50話 シルビィの日記
「行っちゃいましたね」
「ええ」
私は天使様とお姉ちゃんを見送っていた。まだ目が赤い私。本当にお姉ちゃんは幸せになれるのだろうか。私はそれだけが心配だった。
「シルビィ。日記はまだ使えますよ?」
「え? そうなんですか?」
「ええ。この世界から魔法がなくなったわけでは無いですから。最後に近況を伝えてみてはいかがですか?」
「はい! 書いてみます」
天使様に促され、私は交換日記に私の日記を追加する。
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初めまして。
えっと……リノンさんがお姉ちゃんなので、お兄ちゃんって呼ばせていただきますね。
もし、見つけたら、お姉ちゃんに見せてください。
お願いします。
お姉ちゃんがそっちに行った後、結局魔王を倒したのは私一人になりました。
レベル99の女魔剣士……。
最強魔法、最強装備……。
そして、天使様の加護……。
私の事、皆は神のように崇めてきます……。
ついた二つ名は「戦乙女」とかなんとか。
……まぁ、お姉ちゃんが好きなようにやって、私が好きにやったことだから、いいけど……。
この肩書、目立ちすぎます……。
人見知りの私なのに……。
……愚痴はともかく、交換日記は使えるそうなので、お姉ちゃんも寂しくなったら、交換日記を見てね。
シルビィより。
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