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カナイチ・ホームズの好奇心ー冒険者ギルドの小さな名探偵ー  作者: 才練人
〜令嬢婚約パーティー殺人事件〜 第3章 第二の事件

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33/42

第33話 第二の事件

「はぁはぁ……」


 汗をかきまくったカナイチは急いでホールへと向かった。


「ど、どうしたの、カナイチ!?」

「ひ、人が爆殺されたんだ!」

「ば、爆殺!?」

「なら、さっき戻ってきた人達の言ったことは正しい……

 つまり、予告状は正しかったことに……」

「ミライさん!」

「どうかしましたか、カナイチくん」

「【ジョウマ】と呼ばれる男が寝ている筈なんです!

 どの部屋で寝ているのかわかりますか!?」

「え、ええ。

 名簿見ればわかると思うわ」

「これですね」


 カナイチは急いで名簿をひったくるとパラパラとめくった。


「そ、そのジョウマって人が爆弾魔なの?」

「僕もさっきまでそう考えていたけど……

 ジョウマの友人らしき人物が爆殺されたんだ。

 殺人事件がこの一回だけではないとすると……

 次に狙われているのは彼ってことになるかも知れない!」

「そんな!」

「ジョウマ、ジョウマ……

 ……!

 あった!

 ジョウマ……

 えっ!?」


 カナイチが見つけたジョウマの名前。

 ジョウマの名前を見た時、カナイチは大変驚いた。

 ジョウマのフルネームは【ジョウマ・エーマン】


(エーマンってまさか……

 サトシ・ボーマンが最期に言っていた被害者の名前!?

 メラカ・エーマンの身内!?

 い、いや、気にするのは後回しだ!

 部屋番号!

 部屋番号!)


 だが、カナイチはゾウゴの名前も見ていた。

 ゾウゴのフルネームは【ゾウゴ・カネモリ】。


「あった!

 四階の二百八号室!

 アドラン!

 僕はジョウマさんの部屋に行ってみる!

 マリナさん!

 爆殺された被害者の名前はゾウゴ・カネモリさんです!

 事情聴取とか任せましたよ!」


 アドラン達に指示した後でカナイチは四階へ急いで向かう。


「か、カナイチ!

 私も向かう!」


 その後をアドランも追いかけた。

 四階へ辿り着いたカナイチは部屋番号を順番に目で確かめながら歩く。


「あった!

 二百八号室だ!

 ジョウマさん!

 ジョウマさん!」


 カナイチは大きくドアをノックして呼びかけるが、返事はない。


「ジョウマさん!

 いますか!?

 返事してください!」


 あまりにも必死にドアをノックするので他の客も何事かと思って見に来た。


「ダメだ、騒いでいるのに返事がない」


 カナイチはダメ元でドアノブを回す。

 すると、ドアノブは簡単に回り出した。


「っ!?

 空いてる」

「い、いないってことなのかな?」

「……もしかしたら!

 アドラン!

 他の客を入れさせないようにしてくれ!」

「う、うん」


 カナイチは慎重に部屋に入っていく。

 不用意に指紋がつかないように新しい手袋を嵌めながら。


「ジョウマさん、いますか?」


 恐る恐るとカナイチは言うが、やはり返事はない。

 さらにドアを開けると目に映ったのは異様な光景だった。


「っ!?」


 部屋の床には割れたガラスが散漫していた。

 床に落として割れたものもあれば踏んでさらに細かく砕いたものもあった。


「……!」


 そして、恐る恐る部屋のベッドを見る。


「っ!?」


 ベッドにあったのは毛布の下で寝ているように見えた人だった。

 普通ならただ眠りこけている人のように見える。

 だが、そうではない。

 胸に当たる部分に枕が置かれており、枕と毛布にベッタリと血がついていた。

 カナイチは意を決して毛布を少し捲る。


「……くっ、遅かった!」


 殺されたのはゾウゴと一緒に行動していた人物。

 【ジョウマ・エーマン】であった。


「か、カナイチ、ジョウマさんは大丈夫なの?」

「アドラン、今すぐにマリナさんを呼んで」

「それって、まさか」

「殺されているんだよ……

 心臓をナイフのようなもので一突き」

「そ、そんな!」


 他の客も「う、嘘だろ」と言った感じで動揺を隠せないでいる。


「だから、皆さんもギルドの人が来るまで中に入らないでください。

 ……もしかすれば、連続殺人事件になるのですから。

 中に入ったら殺人犯として疑われますよ」


 カナイチの額から汗が流れ始める。

 ぼんやりとだが……

 カナイチは今、サトシ・ボーマンの亡霊が姿を見せているような錯覚に陥った。

 そして、彼は本当に死んでいるのか、生きているのか。

 死んでいるのなら、誰がサトシ・ボーマンの名を語っているのか……

 わからなくなった。

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