眠りから覚めた暗殺者。
こんにちは、こんばんは煎れ為替派です。
まず、この作品を手にしていただきありがとうございます。
右も左も分かりませんがよろしくお願いします。
では、作品の方をお楽しみ下さい。
屋敷の物陰に隠れる。
気配を消し、息を潜める。
スキル、気配消失を使い気配察知に感知されないようにする。
今回のターゲットは勇者だ。
魔王を倒した勇者は間違いなく世界の脅威だ。
『きたな』
食事を終えた勇者が歩いてくる。
気づいていないな。
平然な顔をして寝室へと向かう。
世界最強、その称号を意のままにする男が今目の前にいる。
『行ったな、あの部屋は寝室で間違いないな』
深い眠りにつくまで平均45分。
誰にも気付かれず、悲鳴も反撃もない。
ノーリスクハイリターン、完璧だ。
この依頼が終われば解放される。
『寝たな、かなり深く寝ているようだ』
絶対に殺せる状況だ。
気配を消し勇者の近くに行く。
息を止める。
『終わりだ、勇者』
長かったな、暗殺にも慣れた物だ。
やっと終わる。
勇者の首にナイフを掛ける。
一発、それ以上の時間はかけられない。
首にかけたナイフを一気に振り下ろす。
間違いなく彼の首は切り離される。
血が吹き出し、返り血を浴びてしまった。
『終わったな、やっと』
クリーン、そう唱える。
浴びた返り血や埃、あらゆる汚れが浄化される。
やっと解放されたのだ。
人を殺し、その対価として金、情報をもらう。
人には言えない職業、それは自分の妻にも。
今まで貯めたお金で家を建て、幸せに...
『エアカッター』
静まり返った寝室にたった一言。
俺の首が切り落とされる。
噴き出る血が止まらない。
止められない。
『何故いきている...』
かろうじて声を発する。
たしかに殺したはずの相手。
何故だ。
首を切り落としたんだぞ、普通なら...
『いいか?俺は勇者だ、首を切られたぐらいじゃ...
終わった...んだな。
あぁ、もっともっと彼女といたかった。
もっと生きたかった。
あぁ、畜生が、次こそ。
幸せに...なって...や...る。
春人ォ!起きなぁさーい!
朝7時、母の咆哮によって目がさめる。
下からは食器の擦れる音が聞こえる。
『はぁ、学校、めんどくさ』
学校、彼にとってこれ以上憂鬱な事はない。
少し頭がいい、少し運動ができる。
たったそれだけなのに。
彼はいじめられていた。
最初はパシリなど軽い物だった。
だがいじめはエスカレートするものだ。
今では暴力なんてものは頻繁に行われている。
『おはよう母さん』
『遅いわよ春人、遅刻するわよ』
『うん...ごめん』
『そうだ春人あんたもうそろそろ誕生日でしょ』
『え?あ、うん』
『何か欲しいものとかないわけ?』
いじめを止めて欲しい。
そんな事が素直に言えるはずもない。
母子家庭の我が家にこれ以上の迷惑は掛けられない。
そんな時、偶然テレビCMが流れてきた。
『フルダイブ型ゲーミングデバイス、ついに登場!レピスト・カミングやモンスタークエストなどよりリアルにより臨場感あふれる世界を一緒に旅しましょう!』
『2032件7月7日発売開始!』
『え...俺の誕生日じゃん』
『あらそ、じゃあなたのプレゼントはこれでいい?』
『あ、うん』
『了解、カセットはどうするの?デバイスだけじゃ何も出来ないでしょ?』
『じゃ、じゃぁレピスト・カミングで』
『わかったはとりあえず予約はしておくわね』
『うん、ありがとう』
『それじゃ、早くご飯食べて学校行きなさい』
『うん』
(学校に行こう、授業料だってタダじゃないんだどんな事でも耐えてやる諦めるな、それが今出来る精一杯だ)
食事を済ませ家を出る。
眠りし才能が目覚めるときはもうそこまで来ている。
『おはよーうぅ、はるとくぅ〜ん』
『相変わらずきなくせぇ顔してんなぁ』
『....』
『無視かよ?いつからそんな偉くなったんだお前』
『なぁお前ら、準備してきてんだろうなぁ?』
教室に入りいきなり絡んできた龍也がクラスメイトに高圧的な態度で問いかけた。
クラスの連中はどこか思うところがあるようだが、声に出さず頷いた。
『じゃぁ、やれ』
龍也の合図と同時に卵、牛乳、古雑巾などが俺に向かって飛び交う。
俺は一瞬でびしょびしょのベタベタ、異臭を発する怪物になった。
(はぁ、制服だって高いんだぞ、どうすんだよこれ)
『うっわくっっさぁw』
『鼻曲がるってぇw』
龍也たちが俺の姿を残そうと写真やら動画やらを撮り始める。
周りの奴らを見ても目を逸らされ、俯かれる。
(見方はなし...か)
『まじヤバァイんですけどw』
『そんなんだから、母親だって旦那に捨てられたんだろw』
は?今なんて言った?母さんが捨てられただと?冗談じゃない。
『おい、今なんて言った?』
場の空気が一変する。
そりゃそうだどんなことをしても切れなかったやつが急に切れたんだ。
誰だってその違和感に気がつく。
だがそんなことにも気づかず龍也は続けた。
『だぁ〜かぁ〜らぁ〜、そんなんだから母親も旦那に捨てられたんだろって言ってんだよ』
間違いなく聞いた、一言一句聞き逃しはしなかった。
(殺ろう、いま、ここで)
そう思い、椅子から立ち上がろうとした時、頭に激痛が走りよろめきながら椅子にもたれ掛かる。
(なんだ、これは)
(誰の記憶だ、知らない、これは一体)
(意識が...遠のいて...い...く)
『はぁっはぁっはぁ、こいつ急に立ったと思ったら気絶しやがったw』
『弱ぇ〜雑魚じゃん』
『黙れ、煩わしい』
『は?お前今なんて言った?俺に向かって黙れって言ったのか?』
『そうだと何かいけないのか?』
『死にてぇのか?』
『ご想像にお任せするよ』
こんのやろぅ、そう言いながら大振りのストレート。
当たるわけないだろう、そんな大ぶり。
だって俺は、暗殺者なのだから。
最後まで読んでいただきありがとうございました。
作品のほうは如何でしたか?
良ければ評価、コメントの程宜しくお願いします。
また、もし気に入っていただけたのならば、今後ともよろしくお願いします。
煎れ為替派




