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16話 ペルトゥバーティオ大陸


音速を超えているのではないかと思う速度で飛ぶガルダの背に乗り、大空の旅を遊覧すること数時間。始めはジンも忙しなくしていて落っこちないように捕まえていたが、今は飽きたのか胡坐を掻いている俺の膝でグースカと寝ている。


 飛んでいて思ったんだが何故か音速飛行によるGや空気抵抗を感じない、戦闘機と同じ速度で飛んでいるとしても5G以上の重力加速度がかかりとてもではないが座っていられないはずなのだが、今現在なんの問題もなく座っていられる。これはガルダのおかげなのか、それともこの世界では地球の物理法則は機能していないのかは分からない。まぁ考えても答えが出そうにないので諦めた。


 そして暇だったのでガルダにペルトゥバーティオ大陸の事を聞いた。


「なぁペルトゥバーティオ大陸ってどんなとこなんだ?」


《ん?以前、夕餉の際に話したじゃないか》


「改めて聞きたいんだよ」


《そうさね、かなり大きい大陸で上下左中央に国がある。そして上の方に綺麗な湖があり、山脈や森があって色々な種族やモンスターが混在しているさね。》


「かなりざっくばらんな説明だな。国の名前や森の名称とかないのか?」


《名称なんてモノは人が認識を共通化する為の記号さね。私ら神獣やモンスターには不要なモノだから覚えてないさね。》


「はぁ~何とも含蓄のある言葉をありがとう。要は自分で調べろって事ですか」


《背に乗せて飛んでるだけでもありがたく思うさね。私はという神獣は普通なら見ることすら叶わぬ存在なのだから》


「それは、ありがたいと思ってるよ。ってか対価は渡しただろ」


《あぁ、あのどん○とかいう蕎麦は美味だね。だけど日持ちしないのが難点さね、あれじゃ食べたいときにあんたに会いに行かなきゃならないじゃないか。》


「会いにくればいいだろ。毎日じゃなければこちらも迷惑じゃないし」


《めんどくさい》


「元も子もねぇな」


などと雑談をしていると大陸が見え、あっと言う間に着いた。


《それじゃ、適当なところで落とすから、それからは自力で頑張んな》


「あぁ世話になった。ありがとう・・・・って落とす?降ろすじゃなくて?」


《ここでいいか。ここらへんなら人族がいるだろうし・・・じゃぁがんばるさね》

といい、上空1000m付近から落とされた。


「え!?」

「ガウ!?」


 さすがにその衝撃で起きたのかジンが頭にしがみつき震えている。がそんな事に気が回るほど俺には余裕が無かった。水魔法で大量の水の塊にダイブしようか?いやこの高さから水に落ちたとしても、コンクリートの上に落ちるのと大差ないだろう。どどどどうする俺!風魔法なんて覚えてないし、飛行魔法なんて論外だ。っていうか飛行魔法なんてあんのか?

 というか、落とすなら先に言っとけよ!!言ってくれればパラシュートもどきでも作っといたのに!


 地面まで残り100m程でピコーンと思いついた。


「ウォーターフォール!そんでもって液体操作!!」


慌てて水魔法で大量の水を創りだし液体操作で滑り台の形に成形し、その上を滑り下りた。

そう、俺はウォータースライダーもどきを作ったのだ!ただ、角度を間違えたのか地面への衝撃は凄そうだ。恥ずかしげもなく叫びながら慌ててジンを抱えて防御態勢をとる。


「ぉぉぉぉぉぉぉおおおおおあああああああああぁぁぁ あだ!!!」


ケツに酷い衝撃が加わり、勢いが付いているためかそれだけでは止まらず二度三度転がり漸く止まった。


「よかった生きてた、というかよく生きてたな俺・・・・ゲン!生きてるか!!」


抱えているゲンを見ると、余程怖かったのか耳がペタンと垂らして気絶していた。


「・・よかった生きてはいるな」


周りを見渡すと青々と緑が茂る草原であった。遠くには低い丘が見え後ろを振り向くと木々が鬱蒼と茂る森があった。


「とりあえず丘を目指して歩くか、近くに村とか人あればいいけど」


気絶しているジンを肩に担ぎ丘を目指して歩く。

程なくするとジンが起きここがどこだか、わからず戸惑っているのかそわそわしていた。

頬にあたるやわらかい風を感じながら歩いていると丘の向こうから人が二人、こちらに向かって歩いてきているのが見えた。よく見ると片方は背には大剣を携えており、もう片方は大きな盾を背負い足元には狼が寄り添いながら歩いていた。


 ジンが初めて俺とは違う人を見たからか警戒の為唸っていた。俺はジンを宥め、こちらも念のため愛用している武器【黒(木の)棍(棒)】をボックスから取り出しておいた。


すると二人と一匹が近づいてきて、大剣を持っている男が話しかけてきた。


「なぁ聞きたいんだが、ここら辺でオークを見なかったか?」


「いや、俺もさっき来たばかりだから見てないな。」


「そうか、ありがとう」


「なぁ、俺も聞きたいことがあるんだが教えてくれないか?」


「ああいいぞ、俺が知ってる事ならな」


「ここら辺に村とか町とかないか?」


「お前、どこから来たんだ?街ならこの丘の向こうにアルティマスの街があるが、その前にここは辺境で必ずその街を通るはずだぞ?」


「いや、大きな鳥に襲われてね。気付いたらここに落とされてたんだ。」


「それは大変だったな。元々どこにいたかは分からんが、ここは辺境だ。力のあるものは歓迎されるが弱いものは馬鹿にされるから気を付けろよ。」


「あぁ、ありがとう。そっちもオーク狩り頑張ってくれ」


あ~ちょっといいか?と盾を持っていた男が話しかけてきた。


「なぁそっちの子狼を離してくれないか?うちのウルフが怯えてるんだが」


ジンを見ると何故か相手の狼を小突いている。


「こら!こっちに来なさい!」


そう叱ると、ジンはトボトボと俺の足元まで戻ってきて耳を倒して伏せの姿勢をした。


「申し訳ない。ジンが悪さをしたようで」


「いやいいが、うちのウルフはこれでも【グレートウルフ】で滅多に怯えないんだがな。そっちのは、この辺では見ないが強いのか?」


「そうだな、種族は教えられないが、まぁまぁ強いぞ」


そういうと、足元でジンが照れたように俺の膝裏に頭をグリグリしていた。


「まぁ見かけによらず強い奴は多いからな。そいつは小さいが賢そうだし見た目が可愛いから、我が儘貴族が欲しがるかもしれないから気を付けろよ。」


「ああ、気を付けるよ。」


「それじゃ俺たちは行くから、それとこのまま丘を越えればアルティマスがみえてくる。」


「ありがとう。町で見かけたらお礼になんか奢るよ」


「おう、じゃぁな」


そう言い二人の冒険者と別れアルティマスの街へ向かった。


緩やかな丘を登ると、背の高い石壁に囲まれたアルティマスの街と門に並ぶ人の列が見えた。

この世界に来て初めての人工物にテンションが上がり、街へ向かって走りだした。


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