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罵られ捨てられた少年と魔物使いの少女  作者: 儚月
第二章 学園での日々
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第二十話 銀風を纏う白狼

あらすじ;ソフィが転んで絶体絶命になってしまった

モルテは、ソフィが転んでしまったところを見ると骨だけの顔を見にくく歪め、


「はぁ、すこし疲れましたね。これで終わりです『闇球ダーク・スフィア』」


魔法を唱えたその手にサッカーボールぐらいの球が浮かび上がる。

モルテは手を振りかぶにそれを投げつけてきた。


球は僕たちにあたりそうになる直前、飛んできた白い何かに遮られあたりに黒い爆炎を撒き散らす。


「やりましたね」


モルテが言い、後ろを向いて立ち去ろうとした時飛んできた風の刃が背中にあたりバランスを失い地に堕ちる。


「なぜです? あれを耐えられる体力はもうないはずなのに」


魔法でまた浮かび上がったモルテが注意深くこちらを観察してくる。

煙が腫れていく中僕たちの前に浮かび上がったのは一匹の巨大な狼だった。


「シンさん!」

「シン!」


僕とカレンが同時に声をあげる。

そこにいたのは以前と若干の違いはあるも間違いなく森で一緒にいたシンさんだった。


シンさんの周りでは風が音を立てて渦巻いている。


『すまない、遅くなった』


以前と変わらない優しい口調で僕たちにそう言うと、モルテの方へ向き


『よくも我が子たちを襲ってくれたな! 生きて帰れると思うな』


そう叫ぶとモルテへ駆け出す...と思ったときにはもう背後をとっていた。

そして振り上げた前足によるたたきおとし。


「な!?」


モルテが反応できずに地面に落とされる。


「よくもやってくれましたね」


そんなことを言っている間にもシンさんは近づき、噛みつこうとする。

だが相手もさすがはリッチ、とっさに魔法で障壁を展開して防ぐ。


「さっきのお返しです。『闇雨ダーク・レイン』」


モルテが掲げた手から黒い球体が空へと舞い上がり、漆黒の雨を降らしていく。

見ると黒い水滴があったところは黒く変色していっている。

僕たちはとっさに屋根のある建物へと入り、戦いの様子を見守る。


『こんなものが通じると思っているのか!』


シンさんはそんな雨を全く気にしないで動き回っている。


「なぜ雨の中でも動けているのですか!」


『お前に教える義務はない!』


モルテの魔法はシンさんが華麗に避け、シンさんが足を振るとそこから風の刃がモルテへと飛んでいく。

一進一退の攻防が続く中シンさんがひと際大きく息意を吸い込むと、


『アオオオオオオン!』


台地が震える咆哮をシンさんが上げた。

その衝撃で瓦礫の山が宙へ浮き、すべてを吹き飛ばしていった。


『風よ、我が名のもとに、その力を貸し与えよ。我は風の使い手にして森の主、風よ我が力の一部となれ『風光独尊』』


シンさんが唱え終わると周りで飛び散っていた瓦礫がぴたりと空中で止まり、一気にモルテの方へと飛んでいく。


「小癪な真似を!」


空を飛びながら魔法を使って一個一個対処していくモルテだが、しだいに瓦礫の物量に押され始めていっている。

そしてついに瓦礫の一個がモルテの障壁に当たる。その衝撃でモルテが大勢を崩し、降り続いていた雨が止む。


そのスキを逃すほどシンさんは甘くなく、すぐに作り出した風の刃でモルテに畳みかける。

その刃は狂いなくモルテの障壁へと当たり、光を散らす。


「あんまり! なめないで! ください!『小爆弾ミニ・ボム』」


モルテは自分の近くで爆発を起こし、一気にシンさんから距離をとる。

そして小声で何かをつぶやくと、手と手を組み合わせて何かをしている。


「陰術;闇分身の術」


最後にそう唱えるとモルテから黒い物体が出てくる。

それはすぐに形を変えモルテと全く同じになってしまった。


『銀翔風』


シンさんがすぐさま新しく現れた方へ風を放つ。


「「『魔法障壁マジック・ウォール』」」


しかしそれは二体のモルテによって作り出された障壁によって散ってしまう。


「お返しです、『闇槍ダーク・ランス』」

「陰術;黒弾の術」


そして二体のモルテからそれぞれ違う魔法が放たれる。

シンさんはそれらを回避していくがさっきと比べてかなり押されている。


『銀風走破』


その言葉が聞こえたと思うとシンさんの周りに渦巻いていた風が銀色を帯び、眩く発光し始めた。


『お前たちは離れていろ! 巻き込まれるとただじゃすまない!』


シンさんにそう言われ、急いで離れていく。

後ろからは爆発や何かが崩れる音が止まずに続いている。


ただ学園から離れるには旧講堂の方へ行かなければならず僕たちは覚悟を決めてそちらの方へ向かった。

旧講堂について最初に目に入ったのは大地を埋め尽くさんばかりのアンデットの群れだった。


「光の精よ、我が魔力に応じ、ここにその力を顕現せよ。それは絶対不可侵なる聖なる領域なり。今ここに不浄なる輩を通さぬ結界を創る『聖域』!」


とっさに使った『聖域』によってアンデットはこちらに来れなくなっているがここからは進めそうにない。

それに、


「カレン、このまま放っておいたら町の方にアンデットが行っちゃう。少しでも数を減らそう!」


「分かったわ、早くこの人たちを解放してあげないとね」


と、僕たちが意気込んだ時だった。

ドーンッ! と、派手な爆発音と光とともにアンデットの大群が一気に数を減らしていく。


その後も爆発は次々起こり、アンデットは両手でちょっと数えきれない量しか残ってない。


「そこの君たち! 大丈夫か!」


街の方から見たこともない不思議な服を着て、フードを目深にかぶった人の集団が両手を振って近づいてくる。だいたい50人ぐらいの怪しい集団が近づいてくる。

片手には歪に曲がった剣を、片手にはやや小ぶりな菱形の盾を携えている。


「大丈夫です」

「問題ないわ」


僕たちも答えると警戒を怠らずに彼らに向かって近づいていく。


「よかった、まだ無事な人がいる。」


先頭に立っていた一人の男がフードをあげその顔を見せると笑って見せる。


「そんなに警戒しないでくれ、僕たちは王国のとある部隊だといっておこう。君たちを助けに来たんだ。」


そう言われてすこし警戒を解く。


「君たちはあそこから響いている音の正体を知っているかい?」


彼が指差した先にはさっきシンさんとモルテが戦っていた場所だ。


「あの、そこでシンさんがモルテと名乗ったアンデットと戦っているんです。」


「わかった。では助けに行こう。」


「待ってください。シンさんに危ないから離れていろって言われたんです。」


「大丈夫だ。こう見えても僕たちは魔物狩りのプロなんだ。心配しないでくれ」


そう言った彼の目には自信の色が浮かんでいた。


「それに君たちもその、シンさん、だったかな、が心配なんだろう。僕たちが守ってあげるから付いて来たらいい。もともと保護しながら進むつもりだったしね」


「わかった。一緒にいかせて」


カレンがそう言って彼のそばに寄って行く。


「わかりました。僕も一緒に行きます。」


そう言って僕も近寄り、彼らと一緒に歩き出す。

今回から前書きに簡単なあらすじを載せたいと思います。



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