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カナイチ・ホームズの好奇心ー冒険者ギルドの小さな名探偵ー  作者: 才練人
〜令嬢婚約パーティー殺人事件〜 第4章 2つの事件の闇

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第38話 ゴンゾウ

「あら、カナイチくん。

 捜査の方は進んでいるのかしら?」

「まあ、はい。

 ミライ様は何をしているのでしょうか?」

「二つの殺人事件が起きたでしょ?

 今まで招待客の混乱を落ち着かせるように尽力していたのよ。

 やっと、収まりつつあるけどね……

 疲れないと言えば嘘になるわ」


 ミライは資料に目を配らせながら応対する。


「……大変そうですね」

「まあね。

 二年前にお母様から財閥を引き継いだからね。

 当初はいきなりだから驚いたけど……

 だからこそ、お母様から信頼してくださっていますし、

 信頼を裏切りたくないもの」

「いきなりだったのですか?」

「ええ。

 今までも不思議に思っていたのよ。

 けど、引き継いでからもお母様に、

 色々と教えてもらっていたのよ。

 だから、お母様のやり方を、

 私なりに考えて謙遜ないようにしているのよ。

 今では口出しされることも随分と減ってきたわ」

「すごいんですね」

「必死なだけよ。

 財閥もお母様も好きだから……

 カナイチくん。

 世間話が目的で話しかけてきたのですか?」

「そうではないのですが……

 世間話ついでにもう一つ。

 創設者であるゴンゾウ氏って、

 如何なる人物か覚えていますか?」

「ゴンゾウ様?

 そうね。

 私は四十八よ。

 私が生まれた時には、

 ゴンゾウ様はすでに亡くなっていますし……」

「そうですか……」

「ゴンゾウ様のことを知りたいのなら、

 向こうに今でも食べている彼に聞けばよろしいのでは?」


 ミライが指したのはレンゲを使って米料理を食べている、

 年配の男性だった。


「ありがとうございます」


 カナイチは頭を下げてから、

 早速彼に向かった。


「すみません、ちょっとよろしいですか?」

「む?

 何だね?

 取り調べは済んだだろ?」


 カナイチはすでに彼から、

 亡くなった二人の関係について質問していた。

 質問していた時ははっきり言えば収穫はなかった。

 まだ何かしらの脅迫を受けていた可能性もあり、

 見たことはあったか、知り合いか否かを、

 聞いていたが収穫はなかった。


「まあ、確かにそうですね。

 で、今回のは二人についてではないのですよ」

「あ?」

「ゴンゾウ氏について知りたいのですよ」

「ゴンゾウ?

 ハルトマン財閥の創設者か。

 今回の事件に関係あるのか?」

「今は何とも……

 でも、今回の事件に関係性があるのかなと思いまして……

 一つ、お話ししてくださると嬉しいのですが」


 恥ずかしそうに鳥の巣のような頭を掻くカナイチ。


「……まあいい。

 ゴンゾウは確かに才覚に溢れた人物だった。

 彼の言う経営は全てうまくいっていたし、

 流行の流れも、ギルドの今後も何もかも掴んでいた。

 彼は貧乏が嫌で必死に働いていたが……

 彼が会社を大きくしたのは疑いようがなかった。

 冒険者をしていた時もあったが、

 大金が手に入るとすぐにやめていった。

 冒険者やらなくても自然と金が入り、金持ちにした」

「欠点のない人物だったんですね」

「いや、そうでもない。

 おっと、ワシが言うことは内密にしてくれよ?

 “鎮火した問題”だからな」

「鎮火した問題?」

「ゴンゾウは確かに経営に関しては天才だった。

 体格もいいし、酒などを振る舞うことに躊躇のない人物だった。

 だが、良い面以上に“女好き”でもあった」

「女好き……

 ですか?」

「ああ。

 大金を持った時分、女遊びに余念はなかった。

 美人という事実なら色んな女と関係を持つことに、

 躊躇いはなかった。

 貧乳でも巨乳でもどっちでも良かった。

 綺麗なら十分だった。

 だから、カコ様以外の子供がいても不思議ではなかった」

「結構揉めていたでしょ?」

「ああ。

 当時は関係を持った後で一時金をよく払った。

 悪いと思っても、はっきりと言えば……

 若い時に爆殺されたのは幸運な部類だったかも知れない。

 まだ生きていれば財閥は大きくならなかっただろう」

「カコ様の手腕ということですか?」

「そうだな。

 カコ様は娘だけあって、

 父親の遺伝を強く引き継いでいたのだろう。

 あるいは財閥を守りたい気持ちが強かったのが、

 結果的に財閥を大きくさせた要因だったか……

 いずれにしても、カコ様と一緒に働いて、

 ワシ達が財閥を大きくさせたと言っても過言ではない」

「父親が爆殺されたと聞いて、

 大変驚かれたでしょう」

「そうだな。

 両手を使って顔を隠していたが、

 呆然としていて、目から涙が流れていたのを、

 今でも覚えているよ」

「ふむ。

 カコ様は男女関係に厳しかったのは父親に対する、

 いわゆる反面教師だったのでしょうか?」

「かもな。

 父親と肉体関係を持つ女性が多いと、

 知った時の彼女の気持ちは……

 想像に難くないだろう。

 ノーマン一族も男女関係に厳しい側面もあるから、

 マッチしていたのもあるが……」

「……気になったのですが、

 もし、ゴンゾウ氏が生きていれば、

 好みの女性は誰になるのかわかりますか?」

「何だ?

 藪から棒に?」

「いえ、ちょっと気になって」

「……そうだな。

 君と一緒にいる女性も……

 アドランだったか?

 彼女も気にいるだろうな、ゴンゾウは……

 だが」

「だが?」

「アドラン以上に好むだろう人物なら……

 考えたくはないが……」

「考えたくないが?」

「……ミレイお嬢様。

 彼女がゴンゾウが好みそうな女性だと思う」

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