第一話 突然の宣告
初投稿作品です。温かい目でご覧下さい
俺の名前は南雲創介。十六歳。彼女いない歴=年齢。普通の高校に通うごく普通の高校生である。
なぜ俺が某小説掲載サイトの小説の第一話みたいなことをしているのかというと…
━━━今まさにその状態になっているからである。
「どうなってんだよーーー!?」
◇ ◇ ◇
落ち着け。思いっきり叫んでしまったがまずは落ち着け。
状況を整理しよう。
まず俺が今いる場所。何もない真っ白な部屋。そうと以外説明出来ない。壁や天井はあるのかもしれないが、切れ目も見えずわからない。となると、部屋というより空間と言ったほうが正しいかもしれない。
次に俺の記憶。死んだ記憶は…無いな。今日は学校行って、飯食って、漫画読んで寝た。まぁ寝ている間に何かあったのかもしれないが。
そんなことを考えていたら、突然声が響いた。
『あぁ?なんか思った以上に落ち着いてんな』
「誰だ!?」
そう叫ぶが周りには何も見当たらない。脳に直接話しかけているのか?
『誰だとは失礼なやつだな。まぁいい、俺は寛大だからな』
「…姿を見せろ」
今起きていることに理解が追いつかず、俺はそう呟くのが精一杯だった。
『チッ、重ね重ね失礼なやつだ。だが、確かにいきなり脳に話しかけりゃ混乱するか。よし、許してやろう。あぁ、姿か。待ってろ、今見せてやる。ちなみに俺の正体について聞いてくるやつが多いから先に言っておく。俺は神みたいなものだと思えばいい』
次の瞬間一人の男が姿を現した。
「これなら良いだろう」
「…あぁ、感謝する」
その男を一言で表すなら、黒だろうか。黒髪黒目で浅黒い肌、さらに黒い中世ヨーロッパの王族が着ていそうな豪奢な衣装を纏っている。年齢は20代後半ぐらいに見えるが、おそらく見た目は関係なさそうだ。こんな空間にいる時点で人外であることは確定しているからな。
「おっ、失礼なやつだと思っていたが、礼が言えるとはな」
そう言って男は機嫌を直した。だが、こういうやつでもいるのならばまだ安心出来る。こんな空間にずっと閉じ込められるわけではないとわかったからな。
さあ、神(自称)よ。話してほしいことは山ほどあるぞ。まぁ、多分こいつから話してくれるだろう。
そう思って待っていたら…
「というわけでお前これから転生すっから」
「はぁ!?」
「いくぞー」
そう言って男は儀式を始めた。
「待て待て待て!!説明すべきことがあんだろうが!!」
まさか説明ゼロで異世界に飛ばそうとするやつがいるとは思わなかった。俺が止めると男はムッとした表情で儀式を止め、問いかける。
「何を?」
「全部だよ!!なんで俺がここにいるのか、なんで転生するのか、転生した世界で何をするのか、全部説明しやがれ!!」
「しょうがねぇなー」
こいつ本当に神か?神(自称)どころか神(笑)の可能性すら出てきたぞ。
「わかったわかった説明してやる。先に言っておくが今から話すことは全部事実だからな?」
「あぁ、そこを疑っても仕方が無いからな」
こいつが嘘をつく理由もメリットも無いからな。
「ククク、そこを疑うやつもいるから言ったんだがな。立ち話もなんだ、椅子を出してやるから座れ」
神(自称)が指を鳴らすと、突然1つの円卓と2脚の椅子が現れた。円卓の上には2組のティーセットも用意してある。こういうところを見るとやっぱり神なんだなと思う。だからといって俺の心の中の(自称)が取れることはないが。
俺は神(自称)が出した椅子に腰をかける。すると神(自称)は話し始めた。
「まず、お前は死んだ。そこを受け入れろ」
「そこはいい。どうして俺は死んだ?父さんや母さんたちは無事なのか?」
俺のことはいい。ここに来た時から覚悟はしている。何より家族が無事かどうかが一番重要だ。
「なんですんなり受け入れてんだこいつは…。原因はお前の家の前の道路で起きた交通事故だ。2台の正面衝突で片方がお前の部屋に突っ込んだ。お前は即死だったよ。あと、お前の家族は全員無事だ」
それを聞いて俺は安堵した。しかし、もう家族に会えないと考えると落胆する気持ちもある。家族だけじゃない。学校の数少ない友達や先生もだ。いや、今更だな。もう割り切らないといけないんだ。
「次にお前が転生する理由だが、これは2つある。1つ目はまぁ平たく言えば同情だな。一人寂しく死んでいくお前を哀れに思ったわけだ。」
だとしたら、生き返らせてほしいが神(自称)も無理なんだろうな。そしておそらく重要なのは2つ目の理由なのだろう。
「で、2つ目の理由だが俺の管理している世界の1つが今やばくなっててな」
ほら来た。多分俺にその世界を救えとか言うんだろう。
「で、お前にその世界に行ってもらうわけだが…」
「その世界を救えば良いのか?」
「いや、別に救うことは期待してねぇよ」
「じゃあ俺に何をしてほしいんだ?」
「ただその世界で暮らしてほしいんだよ」
「どういうことだ?」
俺がその世界で暮らすだけで世界に影響があるわけではないだろうに。
「お前が転生するとその世界に今まで無かったものがいきなり現れるわけだ。それで外的要因により少なからず世界に影響が出る。それでその影響で世界の機能が改善することを俺は狙っている。今までもそれで改善した例がいくつかあるんだよ。現にその世界に何人か送り込んだことで世界は改善に向かっている。無論、そいつらの合意のもとだ。つまり、お前がその世界でなんかすることは重要じゃない。お前が転生した事実が重要なんだよ。」
なるほどな。そして、俺もそれが目的で転生させるわけか。
「で、今度はお前に白羽の矢が立ったわけだ。どうする?転生したいか?いやなら俺の権限で地球で幽霊みたいに暮らすことも可能だが?」
「決まっている。転生させてくれ」
家族や友達のことは心残りだが幽霊になったとしても出来ることはない。それだったら第二の人生を歩むのも悪くない。
「即答かよ。いやいい、わかった。転生させてやろう。せいぜい第二の人生を楽しむといい」
こうして俺こと南雲創介は転生することになった。
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