第十話 旅の始まり
投稿遅くなってすみません。
目が覚めるといつも通りの森が目に入った。気を失っている間に夜になっていたらしい。枕が妙に柔らかい、確認してみるとカレンの膝枕だった。
慌てて起きようとしてカレンが眠っていることに気づく。木にもたれかかって眠っているカレンを起こさないようにゆっくり起きると周りを見回した。隣にいたシンさんと目が合った。シンさんは手招きすると森の奥へ歩いて行った。僕もそれに続くいてついていく。
少し離れたところでシンさんが止まった。
『レイ、お前に聞いておきたいことがある。』
振り返ったシンさんがそう聞いてくる
『今回戦った相手についてだ。』
そう言って僕が眠っていた間のことを話してくれた。
曰く、敵は大剣の騎士がやられた後撤退をしたとのこと。
最初に戦っていた魔物は大剣の騎士がやられたときに全員が気を失ったらしい。それが僕の起きるちょっと前に起きたとのこと。その時の様子がおかしかったようだ。それが起きたとたん、
「ここはどこだ! なんだお前たちは!」
などといい現状が全く理解できていないようだった。それに疑問を抱いたシンさんは『記憶はあるのか?』と、質問してみたところ自分たちの集落が魔王軍の侵略の対象となって傘下に入ることを選んだところまではあるが、それ以降は全く覚えてないようだ。
「つまりどういうことなんですか?」
『簡単に言ってしまうと思考を操られていたというわけだ。それも、暗示や魅了などではなく完全な洗脳でな』
「というと、もし戦わず傘下に下っていたら僕たちも洗脳されたってことですか?」
『そういうことになるな』
そう言ったあとシンさんが何か少し困ったような顔をしていることに気づく。
「他にも何かあったんですか?」
するとシンさんは少し言いずらそう二しながら、
『その、お前たちの今後についてだ。ずっとこの森にいては得られるものも失ってしまう。カレンも前々から外に行きたいと言っていたからな。そこでお前に外に行くついでに魔王を滅ぼしてもらいんだよ』
え...。なんか今さらっととんでもないことを言われた気がする。
「シンさん、今魔王を倒せって言いました?」
『いったぞ。我としても種族が違えど同じ魔物の仲間をこのように扱われると腹も立つものでな。カレンなんか魔王を滅ぼしてやると意気込んでいたわ』
はッはッはッ、と豪快に笑うシンさん
「でも何で僕が魔王を倒すことになるんです?」
『なに、簡単な話だ。今、たぶんお前以外に魔王に対抗できる奴はいない。最初逝ったであろう〝お前の魔力量は魔王と同程度”だと。カレンと外を見て回るついでに頼む』
うん。そういえば言われてたな。でも、あってもできるものじゃない。
「シンさん待ってください。そんな力があっても...」
『なに心配はいらんぞ。きっとできる。カレンも倒したいと思っている。それに、お前も洗脳するということに良い感情は無いんじゃないか?』
確かに無理やり洗脳している今の魔王はよく思わないけど。
『それに、お前の力があったら純分に可能な話だ。カレンのためにとも思ってやってくれないか?』
シンさんが真剣に言ってくる。ちょっと親バカっぽい気がする。
「はぁ。わかりました。でも、あまりにも無理そうだったら諦めますよ。」
そう言った僕は魔王を倒すというより純粋に旅をしてみたいと思った。大きい街に行くことは村にいたときからの目標だったのだ。
『うむ、とりあえずやってみてみるといい。』
シンさんは満足げにうなずいで、
『こっちでカレンに説明しておくとしよう』
そう言ってシンさんは立ち去った
ーーーー次の朝ーーーー
「ねぇ、レイ聞いた。シンがレイと一緒なら旅に出ていいって言ったんだよ。」
カレンが嬉しそうに話しかけてきた。
「うん聞いたよ。」
カレンがはしゃいでいるところにシンさんが寄ってくる、
『とりあえず、学校というところに行ってみてはどうだ? お前たちぐらいの年頃の子供が物を学ぶ場所だと聞いているが。』
そうシンさんが聞いてくる。確かに学校はそういうところだが、貴族や町に家を持つ子が行くところであり辺境の村の子が行くところではなかった。なにより、
「シンさん。僕、まったくお金持ってません」
そう、学費が高いのだ。
『心配するな、たまに来る冒険者の持ち物はしっかり管理してある。お前たちが言う金貨なども大量にあるぞ。』
なら安心だ。心の中で一息ついてると
「レイ学校ってどんなところ?」
カレンが興味津々に聞いてくる。それに適当に答えているとふと疑問が浮かんだ
「シンさん、ここから町までどうやって行くんですか? マ社も何もありませんけど」
『ソフィの背に乗っていけばいい。護衛としても非常に優秀だしな。風の話だと学校には魔物使い達に戦い方を教えているそうだ。カレンの魔物として連れていけば街中でも問題ないだろう。』
なら心配いらないか。
『おそらく4日で到着すると思うから、旅用の食料と金を持って行ってそれからは現地調達でいいだろう』
「わかりました。いろいろありがとうございます。」
お礼をしていると横からカレンが入ってきて、
「じゃあ早速出発しましょう!」
「準備があるから少し待ってね」
「わかった!」
出発は結局昼頃となった。
「では行ってきます。」
ソフィの背に二人で乗ってシンさんにそう言った。
『気を付けるんだぞ。あと、何かあったらソフィを通して報告してくれ』
ん? 報告? なんのことだろう。
「報告ってなんのことですか?」
『ああ、言い忘れていた。我は同族とはどんなに距離が離れていても念話できるんだよ』
そういうことか。じゃあ、何かあっても心配ないな。シンさんのことだからきっとすぐに来てくれるだろう。
「それでは、お元気で。」
『そっちもな』
「シン! ばいばい~。次ぎ合う時にはすっごく強くなっているからね!」
そう言うとソフィは駆け出した。
僕らの旅は始まったのである。
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