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罵られ捨てられた少年と魔物使いの少女  作者: 儚月
第一章 少年の出会い
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閑話 銀の意思

久しぶりの投稿ですみません。続きは現在執筆中です。

自分の力が落ちたとは思っていなかった。それでもあの騎士には勝てなかった。そんなことを考えていると自然と表情が硬くなってしまっていた。

よほど余裕を無くしていたのか近くに来た同胞の怯える表情を見るまで気づけない始末だ。


いくら時間が経っても過去のことは忘れられない、いや、忘れてはならない。惨劇を繰り返さないために力をつけて来た。しかし、人々が恐る白狼、そんなものでは魔王の前では無力なのだ。


あぁ、力が必要だ。今度は自分が守ってやらないといけないんだ。


これからもあの二人は事件に巻き込まれる、そんな予想を本能が告げてくる。彼らはいずれ自分を超えるだろうがそれまでは守る必要がある。


そんな思考の中、ふと目の端に映ったのは天へとそびえ立つ山脈から伸びる一本の銀の線だった。

そして遠く昔の記憶が蘇ってきた。


ーー雪を纏いし山の果て、恵みの水の源、我らの祖にして偉大なる大狼。彼の地にて銀の雫は眠りにつかん。


まだ生まれたばかりの頃、そんな時に聞いたお伽話が頭の中に渦をまく。

荒唐無稽なそんな話だと思っていた。だが、今それが酷く現実的なもののように思えてくる。


きっとこの銀の線を辿って行けばたどり着ける。そんな思いが湧き上がり、一度湧いた思いは払拭できずに心の中で燃え続ける。


行かなければならない、行かなければならないんだ。


頭の中はそれだけですでに一杯になっていた。今にも線を追って飛び出したい、そんな思いをなけなしの理性で止めると森の仲間の方へ歩いていく。


『我は行かなければならない。少しの間森を空ける』


開口一番に出たのはそんな言葉だった。皆の反応を見て見ると少し驚いた表情をしていたがどこか納得したような感じだった。

何を感じ取ったかわからないが彼らならしばらく森を任せても問題ないだろう。穏やかで優しく、そして強かな彼らならば大丈夫だろう。


『すまない、任せたぞ』


言葉が言い終わるのと駆け出すのは同時だった。体が風になったかのように軽い。


あぁ、こんなに気持ち良く走るのはいつぶりだろうか


そんな白狼は自分の持てる力の全てを使って山脈へと向かっていった。

どこかで急げと告げる本能と共に。

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