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fragment (愛とは何ぞや?)

「愛しています、愛しています、愛しています、愛しています、愛しています」


「いきなり何?」


「あなたのことを愛しています」

「心の底から愛しています」

「愛しています、愛しています、愛しています、愛しています、愛しています」


「うん、知ってる。でもいきなり言ってくるのは……まあいつも通りだけど。突然どうしたの?」


「愛しています……私はあなたを愛しています。それに揺らぎはありません」

「変わりはありません。間違いはありません。私の愛は正しい愛です」


「うん、そうだね。それで?」


「あの愛は正しい愛ではない。許される愛ではない。あんなもの、愛ではない。間違っている」


「……いきなりだね。どうしたの?」


「あの愛は許されない! あんな形の愛は許されない、あれは正しくない、間違いです!」

「あんなものがこの世界に成立するなどあってはならない!」


「……うん、それか。ちょっと確認」

「ふうん。なるほど。まあこれはちょっと受け入れにくいか」

「でも、これもまた愛の形の一つだよ? まだ成立しているだけ健全だね」


「あんなもの、あってはならない! 成立してはならない!」

「おかしい、狂ってる、ありえない、許せない!」

「正しくない、間違っている、壊れている、歪んでいる!」


「うん、そう。じゃあ君の思う愛の形はどんなもの?」


「私の愛は、全てを捧げるもの。心も、体も、魂までも、生きる初めから終わり、その全てを」

「あなたに私のすべてを捧げます。私の心も、体も、魂も」

「あなたのために。あなたのすべてに答えるために。私のすべてを捧げます」

「これが私の愛です」


「そう。ま、それも愛の形の一つじゃないかな」

「でも、それは君にとっての、君の思う愛の形。君にとってはそれは正しい」

「だけど他の人にとってそうであるとは限らない。人にはその人だけのものもある」

「愛も同じ。どんな愛の形でも、その本人たちが受け入れているのであれば構わないと思うよ?」


「そんなこと、許せない! 許せない! ありえてはいけない!」

「間違ったものが成立するなんてこと、あってはならない!」


「間違ってはいないんだよ。正しくもないかもしれない。いや、もしかしたらどれも正しいのかも」

「だって、この世界においては全てを肯定されているんだから」

「それと、まあ全てを否定されているんだけどね」

「全てを肯定する。同時に全てを否定する。それがこの世界に成立している一つのルール」

「まあ、全てを肯定すると言うことは否定すらも肯定すること。矛盾しているかな?」

「それに全てを否定すると言うことは否定すらも否定すること。これも矛盾かもね?」

「だから、この世界においては全ては肯定されず、否定もされないんだ」

「だから、どんな形でも、正しくはなくとも間違ってはいない。あの形も、君の形もね」


「………………」


「それに、断罪者が断罪しないのであれば、あれは問題ないと言う扱いなんだよ」

「この世界では基本的にすべてが受け入れられるとされているけど、一つだけ許されないものがある」

「愛の揺らぎ、愛の間違い。まあ、この世界でそれが成立することはかなり難しい」

「特に神格管理が行われている世界においてはね」

「外部から取り込みその情報を元に生まれた世界は運命的に仕方がない場合もある」

「その場合も、幾分か許容されることはあるけど、この世界ではまあありえない」

「だからあれは仮に間違いでも、許容されている間違いなんだ」


「間違っていても問題ないと?」


「正しいことが正しくないこともある。間違っている物をすべて捨てた先に残るものは?」

「正しくとも、正しくなくとも、間違っていても、間違っていなくとも、必要であるものもある」

「君が受け入れられないというのなら、それはかまわない。拒絶も一つの選択肢だ」

「だけど、それを否定してはならない。受け入れないことを選ぶのはかまなくともね」


「……わかりました」


「そう、それでいいんだよ。君は君らしくあればいい」

「間違っていてもいい。正しくなくてもいい。君は僕が受け入れる」

「君のすべてを、君の愛を、受け入れる。そして応えよう」


「……はい」

愛とは何ぞや

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