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40話 少女は猫耳少女に抱き着く

 わかっていたことなのに、いざそれに直面すると、落ち込んでしまう。

 こういうところも、私の弱いところだ。

 前を向くと決めていたのに、一人になると下を向いてしまう。


 グラットは、一人だけのせいじゃないと言ってくれたけど、やっぱり考えてしまう。自分に力があれば、もしかしたら、グラディオおじいさんを助けることができたんじゃないかと。


 そんなことを悩みながら、工房近くの城壁前からとぼとぼ城に向かって、ゆっくり歩いていた。


 ☾ ☾ ☾ ☾


 石畳の上を歩いて進んでいると、気づけば城の目の前にいた。


 私は、城の前で見張りする兵士にお辞儀して、中に入っていく。

 庭を通り、大きな扉から城の中へ入る。

 すると、吹き抜けるように広々とした空間が目に入る。


 使用人が綺麗に掃除をしているのであろう、埃一つなくきらきらとしていた。

 私は、そんな空間から目を逸らし、一直線に自分の部屋の方へと向かう。


 ここ数日間、ルークもフィストも眠りから覚めなくて心配なのだ。

 

 赤いカーペットが敷かれた長い廊下を進み、突き当たりを右に曲がったところの一番奥の部屋の扉を開けた。


 ベッドの上では、フィストが目を閉じて眠っていた。


 私は、ベッドの横に置いてある椅子の上に腰を掛けて、フィストの寝顔を眺める。

 

「フィスト……大丈夫だよね……起きるよね?」


 そんな不安でいっぱいな気持ちを呟く。

 

 私たち、次の旅に出られるんだよね?


 そんな不安が、胸いっぱいに広がっていく。

 フィストの手を両手で、祈るように私は握っていた。


 その時だった。

 僅かに、フィストの瞼が動く。


「んぅぅ……」


 フィストは唸るような声を出す。

 そして、徐々に瞼が開いていく。


「フィスト……!」


 私が、声をかけると猫耳がピクリと反応する。


「うぅーん? なにぃ」


 言葉に返事を返しながら、フィストはゆっくりと起き上がる。

 私はその瞬間を、ただ呆然と見つめていた。


 三日間ずっと眠り続け、いつ目を覚ますかわからなかったフィストが、今こうして目の前で起き上がったことに、まだ実感が湧かなかった。


 それでも、あまりの嬉しさに私は思いっきりフィストに飛びついた。


「うわぁぁぁぁぁん!!」


「起きて、いきなり何!?」


 突然のことにフィストは驚き、目を見開いた。

 

「よかったぁぁぁぁ! フィストが起きたぁぁぁぁ!!」


 涙目になりながら、私はフィストの体を抱きしめる。

 お日様のように温かいフィストを感じて、ようやく私は目を覚ましたことを実感する。


「もう……いきなり、飛びつかないでよ」


 言いながら、フィストは私の頭を優しく撫でた。


「だって、だって、だって、フィストも、ルークも三日間眠りっぱなしで、目を覚めないんだよ! 心配で、心配で、不安だったんだよ」


「そっか、そっか……心配してくれてありがとうね」


 少し照れくさそうにしながら、フィストが耳元で囁いた。


「うん……」


 私は、フィストの肩の上で泣きながら頷いて、笑みを浮かべた。

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