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最終話 真実の鏡



オレとレイカの子どもが少し大きくなってきて、落ち着いた頃。


サラからご懐妊との知らせが届いた。


今日はお祝いの為に、オレの店『Lily』にお忍びで集まっている。


「久しぶりだなぁ、皆で集まるの!」

オレが皆に声をかける。


「子育てで忙しくて、なかなか会えなかったもんな〜」

レイカも、嬉しそうに答えてくれた。


「そして、サラ!妊娠おめでとう〜」

とオレとレイカが声を合わせて言う。


サラは少し、恥ずかしそうに

「ありがとう」

と言った。


「なんで、恥ずかしがってんの?」


「そうだよ、オレたちの時もお祝いしてくれたじゃん。」


「そうなんだが、するのとされるのとでは、まったく違うだろ。」

珍しく照れているサラに遊び心がくすぐられる。


「男の子かな、女の子かな?」


「王様はどっちが良いって?」


「たく、どっちでも良いって。からかうなよ、やめろって」


確かに、胎教にも良くないかもしれない、ほどほどにしておこう。


それで…最近は皆どうなんだ?


と会話に花を咲かせる。


なんだか、中身はみんな男のはずなのに話している内容は、ほぼ女子会のようだった。


会話の熱も落ち着いてきた頃に、レイカが棚に置いてあったマジックアイテムに目を留める。


「ん?なんだこれ?」


「あーそれ、結構前にお義父様から贈られてきたプレゼントだ。なんでも、マンネリ解消だとか…。」


「へぇ~、面白そうだな。真実の鏡?…どうやって使うんだ?」

サラが興味を持つ。


「マンネリになんてならないし、特に興味もないから置きっぱなしにしてたんだよね。」


「真実の鏡って名前なんだから、覗き込めば良いんじゃないか?」

レイカが冷静に判断する。


それもそうか!


と、折角だから皆で覗き込んで見ることにした。


せーの!!!


ドロン…


そんな音に驚いて、オレたちは目を閉じる。


すると、目の前にはプレイヤーだった現実のオレたちが立っていた。


「えっ…おい…嘘だろ?」

サラが最初に口を開く。

声も完全に男だ。


「真実の鏡って、まさか、そういうことか?」

レイカは顔面蒼白である。


気がつけば、三人で顔を見合わせ


「えーーー!!」


と大声で叫んでしまっていた。


「ど…どどど、どうする?」


「どうするも何も…説明書!!」


「あった!!あったぞ。」


―真実の鏡―

覗き込んだプレイヤーの姿を、現実の姿へと変えるマジックアイテム。効果は1日。


「1日ってヤバいだろ。」


「王妃が外泊なんて出来ない…」


「ってか、その前にオレたちの格好…」


店にある大きな鏡を見たら、ドン引きである、良い年をした青年達がスカートを履いている。


堪らず、全員で身を屈める。


「考えるのは後だ!!まずは服を何とかしよう。」


「確かに、このままでは変態だ。」


「リリアここに、男でも着られそうな服はないのか?」


「薬草取りに使う服ならパンツだから、あるにはあるけど…」


「けど?」


「サイズが…」


「あ〜…レディースか。」


「………」


「………」


「………」


「良し、レイカ行け。」

サラが声をかける。


「何で?!オレが…?!」


「オレたちの中では一番小柄だし、顔も中性的だ。問題ない。」


「問題大有りだよ!!」


レイカは大抵抗したが、オレたちが頭を下げてお願いすれば


「分かった…分かったよ…」

と着替えてくれた。


「いや、思ったより全然イケてる。」


サイズも7分丈のように履けているし、上着も半袖で悪くない。もともとメガネをかけているし、帽子を被れば、顔も隠れてシンプルに良い感じだ。


「良かった!とりあえず近くで服を調達してきてくれ。頼む。」


そう言ってレイカを送り出す。


サラと2人屈んだまま、レイカを待つ。

「サラ、こんなことになってしまって本当にごめん。お腹は大丈夫か?」


「お腹はまったく問題なさそうだ。元気に動いているぞ。姿が変わっただけだ。気にするな!」


そう言って笑ってくれたが、オレは申し訳なくて、しょうがない。


それでも、オレは無力だ。


(お義父様め〜)


と心の中で、マジックアイテムの送り主を恨むしか出来なかった。


レイカが戻ってきて、オレたちは服を着替える。


「さて、これからどうするか。」

落ち着きを取り戻したサラが一番に声をあげた。


「ん~各々、旦那に連絡するしかないんじゃないか?無断外泊なんてしたら大ごとになるだろ?」

とレイカも冷静に答える。


どんな反応が返ってくるか分からないが皆で内容を決めてメッセージを送信することにした。


『ちょっと事情があって、今日はみんなで外泊することにしたよ。また、連絡するね!』


良し、行くぞ!

と全員で送信ボタンを押す。


しかし、返ってきた反応は


アステリオ

『身重の体で何を言ってるの?心配だよ〜絶対ダメ☆』


ヴァルディス

『良いだろう。オレも共に外泊をする。場所を教えろ。』


エルヴィス

『どうしたんだ…急に。何かあったのか?事情を説明してくれ。』


全員で頭を抱える。


レイカは

「あの、束縛野郎が外泊を許すはずがないよな。」

と呟いている。


なんだか、ちょっと可哀想だ。


「仕方がない、ここは一つ事情を話すしかないだろう!」

サラが腹を決めたように立ち上がる。


「確かに、そうだな!」

とレイカも賛同した。


しかし、オレだけ頭を抱えたまま

「2人は良いよな。レイカは中性的で男でも美人だし、サラは長身のイケメンでさ…、オレは平凡!!!平凡顔なの!!こんな姿、エルヴィスに会いたくない〜」


「何言ってんだ、お前も十分可愛い系だろ?小動物ぽくて。」

サラがすかさず、フォローを入れるがフォローになってない。


「オレたちの旦那の中で一番の常識人だそ。それに、リリアはとんでもなく愛されてるんだ。絶対に大丈夫だ。」

レイカもフォローを入れてくる。


「それに…」

レイカは深刻そうに、告げる。


「それに?」

オレとサラは息を呑む。


「それに、今オレたちは指輪とか自分を証明するものを何も持っていない。今日はお忍びで来たので置いてきてしまった。」

レイカが言ったことにサラはハッとする。


「確かに…、オレたちは今指輪を持っていない。あるのは………」

そう言って、2人の目線の先にはオレの胸にあるペンダントただ一つ。


オレはうなだれることしか出来なかった。

「そんな…、オレが皆を連れてエルヴィスに事情を説明しに行かないといけないのか…?」


どんなに、泣いても叫んでも、方法はもうそれしかなかった。


取り合えず、エルヴィスに事情をメッセージで送る。


マジックアイテムで現実の姿になってしまったこと。


これから、公爵邸に向かうので子ども達をお義父様とお義母様のいる別邸に預けてほしいこと。


オレであることを証明するためにペンダントを持っていること。


そして、馬車に全員で公爵邸に乗り込むとエルヴィスは心配そうな顔で待っていてくれた。


深呼吸したあと


「あ…あの…エルヴィス?」

とオレがペンダントを見せながら、馬車から顔を出すと


「リリア!心配したぞ。無事で良かった。」

と手を握ってきた。


「えっ…と無事でもないんだが…」

オレが顔をかきながら、そういうと。


「確かに、そうだな。あのタヌキ親父め。後で…みていろ!!」

などと珍しくお義父様に強気な発言をしていた。


しかし、よろしくお願いしたいところでもある。


エルヴィスはなるべく人目に付かないように、オレたちを応接室へと届けてくれた。


「アステリオ様とヴァルディス殿にも連絡を入れておいた。今向かっているそうだ。時期に迎えが来るだろう。」


「うっ…そう言われると、ホッとしたような、しないような。」

レイカは複雑な心境のようで、顔を少し青くする。


「腹を決めろ、レイカ!大丈夫だろ!」

と、もう何も気にしていなさそうなサラ。


対照的な2人にの反応に、オレは思わず笑ってしまう。


まったく、他人事だと思って!とレイカに睨まれてしまった。


ごめん、ごめん。


そうこうしているうちに、一番に到着したのはヴァルディス様だった。


王より先に着くなんて

オレは流石だな。

と変なところで感心してしまった。


バンッ…


扉を大きな音で開けて、ヴァルディスが勢いよく入ってきた。


「レイカ!!!大丈夫か?」


と迷うことなく、メガネを掛けている小柄なレイカに駆け寄る。


「…よく間違えなかったな……。」

とレイカは目を丸くして驚いている。


「当然だ。オレがレイカを見間違えるはずがないだろう?現実の姿でも、やはりレイカは美しい。」

と手を握りしめている。


本当に流石過ぎて言葉も出ない。


次に入ってきたのは王のアステリオ。なかなか王宮を抜けられないかと思いきや、数分の差で着いたようだ。


こちらのお方は、コンコンと扉を叩いてから、優雅に入ってきた。


「サラ?大丈夫かい?お腹の子どもは?」

アステリオもサラを見間違えなかった。


「大丈夫!元気に動いてるよ!」

とサラも余り気にした様子もない。


愛だなぁ、としみじみ感じる。


ヴァルディスが、声高らかに

「こういうのも、なかなか良いな。良し、一つ入手しよう!」

と言うもので、レイカが鬼のように怒っていた。


そんな、怒るレイカをみて楽しそうにしているヴァルディス。


なんか、前にもこんなことあった気がするな。

なんて物思いにふけってしまった。


さて、落ち着いたところで各々の家に帰ることになった。


こんなことになってしまって本当に申し訳ないとエルヴィスと共に頭を下げる。


すると全員、気にするな!

久しぶりに、なかなか楽しかった。


と、なんだかんだラブラブな皆を見送った。


「なぁ、エルヴィス?」


「どうしたんだリリア」


「そのガッカリしなかった?オレがこんな感じで…」

とオレは少し泣きそうな顔をする。


「リリア、どんな姿であろうとも、リリアはリリアだ。オレはリリアの中身が好きなんだ。」

とエルヴィスは笑う。


「そっか…ありがとう」

オレたちは顔を見合わせて笑った。


オレたちは公爵邸の中へと歩き出す。


「さて、子ども達も居ないし、たまにはベッドでゆっくりするか…?」


「はっ…この姿で?!イヤだよ〜」


「今、関係ないと言ったばかりだろう?」


そんな、他愛のない会話をして1日を過ごした。

次の日の朝、オレの姿は“リリア“に戻っていた。


色々あったけど、確かにマンネリ解消にはなったかな…。


結局はマジックアイテムによって皆の愛が深まった。

さらに、数年後には良い笑い話になったのである。


オレはちゃんと、大切にマジックアイテムをとっておいてある。


だって…


この鏡が教えてくれた。

オレは、この世界でちゃんと愛されているって。


終わり

ここまで読んでくださり、ありがとうございました。


最後まで自分なりに大切に書き切りました。

変なところがないか、とても心配です。


初めて、完結まで持ってこれたので次回作も何か書けたら良いなと思います。


それでは、また会える日を楽しみにしています。

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