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Cavalry Saga キャバルリー・サガ  作者: 雲来末
赤竜の誘い
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依頼 第二節

「ねーねーお嬢さん。この後ヒマ?組合での用事ってのが済んだら僕と遊びに行かない?」


「・・・相変わらずだなハチロウの奴」


 トワはそう渋い表情で、組合本部のホールで女性魔導師を相手が引いているにもかかわらずナンパしている黒髪にマッシュルームカットで中肉中背で、自身と同い年の少年を見ながら呆れた様子でそう呟きそして・・・


「おいハチロウ、ハチロウ・パタヤ。そちらの女性が嫌がっているだろさっさとナンパを止めろ」


「ん?なんだトワお前か・・・僕の邪魔をしないでもらえる?」


 トワはハチロウの肩を掴んで例の女性魔導師から引き離そうとしますが、ハチロウは悪態をつき一向にトワの言う事を聞く様子はありません。


「あんたさぁ・・・この半年間だけでもそのナンパ癖のせいでどれだけトラブルを起こしたとおもってんの?」


「へん、そんなのおまえの知った事じゃないだろ」


「機士団の皆に迷惑がかかるからこんな公の場では止めろって言ってんの!」


「新入りのおまえに一々説教される覚えは無いね。僕は僕のなやりたい様にやるだけさ」


 互いにヒートアップしたトワとハチロウは組合本部の一階ホールで衆人環視の中、口喧嘩を始めてしまいますが・・・


「二人共その辺で喧嘩は止めなさい。ここは公共の場でしかも組合の本部。これ以上下らない内輪揉めを続ければ機士団の名前にも傷がつきます」


「ミヤコちゃん!?」


「げっミヤコ!」


 二人からミヤコと呼ばれた、小麦色の肌に黒髪のボブカットで年齢は二人より少し下で、トワより少し背が低い少女は更に言葉を続けます。


「二人共、団長から伝言です。次の依頼の話があるからなるべく早く店に戻って来るようにと」


「了解」


「なるべく早くね・・・なら僕はこちらのお嬢さんとお茶を楽しんでから戻るとしよう」


 そういってハチロウは件の女性魔導師を再び口説こうとしますが・・・いつの間にか近寄って来たミヤコに思いっきり耳を引っ張られます。


「イデデデッ!相棒に対して何すんだミヤコ!」


「ハチロウ君がいつまでもバカな事を止めないので、暴力に訴えてるだけです。さあさっさと行きますよ」


 こうしてトワ、ハチロウ、ミヤコの三人はホールに集った一部の人々の刺々しい視線を浴びつつ組合本部の建物を出ました。


 三人は連れ立ってそのまま二~三分程歩くと、とある雑居ビルの地下にある酒場『テクス・メックス』という店に降りていき準備中という看板が掛けられているにもかかわらず、それを無視してそのまま入店します。


「昼間の酒場って不思議な感じ、夜はいつもあんなに賑わっているのに今はとても静かだ」


 誰もおず静まり返ったカウンターや幾つかのテーブルを眺めてトワはそう呟きます。


「不思議もクソも客が入ってなきゃ酒場なんてこんなモンだろう。これだから田舎者は」


「いちいち突っかからないでくれる。ってかナンパしてる所に横槍入れられたのまだ根に持ってるワケ?ほんとあんたって器量が小っさいわね」


「なんだと!?」


「なによ!」


「二人共もうすぐ団長の所に着くんだからいい加減喧嘩は止めて下さい」


「ご、ごめんミヤコちゃん」


「フン」


 ミヤコの叱責にトワは素直に謝り、ハチロウは悪態をつきます。


 そんな他愛ないやり取りをしつつも三人はカウンターの奥にある金属製の扉を開き、酒場の奥に巧妙に隠されたリャンシャン竜圏傭兵機士団の本部とも言える場所に向かいます。


「や~三人共、以外に来るのが早かったね~」


 先程の酒場とは打って変わって、金属製の天井や壁に床に囲まれた通路にてジーナとその相棒であるリザードマンの男性魔導師であるゴドーがトワ達三人に声を掛けてきました。


「ジーナさんこそ来るのが早くないですか?」


「いや今晩、私とコイツが店の仕込み係だったから早く来てたって訳」


ジーナはゴドーに指を指しながらそう言います。そして続けて・・・


「ハチロウとミヤコちゃんはいつもの事として・・・トワは例の娘の情報を得る為に組合へ?」


「ええまあ・・・」


「その様子だと結果はあまり芳しくなかったみたいね・・・でもまあ探し続けていれば必ず見つかると思うわよ。現に店に来る客の話にも地球人達の話題は登るしね」


 ジーナは場の空気が重たくならないようにフランクに話し続けます。


「その娘の事も気掛かりだけど、どうトワ店の、酒場の仕事には慣れた?」


「はいなんとか。ただ傭兵稼業の傍ら酒場も営んでいる事を知った時は驚きましたけどね」


 トワは半年前、自身が所属する事になったリャンシャン竜圏傭兵機士団が傭兵稼業と同時に酒場を営んでいる事を知り、また自身もその店の手伝いをする事になったのを素直に驚いていました。


「まあ一般人にはあまり知られない様に魔法で偽装し、機士や魔導師。それに魔工師や機工師が集まる様に細工し、客同士の連携連帯及び情報交換の場として使われ、私達にも色々有益な情報が入る様にという目的で作られた経緯があるからね」


「成程だからウチの傭兵機士団には様々な情報が入って来ると」


「まあね。それにここだけの話、客の中には裏社会や犯罪組織と繋がっている人間もいるから正規ルートでは得られない情報も得られるし」


「中々危ない橋を渡っているんですね」


「いつの時代も情報を制した者が生き残るモンだからね~まあ多少の無茶はするよ」


トワが多少緊張しつつそう言うとジーナは軽い調子で返します。


「おっとそろそろ団長と所に行かないと」 


 そういうとジーナとゴドーは通路の奥にある部屋へと入って行きました。


 その様子を見ていたトワ、ハチロウ、ミヤコの三人もジーナ達の後を追って慌てて部屋に入るのでした。

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