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Cavalry Saga キャバルリー・サガ  作者: 雲来末
赤竜の誘い
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依頼 第三節

(相変わらず大きなブリーフィングルームだなこの部屋)


 室内に入り、十数もの机と椅子に壁一面に嵌め込まれた大型のモニター型魔導器を見やりながらトワは部屋の様子を探っていると・・・


(おっ団長発見。でも誰かと話してる・・・誰なんだろう?)


 室内を見回し大型モニターの前でロブを発見したトワでしたが、それと同時に彼が浅黒い肌をし精悍な顔つきに口ヒゲを蓄え頭にターバンを巻いた見知らぬ男性と話し込んでいるの所を見掛けます。


「総員ロブ団長、及びレイラン国土防衛機士隊隊長カリーム殿に敬礼!」


 年長者であるジーナがそう号令を発するとトワを含めたリャンシャン竜圏傭兵機士団の四人の面子は弾かれたように二人に向かい敬礼します。


(へえ、あの人がカリーム隊長さんかどうりで貫禄がある訳だ)


 先の国境での小競り合いにおいて、意図せず共闘し不利な状況に立たされながらも堂々とした戦いを魅せて、敵キャバルリー部隊を撤退にまで追い込んだカリームに敬礼しつつもトワはまじまじと見つめました。


 するとその視線に気が付いたのかカリームはトワの傍まで歩み寄り・・・


「君がトワ・キビマキさんか?」


「はっ、はい私がそうです」  


 トワがそう返答すると、カリームは突如トワの両手をしっかりと握りこう言います。


「ありがとう。君の適格な救助により部下の命が救われ、又君の助力と奮闘により敵を撤退させる事が出来た。心より感謝する」


「い、いえ私はただ団長に命じられた通りの事をしただけですし、敵の撤退はカリームさん達の活躍があったからですし」


 年上の、しかも中々ダンディーな男性に急に手を握られたトワはどぎまぎしながらそう答えました。


「例えそうであったとしても、君の行いは非常に素晴らしい。だから自分の行動にもっと自信を持って」


 トワの返答を聞いたカリームは興奮気味にそうまくし立てます。


「コホン、カリーム殿。部下の行いを称賛して下さるのは有り難いのですが、そろそろ本題に入ってよろしいですかな?」


 ロブはわざとらしい咳払いをしつつカリームの言動をやんわりと制止します。


「おっとすまない。ついつい興奮して己を御する事を忘れてしまった・・・ロブ殿それにキビマキさん誠に失礼した」


 そう言ってカリームは二人に申し訳なさそうに頭を下げながらそう謝罪すると続けて・・・


「では早速今日の本題・・・我等の新たな依頼をあなた方リャンシャン竜圏傭兵機士団に聞いて頂きたいのだが、よろしいだろうか?」


「了解。慎んでお聞き致します」


 カリームの言葉を受けたロブは不敵な笑みを浮かべつつそう返します。


 そしてその言葉を聞いたトワ達はめいめい部屋にある椅子に座り、カリームの言葉を待ちます。


「今回、私達が皆さんに依頼したい内容は前回と同じくアリーク軍及びアリーク純血機士団の撃退です」  


「という事はまた国境付近での小競り合いか・・・全く懲りないというか学習能力の無い連中だね~」


「いや今度はそう簡単な力押しではなく、搦手を使ってくるようなのですよ」


 ハチロウの楽観的な意見にカリームはすかさず釘を刺します。


「しかしどんな搦手を使って来る気なのかしら?」


「それについては私から説明しよう」


 ジーナの疑問にロブはそう答えると、部屋の明かりを消し例の大型モニター型魔導器を起動させます。


 するとモニターの画面にレイランとテューロス地方の境界に存在する長大な山脈、ギニー山脈とその東端に存在する活火山であるギニー火山の地図が表示されます。


「アリーク側の策はここテューロス地方からギニー山脈に入りこれを越えて、レイランの南部国境線を突破し、そこからレイランの首都を奇襲しようという腹積もりらしい」


 ロブが指し棒を使ってモニター上の地図をなぞりながらアリーク側の意図を説明すると、ミヤコが疑問の声を上げます。


「少し待って下さい。確かギニー山脈及び火山一帯は竜協定により軍隊の侵入は無論の事、キャバルリーの持ち込みも禁止されているのでは?」


「その通りだ。しかし今回アリーク側は協定の穴を突いた策を使うようだと言えば・・・聡明なミヤコならアリークの連中が何を画策しているか解るだろう?」


「・・・まさかアリークは大規模転移魔法を使用するつもりじゃ!?」


「十中八九その通りだろうな」



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