私は最後に微笑んだ
お読みいただけてありがとうございます。
あの後、泣き止むまでお母様に付き合ってもらった。
その後は、お母様と一緒にお風呂に入って懐かしい話をして上がった後は、意識が遠のく様に眠りに着いた。
次の日になった時、どんなに嫌な事があっても学園は通わなくてはならない。
吹っ切れたけど、特に問題ないと言えば嘘になる……。
馬車に数十分揺られて、学園に着くと……私の事を複数人がこちらを訝しげに見ていた。
しょうがないと思った……イジメは過去に何回もあったけれど、その処分は重い物ばかりだった。
しかし、私のお父様は権力によって……拡散を防ぎ、噂自体を押さえ込んでいたから、重い処分すら無い。
「はぁ……私はこれからどうすればいいのかしら」
口に出したく無くても、出てしまった。
ここから先、この学園ともこの国と関係無い場所に飛ばされるのだから、お別れを取り巻き達に言わないと行けないし。
少しの間だとはいえ、同じ人を好きになった人……ライバルにも言わないといけないわね。
「ネリアさん、おはようございます」
「えぇバーラルさん、ごきげんよう」
学園の裏側にある……ある人との秘密の場所に向かうと、挨拶される。
そう、横に並んできたのはバーラルさん……仲が悪いと言われているけれど、全然そんな事はない。
むしろ、互いの刺激になるような間柄で……テストや実技の授業で私が一方的に勝負を吹っかけてるだけで、仲が悪いように周りが勘違いしただけ。
だから彼女の気持ちも知っているし、私がそれでも構わないと思ったのはそんな理由。
「ネメリオさんから、婚約の約束を言われちゃった!」
「良かったですわね……私は負けちゃったわ」
「ネリアさん、勝負では勝ちましたけど、テストでは今度こそ勝ちます!」
あぁ……本当に、彼女は知らないだと思った。
あの祝いの場は、貴族の集まる場所であったしバーラルさんもいてもおかしくは無かったのだけど。
突き飛ばされた件で、その日は治療を受けていて、関係が無いだろうと言うことで欠席していたのだ。
多分、パーティが終わってその後に婚約を約束しにネメリオ様が行ったのだろう。
私がこの後、何処かの国に飛ばされてしまう事も……もう会えない事になる事も。
でも、言わないといけない、彼女は探してしまうだろうから。
「私……明日別な国に行ってきますの」
「そうなんですか? でも、学園はどうするんですか?」
「ちょっとお休みするわ……話も通してると思いますし」
そして、始まり前の鐘が学園に鳴り響いたため、バーラルは「そうなんだ、行ってらっしゃい」と笑顔で言って走っていった。
動けなかった……やっぱり彼女みたいになれないわね、勝てないのも当たり前か。
その後、急いで教室に戻ると、全員迷惑の様な顔で見てくる。
明日でいなくなるのだから、どう思われようとかまわないわ。
時間が過ぎて、放課後になった……。
授業は全然身に入らず、昼休みには何時もの取り巻きに別れの事を告げる……だけど、あの2人の姿が見当たらなかった。
取り巻きの人達は「何か嫌な予感がしますわ」と怖い事を呟いていた。
そして事件は唐突に起きた。
バーラルさんは、ネメリオ様の所に行った様だけど……それを見送ってから、帰ろうとした時……数人に声をかけられた。
「ネリアさん! こんな事までしようとするなんて、人としてどうなんですか!」
「どういう事……?」
「どういう事? じゃないですよ! 2人にバーラルさんを殺す様に言うなんて!」
そう言われた瞬間、駆け出す……。
まさか、あの時いなかった2人が本当に何かをしでかそうとしていたなんて。
スカートが舞って、周りにも訝しげに見られるが……そんな事を気にしてられない。
「貴女がいなければ!」
「貴女がネメリオ様を取ったから!」
廊下でネメリオ様の教室前で、取り巻きの2人がバーラルの前で、騎士が使ってそうな剣をそれぞれ構えていた。
バーラルはその姿に恐怖を覚えているようで、オロオロしていて。
肝心のネメリオ様は、教室から顔を出すだけで、助けようともしていなかった。
「「死んで償え!」」
「危ない!」
2人が駆け出す前に、バーラルの前に立つために走る。
バーラルの前に立った時には、2人は避けられず……私のお腹に2本の剣が突き刺さる。
剣の切れ味は凄い物で柄まで一気に突き刺さってしまった。
「「ネリア様!?」」
「ネリアさん!」
「はぁ……はぁ……バーラルさんが……無事で良かった……ですわ」
腹に焼けるような痛みと口から吹き出そうな、吐き気する思いをしながら、バーラルの方を向いて言う。
そしてその後、2人に向き直って「ごめんなさい……私の事を思って……したんだと思うわ……でもね」と言って、ゴホッという声と共に血を吐き出してから言う。
「殺してしまっては、ダメ……どんなに憎い事……があってもね」
「「ネリア様! それ以上喋ると」」
「いいの……どうせ長くないわ、この国いられる訳でも……無いし」
ダメ……意識が薄れて行く……でも何故かこれで良かった気がするわ。
彼女が無事で、ネメリオ様と幸せになってくれればそれでいいと思うわ。
……そして、力なく刺さっている2本の剣の重みで崩れ落ちた。
周りの声が反響した様に聞こえていたが、それももう聞こえてこない……。
天に行くのかしらね……と思ったんだけど、ここどこなのよ?
真っ白い空間に意識だけがあるような感覚だった。
『あれ? なんでこんな所にいるの?』
「それは、私のセリフですわ」
『あ、そっか……名前は何ていうの?』
「私? 私の名前はネリア・フォン・カーネラルですわ」
何もない空間から幼い少年の様な子が出てきて、質問をしてくる。
それに答えをすると……うんうん、頷いて。
『僕、本当はこっち担当じゃないんだけど……転生っていうのやってるの』
「は、はぁ……」
『という事で記憶を消して、転生行くよ~!』
そう言って、指を鳴らそうとしたんだけど……鳴らない、まず転生ってなんなのよ!
あれ? でも意識が無くなっていく……天に行けると嬉しいのだけど……。
そして、最後に不審な言葉が聞こえてきた。
『あれ~? もしかして、あっちに送ちゃった? さっきも鳴らなかったし……ま、いっか!』
そんな適当でいいの!? 誰なのかも分からないし、話は全然理解出来ないけど、適当でいいの!?
そう思いつつ、意識が完全に消えた。
次は、章が変わります……ある程度作り終わるまで、お待ち下さい。