はじまり始めた悪夢
私はアリスと出会ってから15年たち、歳をとってしまった。当たり前のことなのだが、それを少し悲しく思ってしまう 私は護衛として アリスを守るものとして 失格なのだろうか…。
あたり1面緑のその場所にハルヤは1人佇んでいた。15年たちハルヤの髪は長く伸び 服も綺麗なものをきているため パッと目を引く容姿をしている。
心地よい風で髪が揺れる。15年はあっという間で、とても濃かった。
「私もずいぶんと弱くなったことだ…。」
((バッ))
背後に気配を感じ腰の短剣を手に取り すぐさま振り返った。
『ハルヤっ!僕だよ、僕。』
首に短剣を当てられていてもなお笑顔なアリスが声をかけた。
「アリスか…驚かせないでくれ。」
ごめんと、ヘラヘラ笑いながらアリスはいう。笑顔にいらっときたのでほっぺをガシッと掴み思いっきり引っ張る。
『いったぁ……っ。よくもやっなぁ……!!』
アリスがムッとした顔をして胸にある蒼く透明なペンダントを触ると、周りの空気がガラリと変わり 体が浮く。
「あ、アリスっ!反則だぞ。」
アリスの能力は、重力を操るものだった。代々の王族とは比べ物にならないくらい 強大な能力であり それゆえに危険も伴う。
この15年アリスの能力を抑えることうまく使うことを徹底してやってきた。 その成果もあり今ではアリスの胸にあるペンダントを触ると能力が発動するという仕組みになっている。
もちろんペンダントもただのペンダントではない。少し特殊な加工をされているため アリスの能力を少し抑えることが出来る。そのペンダントは私のイヤリングとセットになっている。これが私たちの主従関係の証としてもいいだろう。
アリスがやっと私の体を下ろしてくれた後 アリスは突然ギュッと私の体を抱き寄せた。
『寂しそうな顔してたよ…………ハルヤ。』
「……っ」
『もう制御もできるようになった。おっきくもなった。ねぇ……ダメかな?』
「…………」
『ハルヤ。きっちり返事をすると約束したよね?』
耳元で呟かれるとくすぐったいのだが……。
実はハルヤが十歳の頃から毎年誕生日の度に 『告白』というものをされ続けている。私はその度に あやふやにし続けている。だって 主従関係の私たちが こ…こ…恋人同士などになれる訳がない。
だが、5年たったらきっちり返事をすると約束をした。
そして、今日は15歳のアリスの誕生日。返事をすると約束したその日なのだ。
「いぇす」
ボソッと私は言った。こっそりだ。聞こえてたまるものか。
何十秒かの沈黙があった。よし 聞こえなかったか。
『……!?本当に!?ほんとのほんとに!?』
アリスが大きな声で反応する。
「声が大きい。耳元で騒ぐなうるさい。」
……くそ。聞こえていたか。
「そうか、疑うならなかったことにしよう」
にやりと私は笑っていう。
『アリス大好きだよ。ありがとう』
「……///」
不覚にもその言葉にドキッとしてしまった。
それが、とてつもなく悔しくて 私はアリスの胸元を引っ張り 顔を引き寄せ 寸止めの所で
「私もだ」
と呟いた。
『なっ……///』
アリスの顔が真っ赤になった事を確認して 私は 城に向かって走り出した。
♡o。+..:*♡o。+..:*♡o。+..:*♡o。+..:*♡o。+..:*
その様子を 陰からそっと見ている人間がいた。
深くフードをかぶっていて 顔は見えないが 光に反射して光る銀髪。そして、目から零れ落ちている涙だけは 見て取れる。
「アリス様………… 必ず貴方様の目を覚まさせます。貴方様が僕の目の前でお人形になる その日まで。殺してくれと願うその日まで。貴方様を追い詰めてみせますから。」
そしてニッコリと微笑んだ。それは綺麗や可愛いなど甘ったるいものではなく ただただ 恐ろしく怖かった。
「行け」
((ガサ))
『はっ。』




