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カナイチ・ホームズの好奇心ー冒険者ギルドの小さな名探偵ー  作者: 才練人
〜令嬢婚約パーティー殺人事件〜 第5章 事件の闇が晴れる時

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42/42

第42話 事件の原点

「……カナイチくん、あなたが言うのなら、

 何かきっかけがあったのでしょう?

 私が怪しいと思うようになった理由はありましたか?」

「事情聴取の時です」

「事情聴取?」

「僕はギルドの冒険者が真面目に仕事に取り組んだと思っています。

 マリナさんを始め、多くのギルド職員が、

 彼らなら任せても大丈夫だと太鼓判を押すくらいの、

 信用はあったんですよ。

 彼らが、密かに持ち込まれた爆弾に気づかないのは、

 どういう状況なのかを考えました。

 考えられたのが、ハルトマン財閥、

 あるいはノーマン財閥の方達。

 パーティーを主催した彼らなら、

 密かに用意していても気疲れはしない。

 ましてや、創設者が爆弾で殺されたハルトマン財閥……

 父親を爆殺された娘さんであるあなたが、

 人を殺すために爆弾を所持していた。

 いくら、聡明な冒険者でもまさか予想できなかったと思うんですよ」

「……確かに、爆殺された創設者がいた財閥の人間が、

 爆弾を密かに持ち込んでいるとは思いませんでした。

 盲点ですね」

「……カコ様に目をつけた理由は、

 僕がサトシ・ボーマンを名乗った爆弾がいると聞いた時、

 カコ様は犯人に寄り添う発言をしたのです。

 僕には寄り添う発言自体がとてもおかしいのですよ」

「おかしい?」

「だって、父親を爆殺した犯人グループの一人なんですよ。

 普通なら、かなり怒り狂ってもしょうがないんですよ。

 必死に隠そうとしても、

 多少の表情や声質に変化が起きる筈なんですよ。

 でも、実際は寄り添う言い方……

 僕の脳裏にはカコ様はサトシ・ボーマンに対して、

 悪い印象はないのではないのかと浮かんだのですよ」

「カナイチ、言ってたよね。

 “感謝”、

 “救いの象徴”だって……

 つまり、カコ様にとってサトシ・ボーマンに、

 救われて、感謝していることになるの?」

「アドランも同じ意見でしょ?」


 カナイチの発言にアドランは何も言えずに頷いた。


「……本当に何もかもお見通しなのですね。

 なら、私が二人を殺した理由が……

 “孫が二人に犯されそうになったと気づいたから”

 だけではないとご存知なのですね」

「ええ。

 そうですよ、カコ様。

 事件の発端は、今より昔……

 四十八年前に遡ります。

 四十八年前、

 ゴンゾウ氏がサトシ・ボーマン達の爆弾によって、

 殺害されました。

 けど、爆殺されるよりも前に、

 ゴンゾウ氏は一つの罪を犯しました。

 しかも、メラカ・エーマンが写真を撮っている目の前で」


 カコは何も言わなかったが、

 辛さを耐えるように下を向いていた。


「僕はあなたが、

 サトシ・ボーマンのことを恨んでいないことに気付いて、

 何故、恨んでないのだろうと思いました。

 父が亡くなって遺産など相続して、

 過去のことを水に流したとか、

 時間の流れで、すでに逮捕は諦めており、

 見切りをつけていたとか……

 しかし、パッと思いつくものでは、

 サトシ・ボーマンを名乗る人物が罪を犯していると、

 しかも、ハルトマン財閥が主催とするパーティーで、

 爆弾事件まで起こした犯人を、

 恨む気がなさそうな態度の説明にはなりません。

 加えて、もう一つだけ気になることも出てきた」

「気になること?」

「ミレイ先輩からカコ様とゴンゾウ氏の昔の写真を、

 見せてもらいました

 そして、驚いたのは被害者であるゾウゴさんの顔が、

 ゴンゾウ氏にそっくりだった。

 髭さえなくせば、瓜二つで……

 対して、昔のカコ様はミレイ先輩にそっくりでしたね」

「そうね。

 昔の私にそっくりだと気付いたミレイは、

 とても嬉しそうだったわ」

「……僕は、何故……

 ゾウゴさんとゴンゾウ氏の顔がそっくりなのか、

 不思議に思ったのです。

 僕はゴンゾウ氏について何も知らない。

 だから、ゴンゾウ氏が如何なる人物か、

 調べてみたのですよ。

 ゴンゾウ氏をよく知っている人物から、

 話をお聞きしました。

 ゴンゾウ氏は才覚に溢れる人物で、

 体格はよく、金遣いも良い。

 流行に聡く、商売人としては一流でした。

 でも、一方で女性関係に関してはダメだった」

「そうね。

 父の女性好きには困ったわ。

 私が財閥の娘なのはある意味では運が良かったのよ」

「のようですね。

 そして、女性好きが今回の悲劇に繋がったのです」

「……ええ」

「……教えてくれた人が言ってましたよ。

 ゴンゾウ氏は美人なら、

 胸の大きさなどは気にしない人物。

 美人という事実ならゴンゾウ氏は満足する。

 そして、ゴンゾウ氏が気に入りそうな人物は、

 教えてくれた人物は考えたくないが、

 ミレイ様とおっしゃってましたよ」

「……っ」

「……アナタ、ゴンゾウ氏に、

 性的虐待を受けていましたね?

 しかも、ある時には、

 メラカ・エーマンが撮影している目の前で……」

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