表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
41/76

41 エン福 (えんぷく)

41 エン()福 (えんぷく)


 ランスお父さんとクリアお母さんがサーベニアお姉ちゃんの要請で、以前所属していたザードリブ王国から、今住んでいるクィータ王国の冒険者ギルドに、異動の登録をしに近々、一番近い町へ行くことになった。

 まあ、サーベニアお姉ちゃんもこっちに着いたばかりで、少しは休みたいだろうし、細々(こまごま)としたことや準備もあるから、もう少し落ち着いたらということにはなったけどね。

 話を聞く限り、このケスバ村から一番近い冒険者ギルドの支部のある町はスロクラの町で、馬車でも一週間くらいはかかるのだそうだ。

 おおっ、ちょっとした旅行じゃないか!

 ボクも行きたい!

 ……って、ひょっとして、お留守番とか!?

 と内心かなりあせっていたんだけど。

 さすがにこれだけ長く家を空けるとなると、いくらエストグィーナスお姉ちゃんがいるとはいえ、ボクだけをお留守番させておくわけにはいかないということで、ボクも一緒に連れて行ってもらえることになった。

 これにはちょっとホッとしている。

 折角のこの世界での旅行のチャンス。

 逃すわけにはいかなかったので、一瞬、背中に冷や汗をかきながら必死に頭を回転させて連れて行ってもらえるための理由をひねり出そうとしたが、あっさり連れて行ってもらえることになって拍子抜ひょうしぬけした。

 あせって損した気分だ。

 思わず「やったー!」と両手を上げて年甲斐もなく大はしゃぎをしてしまって、周りの大人たちに微笑ましく見られてしまったのはご愛敬あいきょうというものだろう。

 いや、年相応だね。うん。

 さすがに要件なりなんなりを諸々(もろもろ)済ませるのを含めて3週間くらいはかかりそうな間、ずっと上位精霊であるエストグィーナスお姉ちゃんに子守りを指せるわけにはいかないというものだけど。

 長さは兎も角、上位精霊に子守りをさせるのはって……。

 なんかかなり手遅れな理由の気がする。

 今更だよね。

 えっと、基本的にボクの準備はクリアお母さんがしてくれるので、ボクは特に特別にやることもなく、いつも通り過ごしている。

 ただ、サーベニアお姉ちゃんがボクの事をかまたおしてくるので、ボクの能力のネットスーパーの一日一回の来店ポイントからのダブルアップをやる暇を見つけるのに苦心するようになった。

 エストグィーナスお姉ちゃんがサーベニアお姉ちゃんに張り合ってか家の方に来るようになったのもあるかもしれない。

 一応、画面? は見えていないみたいなことはランスお父さんとクリアお母さんで前に検証済みなので、特に他の人がいる時でもかまわないのかもしれないのだろうけど、いくら幼児と言っても、あやしい動きをしているのも客観的に見てどうかと思うので、誰もいないときにこっそりやるようにしている。

 それはそうと、このかん、ダブルアップのゲームが双六(スゴロク)にならなくて良かったと思う。

 あれは赤ちゃんみたいにひまが有りあまっているときには暇潰ひまつぶしにものすごく助かるけど、ある程度動けるようになると時間を取られてしまうからだ。

 ……そういえば、最近双六(スゴロク)に当たらなくなったな。

 もしかして、あの紫髪ツインテール少女神のパスティエルが、ひまを持てあましているのを気遣きづかってくれていたのか?

 ……まさかね。

 あと、変わったことと言えば、何故なぜか次の食事から、ボクのお皿の横のスプーンが2つになっていた。

 カトラリー?

 マナー講習でも始まるのかな?

 なんてことはなく、いつの間にやら、サーベニアお姉ちゃんが来た日同様、サーベニアお姉ちゃんとエストグィーナスお姉ちゃんとの間で食べることになっていた。

 二人の膝の上で。

 2本のさじはそれぞれがボクに食べさせる用らしい。

「はい、セイルくん、あーん♪」

 パクリ。

 モグモグモグ。

『ほれ、セイルよ。あーんじゃ』

 パクリ。

 モグモグモグ。

 両側から次々と口元にさじが持ってこられる。

 非常に忙しい。

「あら、口元がよごれてるわね。はい、きましょうね」

 フキフキ。

『こっちもじゃな』

 ふきふき。

 非常に忙しい。

 そんな様子をクリアお母さんはあきれつつ、ランスお父さんはニヤニヤしつつ眺めながら食事をとっている。

 そんな日常風景が数日続いていた。


   ◇



 昼食が終わったらお昼寝タイムね。

 あっ、ちなみにうちは前世と同じ朝・昼・晩の三食。

 村は大体どこも一日2食が普通なんだそうだけど、ランスお父さんとクリアお母さんは町で冒険者をしていたため、一日3食が普通だったそうな。

 ケスバ村に来て一日2食に合わせても良かったんだけど、森の中で家族だけで暮らしてるし、土の上位精霊のエストグィーナスお姉ちゃんがいるおかげか、森の恵みもそこそこあるので変えずにいたらしい。

 で、話は戻ってお昼寝タイムなんだけど。

 地下遺跡の噴水のある部屋の噴水の脇の石のふちに二人が座り、その並んだ太腿ふとももの上に寝かされてでられている。

「ふふっ、寝顔も可愛いわね」

 ニコニコしながら、頭をというか髪の毛の感触を楽しんでいるようなサーベニアお姉ちゃん。

『次回はわれが頭のほうじゃぞ』

 不平を鳴らしながらも、しっかりボクの身体をでているエストグィーナスお姉ちゃん。

「はいはい、分かってるわよ」

 なんだこの状況は?

 いや、まあ、美人と美少女の二人の太腿の上で寝ているって、天国みたいな状況ではあるのだけど。

 でも、ボクも3歳になって大分身体も大きくなってきた、とおもうので、多少手足がはみ出して……許容範囲か。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ