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2 明け渡しカウントダウン(22)

 どうしたのだろうか。立村の様子はやはり何か違う。

 そもそも何なのだろう、「勉強しろ」という言葉は。

 立村が大学進学に向けて、たぶん乙彦よりも全力で学業に励まねばならないであろうことは理解できる。周囲もそのあたり心配していたのだろう。しかし、言われた相手によって伝わる伝わらないというのは、わけがわからない。

「立村、申し訳ないが全く理解できない」

 正直に伝えた。

「相手によってというより、言い方によってということじゃないのか」

「違う、相手によって、だよ」

 きっぱり言い放たれた。

「先走りすぎているかもしれないけど、やはり誰に言われたか、というのは重要だと思う。それも気持ちのある相手が自分のことを思いやって言ってくれたというのでは全く意味も違う」

「単刀直入に尋ねるが、お前にとってそれは誰だ」

「ごめん、それは言えない」

 微笑み浮かべながら立村は答えた。

「俺の知っている奴か」

「そうだけど、それ以上は絶対に言わない」

 名前を出して確認しようと思うも、今の立村をぐさぐさに傷つけそうな気がしたので流石に控えた。たぶんだが、あの杉本梨南であれば、それなりのことをぶつけそうな気がする。立村の気持ち、というものであればたしかにそこにある。わかりきっている。

「わかった、万が一そういう自体になれば俺も覚悟はある。それこそ、恨まれる覚悟を持って引導を渡す」

「誤解しないでほしいんだけと、俺は決して清坂氏を生徒会から引きずり下ろしたいわけじゃない。もちろん、清坂氏をたきた落とすクーデターみたいなことを起こすっていうのなら俺はとことん守るつもりはあるよ。俺が言いたいのは、清坂氏かもし、精神的に煮詰まっていて壊れるくらいなら、無理にでも引き離したほうがいい、それだけだよ」


 ──立村はやはり、清坂の味方だ。

 単純にむかしの付き合い相手を心配しているのだろう。

 答えに悩むのは、乙彦の背後にいる名倉なり静内の影がちらつくから。

 ──立村は友情を持って色々心配しているんだろうが、クーデターが起きる可能性もなくはない。

 出来ればないことを祈りたいが、名倉たちの暴走を考えると避けられないとも思える。なによりも目の前にいる立村が、さまざまな爆弾を抱えている張本人なのだから。勉強しろとやいのやいの言われているようだが、実際そうしないと進学自体がまずいのだろう。

「もしお前が勉強について助けがほしいなら、俺は全力で協力する準備がある」

「ありがとう、でも大丈夫だよ。なんとかなる」

 お気楽な返事が戻ってきた。ふと、頭の中になにかがよぎった。

 ──まさか、まさかだよな。


 古川も気にしていたようだし、全くの思い込みではない。

 時期も一致している。



 ──まさか、あいつに火をつけたのは野々村先生か?




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