあ先輩にはお詫びとしてアイス買って貰います! さあ、帰りますよ! 」
「え、えーーーー。何がどうなってるんだー、僕には全く分からないよ」
「先輩は先輩のままでいいです! 私はちゃんと分かってますから! でも、親しい人ほど素直な気持ちを言うのって難しいんですよ」
その気持ちは分かる気がするな、現にさっきの僕は色々考えてしまってうまくまとめることが出来なかった。関係を維持するのも大変だな。
「あ、そう言えば課題は良いのか? 」
「それなんですけどよく見たら締め切り明日でした〜、先輩を参考に仕上げます! 」
「僕を参考に? 参考になること言えたか? 」
「ちゃんと態度で示してくれましたよ」
うーん、全く分からないけど、とりあえずあずの機嫌が直ってよかった。でもやっぱり僕には女の子の気持ちは分からないな。
少し修正しました。




