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はじめまして、我が主。

~シャトル王国 王家専属病院個室~


「おぎゃあああおぎゃあおぎゃあ」

生まれたばかりの赤ん坊の声が部屋に響き渡る。

「!?」

赤ん坊をみた全員 凍りついて何も言えなかった。

生まれた赤ん坊は…男の子だったのだ。

普通の国であらば なにも問題はないはずだが、この国ではありえないことだ。


今、この国の3人目の『姫様』が生まれるはずだった。このシャトル王国では王家の血を引くもの全員がそれぞれ違う能力をもっている。無敵のように感じるが、この国に生まれる王家は皆 女性なのである。それで、他国との均衡を保っている。だから、国王は婿入りだ。そんなこの国に男の子の赤ん坊が生まれた。当然驚くわけである。


「皆のもの落ち着きなさい。男であろうとも この子は私の息子。王家の血を引くものです。すぐに行動しなさい。」

さすがは王妃様。この一言により バタバタとみな動きだした。


「ハルヤ、ここへきなさい。」

「はっ。」王妃様に呼ばれ私はすぐに向かった。


「ありえないことで、驚いているでしょうが これからアリスをよろしくお願いしますね。」


「もちろんです、命にかけても レーリス族の代表としてしっかりお守りいたします。」


レーリス 一族・・・王家の裏。すべての者が暗殺者としての能力を備えていて 王家の血を守っている。 だが、能力があるわけでもなくただの人間だ。ほとんど男が闇として働くのだが ハルヤは女だが優秀だったため 今日生まれた姫…いや王子に仕える予定であった。

正直すごく驚いたが 男であろうが女であろうが 関係はない。私は私の指名を全うするだけである。


「おい、ハルヤ。」

王妃様と話した後、呼ばれて振り返ると 唯一の友人フェルドが立っていた。女であり、暗殺者であり 一族でも抜群の成績を修める ハルヤをよく思うものは少なく ここにいるフェルドのみ 態度を変えず接してくれている 彼女の大切な友人だった。


「何の用だ?」こんな時に話しかけてくるというと 何か大事な用なのだろう。


「あのさ…お前って笑顔わかるか?出来るか?

王妃様におハルヤにアリス王子を抱かせるように言われたのだがな…。なにしろ、相手は赤ん坊だ。お前のその無愛想な顔では泣いてしまうかもしれないだろ?もし、その感情の動きでアリス王子能力が発動してしまっては困るんだ。笑顔だ え、が、お」


彼は真面目な顔して ひどいことをズバズバと言っている。私の顔をなんだと思っているんだ。

……よし。私は口角を出来る限り上げて 目を細めてニッコリと笑顔を作った。


「ほらこれで、いいだろう?」

とフェルドにみせた瞬間


「ブっッ。」

「あはははっ、そうかそうか、それがお前の笑顔か、いいと思うぞ、俺はなぁ!」となにやら意味のわからないことを言い 「まぁ、早くいけ」と私を送りだして行った。


「あいつ(ハルヤ)笑えないんだなぁ…。あの 変な口にたれすぎた目に光が全くなくて……プっ。アハハっ……アハハハハ」

彼女の背中をみながら彼はボソッと言った後 豪快に笑い出した。


「これから、大変になるけど 頑張れよ。ずっと……ずっと見守っているから」


・*:..。o○☼*゜・*:..。o○☼*゜・*:..。o○☼*゜・・*:..。o○

ハルヤはアリス王子を大切に抱いていた。

傍から見れば 本当は微笑ましいはずだったが……。


((ヒソヒソ))

((何?あの顔は…?不気味というか 怖いというか…))

((王子が泣いていないことが不思議だわ。))


彼女ハルヤの顔は非常に怖かったのだ。笑顔が危なかった。


「アリス王子。しっかりと私がお守りしますから…。生きて…生きて……生き延びて下さいね。大きくなってください。それが、私の望みでございます。」


最後にそっと微笑んだ彼女の綺麗な王子に向けられた笑顔は誰にも見られることなく 消えていった…。

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