神戸の物語 伏龍餘波 HELL ROSE ⑥
⑥坂道を登りながらフランクは思った ここらへんなら海が見えるはず見晴らしの良いテラス付きの館ならさぞかしいい眺めになる筈だった つまりここらへんはそんな洋館がごっつ集まっている場所だった つと足を止める 何やら庭仕事をしているらしき頭巾を被った御婦人らしき人影が見えた やぁ 花束を持ってくるのを忘れたけどプロポーズするにはいい場所だよな 腰をかがめていた御婦人は不審そうな面持ちで立ち上がった しかし立ち上がりしな 直ぐに思い当たったらしい 頬被りを外しながら まぁ フランク お姉様が聞いていたら カンカンに怒っていらしてよ いやいや しかし 驚いたな スーにそっくりだ 一瞬ギクッとしたよ あたしそんなにお姉様に似てて? あぁ よく見ると瞳の色が違っている スーはパープルアイ 見ようによっては紫色に光って見えてた 特に暗闇では その点 ロビン 君は薄いブルー 青い瞳だ レインボーアイ お姉様の目はその時々で色が変わって お父様はお姉様の事を私のレインボーと呼んでいらしたわ アレからどう過ごしてた 親御さんたちは? ロビンは首を振った お父様はお姉様を探そうと頑張っていらしたけど帰国命令が出てからめっきりと弱って帰国後直ぐに亡くなってしまわれたわ お母様は意気軒昂だったけど やはり無理がたたってか2年も経たずにお父様の後を追うように亡くなったわ その後アタシは親戚のところをたらい回しね厄介者扱いされて アタシも嫌気が差してニ三年前にヤマトに舞い戻ったわ でも記憶の中と違って何もかもが変わってしまっていた お姉様と一緒に立った舞台も無くなってて ショックだった その後の話は伏龍から聞いていた 大変な苦労をしたらしい すっかり落ちぶれておったところを濱崎の黄金町で伏龍に拾われたらしい保護されたという話だった お姉様のことまだ探してくれているのよね どうなの フランクは首を振った いや見つからない どこをどうしたら 探し出せるのか 皆目見当がつかなくなってしまっている 貴方のせいよ フランク貴方のせいだわ お姉様がいなくなってしまわれたのわ アタシもヤマトに戻って探しているのに どうして どうしてなの ロビンが ガタガタと震え始め 何かしら聞き取れない声で喚き始めた ソレをテラスから眺めていた年配の婦人が降りてきてロビンを抱きかかえた フランクに首を振った 呆然としているフランクを尻目に部屋内へと消えていった 這々の体で屋敷を辞去した フランクは坂を下りながら 海を見渡せるかどうか確認できなかったな そんなしょうもないことを思い返していた




