40話 少女は猫耳少女に抱き着く
わかっていたことなのに、いざそれに直面すると、落ち込んでしまう。
こういうところも、私の弱いところだ。
前を向くと決めていたのに、一人になると下を向いてしまう。
グラットは、一人だけのせいじゃないと言ってくれたけど、やっぱり考えてしまう。自分に力があれば、もしかしたら、グラディオおじいさんを助けることができたんじゃないかと。
そんなことを悩みながら、工房近くの城壁前からとぼとぼ城に向かって、ゆっくり歩いていた。
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石畳の上を歩いて進んでいると、気づけば城の目の前にいた。
私は、城の前で見張りする兵士にお辞儀して、中に入っていく。
庭を通り、大きな扉から城の中へ入る。
すると、吹き抜けるように広々とした空間が目に入る。
使用人が綺麗に掃除をしているのであろう、埃一つなくきらきらとしていた。
私は、そんな空間から目を逸らし、一直線に自分の部屋の方へと向かう。
ここ数日間、ルークもフィストも眠りから覚めなくて心配なのだ。
赤いカーペットが敷かれた長い廊下を進み、突き当たりを右に曲がったところの一番奥の部屋の扉を開けた。
ベッドの上では、フィストが目を閉じて眠っていた。
私は、ベッドの横に置いてある椅子の上に腰を掛けて、フィストの寝顔を眺める。
「フィスト……大丈夫だよね……起きるよね?」
そんな不安でいっぱいな気持ちを呟く。
私たち、次の旅に出られるんだよね?
そんな不安が、胸いっぱいに広がっていく。
フィストの手を両手で、祈るように私は握っていた。
その時だった。
僅かに、フィストの瞼が動く。
「んぅぅ……」
フィストは唸るような声を出す。
そして、徐々に瞼が開いていく。
「フィスト……!」
私が、声をかけると猫耳がピクリと反応する。
「うぅーん? なにぃ」
言葉に返事を返しながら、フィストはゆっくりと起き上がる。
私はその瞬間を、ただ呆然と見つめていた。
三日間ずっと眠り続け、いつ目を覚ますかわからなかったフィストが、今こうして目の前で起き上がったことに、まだ実感が湧かなかった。
それでも、あまりの嬉しさに私は思いっきりフィストに飛びついた。
「うわぁぁぁぁぁん!!」
「起きて、いきなり何!?」
突然のことにフィストは驚き、目を見開いた。
「よかったぁぁぁぁ! フィストが起きたぁぁぁぁ!!」
涙目になりながら、私はフィストの体を抱きしめる。
お日様のように温かいフィストを感じて、ようやく私は目を覚ましたことを実感する。
「もう……いきなり、飛びつかないでよ」
言いながら、フィストは私の頭を優しく撫でた。
「だって、だって、だって、フィストも、ルークも三日間眠りっぱなしで、目を覚めないんだよ! 心配で、心配で、不安だったんだよ」
「そっか、そっか……心配してくれてありがとうね」
少し照れくさそうにしながら、フィストが耳元で囁いた。
「うん……」
私は、フィストの肩の上で泣きながら頷いて、笑みを浮かべた。




