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665―ハーツ―  作者: 桃姫
炎の星――Dazzling flame wraps up the sky and lights up the world――
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13話:堕ちた太陽

 俺の目の前の少女。めるとと名乗った彼女からは、不気味な気配がしていた。

 そう、その様子を表すなら「気配が狂っている」とでも言うのだろうか。

「めると?それが、名前か?」

「ええ。変わった名前でしょう?まあ、それはいいわ。置いておきましょう。一つ聞くわ。貴方は、今の状況をどこまで理解しているの?」

 理解?

「いや、ハーツだの何だのってのは、あんまり分かって……」

「そこまででいいわ」

 俺の言葉をめるとが遮った。

「その時点で、もう、認識が足りてないもの。あいつの言った通りになったら恐いわ」

 また、あいつと言う人。

「案内しましょう。元いた世界に。貴方の世界とは異なる世界に。狂った世界に。世界の成れの果てに。終わった世界の残骸に。貴方がこれから招くかもしれない可能性(イフ)の世界に」

 異なる、狂った、終わった、残骸、イフ……。めるとは何を言っているんだ。意味が分からない。

「さあ、始まりの扉は開かれたわ。進みましょう。光の差す道を」

 その瞬間、俺の視界は、眩い光に覆われ、目を瞑った。

「導いてあげるわ」


 俺は、めるとに手を引かれながら、歩いた。ただただ歩いた。すると、徐々に光が収まり始めているのが分かる。恐る恐る目を開けると、そこは、黒い世界だった。

 その光景のおかしさに、声がでない。

 その光景の異常さに、思わず立ち尽くす。

 その光景は、狂っていた。

 おそらく、ここは、商店街だったのだろう。もはや壊れた店の数々。そして、ぐにゃりと曲がった時計塔。

 針が刻む向きは、左向き。

 そして、空は、漆黒に支配され、太陽はない。

「太陽は堕ちたわ。最初に」

 めるとの声。

 太陽が、堕ちた……。

 何を馬鹿なことを言っている。

 誰もいない、荒廃した世界。

 躑躅の世界よりもおかしなせかい。

 躑躅の世界は壊れていたが、この世界は、狂っている。

「一体、何が」

「そうね、まずは、そこからね」

 めるとの白い肌には、俺の呪印と同じように、左半身だけ白い羽が覆っていた。

「【始まり】、【白羽】、【調律者】。人々は、これを持つ者をそう呼んだわ……」

 そう、それは、始まりの物語。因果に続く物語、とめるとは続けた。


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