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15 エン習問題

15 エン()習問題


 地下の倉庫にサーベニアさんからの荷物を置きにクリアお母さんと一緒に来て、部屋の前で一人で待っていると、部屋から光が漏れ、その後呼び掛けてもクリアお母さんからの返事がなかった。

「クリアお母さん!」

 ボクは慌てて扉を全開にして中に入る。

「クリアお母さん、どこ!?」

 見回してみても 部屋の中には誰もいない。

 部屋は石造りの正方形の部屋で、倉庫の筈なのに荷物一つ置いてはいなかった。

 っていうか、クリアお母さんがいろいろ物が置いてあって危ないからと、ボクを部屋の前で待たせたはずなのに本当に棚はおろか箱一つない。

 理由があってボクを部屋の中には入れず、扉の前で待たせておきたいにしても、クリアお母さんがそんなウソを言うとも考えられないし。

 一体どうなっているんだ?

「クリアお母さん! 何処!」

 ボクは中に入ってクリアお母さんの名前を呼びながら辺りを見渡す。

 当然のことながら返事が帰って来るはずもない。

 ボクを驚かせようとしていたとしても、ボクですら隠れる所がないのに、いくら小柄でも当然クリアお母さんが隠れられるところなんてどこにもない。

 何もないのだから隠れる所などあるはずもない。

 家の中で失踪事件!?

 えっ、えっ、これってもしかしてボクのせい。

 ボクがサーベニアさんからの荷物の箱を振った時、箱の中の魔法道具が発動しちゃったとか!?

 どうしよう。

 ボクはさらにオロオロとあたりを見渡した。

「んっ?」

 すると、ほのかな光しかない薄暗い部屋の中の床に何やら書いてあるのに気付く。

 ボクが見て見ると、それは床の石畳の中央の一部に、一辺が約15~20cmの正方形の石板が、3×3の9マス分はまっており、その一枚ずつに1文字ずつ違った文字が刻まれているようだった。

 その周りに、淡く蒼く引かれた線が幾つか伸びている。線はそれぞれ端の壁まで伸びていた。

 何だろう、これ?

 一瞬、魔法陣かとも思ったけど、円形の中に五芒星とか六芒星とかいう感じじゃない。

 そしてこの文字。

 見たことない文字だ。

 まだ習ってないだけかもしれないけれども。

 でもこれ。

 なんか何かに似てるんだよなあ。

 考えろ!

 思い出せ!

 ……。

 ……。

 ……。

「これ、多分数字だ」

 前世の数字でもクリアお母さんから習ったこの世界の数字でもないけど、何と無くクリアお母さんから習った数字に似ているような気がする。

 前世だってアラビア数字だけじゃなくて、ローマ数字や日本も古くから漢字で表現していた訳だし。

 もしかしたら外国語や古い文字なのかもしれない。

 そう解釈すると、ここに書いてある文字は多分、こう読めることになる。


    123

    456

    789


 そして、+の線と×の線がそれぞれ『5』の数字を中心に3つの数字を貫く様に引かれ、薄く淡く光っている。

 全体像はこんな感じ。


 ・   ・   ・

  ・  ・  ・

   ・ ・ ・

    123

 ・・・456・・・

    789

   ・ ・ ・

  ・  ・  ・

 ・   ・   ・


 この線は一体何の意味があるんだろう?

 ……。

 う~ん、こうしてみると、なんか暗証番号入力画面のタッチパネルみたいな感じだなあ。

 んっ、暗証番号?

 もしかしたら。

 ボクの予想が正しければ、これ、重要書類をしまって置いたりする保管庫の扉の前の暗証番号入力装置じゃないだろうか。

 すると、この目の前の壁辺りに開く場所があるのかもしれない。

 だとすると、暗証番号が解らないとどうにもならないや。

 取りあえずボクがサーベニアさんから送られてきた箱を振ったせいじゃ無いかもしれないようで、少し落ち着いた。

 でも、それだとやっぱり、言われた通りに待ってるしかないかな。

 ……。

 ……。

 ……。

 多分3分くらい経過。

 ……。

 ……。

 ……。

 多分5分くらい経過。

 ……。

 ……。

 ……。

 多分10分くらい経過。

 ……。

 ……。

 ……飽きた。

 待ちくたびれた。

 前世も思ってたけど、妹達の買い物に荷物持ちで付き合わされて店の前で待っている時って、妙に時間の流れが遅く感じるんだよな。

 しかも所在がないし。

 取りあえずボクは興味本位で何か手掛かりがないかとペタペタと石壁やら文字やらを触りまくってみることにした。

 文字の書いてある石板はマズいかなと思い、まずは壁の方から見て見ることにした。

 扉がありそうだと踏んだ前方の壁には動きそうな継ぎ目は見当たらなかった。

 左右の壁も同様に動きそうな部分は見当たらない。

 アレっ?

 ボクの予想は違ったかな?

 う~ん、仕方ない。

 僕は四つん這いになってペタペタと床の石板をいろいろと触りまくってみる。

 すると、

 真ん中の『5』らしき文字の書かれてある石板に触れたとき、『1』らしき文字の書かれてある石板が少し下に沈み、『2』らしき文字の書かれてある石板が左にスライドし、代わりに沈んでいる『1』らしき文字の書かれてある石板が右にスライドして止まった。『1』らしき文字の書かれてある石板は沈んだままで上がって来る気配は無い。

 イメージとしてはこんな感じかな。


    2①3

    456

    789


 ○部分が沈んでいる石板と考える。

 これは一体?

 もしかして暗証番号の入力画面が起動しちゃったって感じか?

 にしても、「1」と『2』らしき文字が入れ替わったのは変だな。しかも『1』らしき文字は沈んだままだし。

 ただ押し込むだけじゃないってことなのかな?

 ……。

 これってもしかして、

 ボクはちょっと思い付いたことを試して見る。

 まずは『7』らしき文字の書かれてある石板を触ってみる。

 ……。

 特に変化は起こらなかった。

 次に『2』らしき文字の書かれてある石板に触れてみた。

 すると、

 『2』らしき文字の書かれてある石板が右にスライドしてとまっただけで『1』らしき文字の書かれてある石板は『2』らしき文字の書かれてある石板の下に隠れてしまった。

 イメージはこんな感じ。


 ○23

 456

 789


 やっぱり!

 予想通りだ。

 これ、パズルゲームの『15パズルゲーム』みたいなやつだ。

 でも、これじゃあ、どう並べて行けばいいのか分からないや。

 そもそも、あの『15パズルゲーム』は4×4の並びに1から15までの数字をバラバラに置いて、一か所空いたマスを利用して異動させ、バラバラの数字の並びを順番通りに戻すパズルゲームだし。

 とりあえず、沈んだ時の元の状態に戻してみるか。

 ボクは再び『2』らしき文字の書かれてある石板に手を触れる。

 すると、『2』らしき文字の書かれてある石板が左にスライドし、沈んでいる『1』らしき文字の書かれてある石板が現れ、沈んだ時の元の状態に戻る。

 今、こんな状態。


    2①3

    456

    789


 う~ん、動かし方は分かったけど、これだけじゃなあ。

 しばらく石板とにらめっこをする。

 ……。

 ……。

 ……。

 んっ、周りの線が増えてる?

 石板にばかり目を向けていて、周りの線を気にしていなかったけど、石板が動いた後は『5』らしき文字を中心に3つの文字を貫く様に淡く蒼く光っていた線の光は消え、『+』の線と『×』の線に加え、『井』の線が『5』らしき文字の書かれてある石板を縦横に囲んでいる三つの数字の書かれてある石板を貫く様に現れた。

 そして淡く蒼い光の代わりに淡く赤い光が、『3』『5』『7』と『4』『5』『6』らしき文字の書かれてある石板を貫くように光っている。

 イメージはこんな感じ。

 『*』が淡く赤く光っているライン。『・』が只のライン。


 ・  ・・・  *

  ・ ・・・ *

   ・・・・*

 ・・・2①3・・・

 ***456***

 ・・・789・・・

   *・・・・

  * ・・・ ・

 *  ・・・  ・


 ……。

 これは一体、どういう意味だ?

 う~ん、試しに……。

 ボクは『5』らしき文字の書かれてある石板に触れてみる。

 すると、『5』らしき文字の書かれてある石板が上、……床だから上と化したとか変かな? まあいいや、上にスライドして止まった。

 こんな感じ。


 253

 4○6

 789


 そして、

 薄く赤く光っていた光はすべて消えてしまった。

「えっ!?」

 ボクは思わず声を上げる。

 もしかしてやっちゃった?

 ボクは慌ててもう一度『5』らしき文字の書かれてある石板に触れる。

 すると、『5』らしき文字の書かれてある石板が下にスライドし、『1』らしき文字の書かれてある石板が現れて沈んだ時の元の状態に戻る。

 そして再び淡く赤い光が、『3』『5』『7』と『4』『5』『6』らしき文字の書かれてある石板を貫くように光り始めた。

「はあ、良かった」

 ボクはホッと胸を撫で下ろす。

 ちょっと焦った。

 この淡く赤く光る光がヒントだろうから、全部消えたのには驚いた。

 ちょっとドキドキ、心拍数が上がったよ。

 それから、気を落ち着けたところで

 う~ん、試しにもう一度やってみようか。

 ボクはもう一度『2』らしき文字の書かれてある石板に触れてみた。

 すると、先程と同じように、『2』らしき文字の書かれてある石板が右にスライドして止まった。

 でも、さっきとは違いがあった。

 先ほどの淡く赤い光が、『3』『5』『7』と『4』『5』『6』らしき文字の書かれてある石板を貫くように光っているのに加え、さっきまでは光っていなかった『2』『5』『8』らしき文字の書かれてある石板を貫く様に伸びている線が淡く赤く光っている。

 イメージはこんな感じだ。

 ちなみに、只のラインは見やすいように省いてみた。


     *   *

     *  *

     * *

    ○23

 ***456***

    789

   * *

  *  *

 *   *


 *が薄く赤く光る光の線なんだけど……。

 これは一体??

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