また会おう
予定していた滞在期間が終わり、俺達は帰って行った。数日かけて船で飛行機の所まで戻る。北半球の人達が整備しているけれどもシッカリ確かめる。要人達を乗せる。北の人達に挨拶する。エンジンを書ける。離陸。
操縦している時の事を俺は覚えていない。とにかく俺達十機全機が無事に着陸した。基地の同胞達や友軍が出迎える。皆、安堵の笑みを浮かべている。
俺達が北半球で過ごしている間にこちらでも交渉は成功したようだ。北から潜水艦部隊でやって来た使節団の数人に牛乳を飲ませたら腹を下したようだが、全員が飲んだわけではなく、飲んでいても命に別状はなかったそうだ。使節団は困惑したが怒りの抗議をしなかった。
こちらも平和条約の他に限定的な貿易と文化交流を始める事が決まった。俺達は議会に書簡を渡すと休むことにした。
ラジオ局の役員として兄は大活躍したようだ。交渉の様子を生中継で南半球の人々に聴かせたのだ。機密情報に関わることは放送できなかったが、それでも聴衆には十分な刺激になった。
電話で母の声を聴く。以前に北の人達を恐れていた母は落ち着いている。本当に北の人達は如才なかったのだろう。
父は皇帝との話の内容を明かすように何度も議会や大統領から求められたが、皇帝が考古学の論文の感想を述べただけだと答えた。皇帝が男の存在理由を問い質した事を伏せた。俺も黙っていた。
子供の頃から北半球の人々との交流を俺は望んでいた。これからそれが実現する。俺はその過程を間近で見てきた。夢が叶った。
休暇が終わると俺は部下に操縦を教えることになった。もっと北半球を往来したかったが、人材育成は大事だ。俺は教えるのが得意ではなかったけれど、安全性と責任を強調しているつもりだ。
四年ほど経って俺は四十歳になり、少将に昇格した。俺は北半球の藍帝国皇帝から手紙を受け取った。手紙にはこう書かれていた。俺達の言語と北半球の言語の両方で書かれている。
私はお前の父・テオドールを時々思い出す。テオドールは男に価値が無い事を認めた。これはあらゆる英雄の戦いにも勝る勇気だ。だからこそ私は男には価値が有ると思う。私も勇気を得ている。お前は父親に誇りを持て、ウォルト。
俺はまた皇帝にお会いしたいと思った。




