第11話:遭遇の連続
五人組はまだ石壁迷宮の中を進んでいた。
しばらく歩くと、道の突き当たりに到着した。
瞬が石壁に触れると、石壁は右へと動き始めた。
石壁がほんの少しだけ入り口を現したその瞬間、向こう側から炎が押し寄せてきた。
(何だ?まさか罠か?)
瞬はすぐさま水盾を召喚し、五人の前に立ちはだからせた。
炎が収まり、石壁は半分ほど動いていた。
瞬はかすかに人影を数人見かけたが、それが誰かを見極める前に、第二波の攻撃が襲いかかってきた。
今度は、地面から無数の地刺が突き出してきた。
「皆、避けろ!」
数人は慌てて身をかわしたが、地刺の数は増え続け、足の踏み場もないほどだった。
瞬は地面に手を当てた。
「粉砕!」
「バキン」という音とともに、一箇所の地刺が真ん中から砕け散った。続いて別の地刺、そしてその周囲の地刺へと破壊が広がり、ついにはすべての地刺が粉々になった。
石壁の移動が完了した。
その時、瞬はようやく相手の姿を確認した。彼は九条四郎を認めた。
向こうはまさにA組の人間で、合計八人だった。
「九条四郎だ!彼らはA組の連中だ」
「なかなかやるじゃないか。だが俺たちは三人も多いぞ。食らえ!」
向こうの八人が一斉に魔法棒を掲げ、こちらに向けて構えた。
それぞれの魔法棒の先に光の塊が集まり始める。
そして、八本のレーザーが一斉に放たれた。
「防御魔法!」
青いバリアが五人の前に立ちはだかった。
レーザーはバリアに叩きつけられ、黄色い光を放ち、一行は目を開けていられなかった。
「なぜ私たちを攻撃するんだ!」
イリスが叫んだ。
しかし向こうは答えず、むしろレーザーの出力を上げた。
「ダメだ。八人の攻撃を高橋一人に負わせるわけにはいかない。俺たちも魔力を供給する」
之介が真っ先にバリアへ魔力を送り込んだ。
続いて残りの三人も魔力を送り始めた。
(何日もここにいて、他のクラスの存在をすっかり忘れてた。だがなぜ彼らは会った瞬間に攻撃してくるんだ…)
攻撃は数分間続き、ようやく止んだ。
「まだ生きてたか。どうやら本気を出さないとダメみたいだな」
九条四郎が一歩前に出ると、他の七人が魔力を九条に送り込んだ。
それにより、瞬は巨大な魔力の波動を感じ取った。
そして、五人の周囲に十の輪が現れ、彼らを囲んだ。
輪は黄金色の光を放ち、その中央で何かが育まれているように見えた。
瞬間、十の輪のそれぞれの中心から純白のレーザーが放たれ、瞬のバリアに叩きつけられた。
レーザーはバリアを撃ち続け、五人の周囲はまばゆい白光だけに包まれた。しばらくすると、バリアに青いひび割れが走り始めた。
(バリアが限界だ…白夜、力を貸してくれ!)
白夜の幻影が徐々に瞬の体に溶け込んでいく。それにより、瞬は強大な魔女の力を解き放った。
巨量の魔力が瞬の身から迸り、見えない衝撃波となって外へ広がり、十のレーザーを押し戻し、ついには輪の中へと押し返した。
こうして、相手の攻撃は無力化された。
「そんな…そんな馬鹿な!アルヴァロ、お前が行け!全力でやれ!」
アルヴァロが魔法棒を高く掲げ、目を閉じて、何やら呪文を唱え始めた。
彼の頭上に黒い渦が現れた。アルヴァロが再び目を開けた時、その瞳は血のように赤く染まっていた。そして彼はB組の五人を指差した。黒い渦は縦方向に90°回転し、地面に落ちた。
その深遠な渦の中から、白い、まるで幽霊のようなものが次々と溢れ出し始めた。わずか一秒余りで数十体が涌き出た。
(これらのものは何だ?)
瞬は魔力を高めて防御バリアを展開し、これらの怪物を阻んだ。しかし神秘的な怪物はあまりにも多く、バリア全体がすでに彼らで埋め尽くされていた。
「この怪物は一種の悪霊だ。光魔法での攻撃が最も効果的だ」
白夜が瞬の疑問に答えた。
その言葉を聞いて、瞬は即座に光魔法に切り替え、無数の光の粒子を放った。
光の粒子が悪霊に命中すると、悪霊は苦しみながらもがき、やがて黒煙となって消え去った。
「どうやら光魔法が効くみたいだ。私たちも瞬を助けて攻撃しよう」
イリスが他の三人に呼びかけた。
光魔法の輝きが絶え間なく瞬き、悪霊が形成する半球を少しずつ穿ち続けた。
「無駄だ。俺はまだまだ呼び出せるぞ」
突然、瞬はアルヴァロにこれまでにない魔力が集まっているのを感じた。
(彼…彼の体にはなんと膨大な魔力が!)
「おや?ようやく少しは面白い奴に会えたな」
瞬はアルヴァロの全身に紫色の霧が立ち込め、渦が五つに増え、それぞれが狂ったように悪霊を吐き出しているのを目にした。
今や周囲の悪霊の数は数百、いや数千に達していた。ただ、無数の悪霊が重なり合っているため、見た目ほどの数には見えていないだけだった。
瞬たちが光の粒子を放って悪霊を倒す速度では、アルヴァロが召喚する速度に追いつけなくなっていた。
「一発ずつ光の粒を放ってても間に合わない。範囲攻撃を仕掛けるんだ!」
そう言って、瞬は光のビームを放った。
しかし、ビームが倒せたのは最内層のごく一部の悪霊だけだった。
「光が一層の怪物にしか当たらず、貫通しない!」
夏恋が驚嘆の声を上げた。
「光明殿堂!」
イリスが光の球体を放つと、その球体は四方八方に光を放ち始めた。
すぐに、最内層の悪霊たちはすべて消滅した。
しかし外側の悪霊たちは即座にその空白を埋め、イリスが光明殿堂を再び放つには魔力の回復が必要だった。
(範囲がまだ足りない…光の球なら…俺もやってみよう!)
「目を閉じて!」
瞬が叫び、魔法棒を空中に向けた。
「光球!」
イリスの十倍もの大きさの光球が突然空中に現れ、周囲に強力な光を降り注いだ。しかもその光球は刻一刻と大きくなり続けていた。
遠くから見れば、巨大な光球が周囲のすべてを飲み込んでいるように見えた。悪霊たちはこの圧倒的に強力な光魔法に為す術もなく崩れ去り、アルヴァロの召喚速度は光球の殲滅速度に追いつけなくなった。
「ありえない!ありえない!俺の悪霊攻撃を止められる者なんていない!お前は一体何者だ、そんなに強大な魔力を持っているなんて!」
アルヴァロは狂気の叫び声を上げた。
「ここでお前たちを倒す!」
光球が炸裂し、その余波が残りのすべての悪霊を撃滅した。
九条四郎は慌てて防御魔法を使い、何とか爆発の衝撃波を防いだ。
しかしそれでも口からは一筋の血が溢れ出た。
「お…お前は初めてだ。俺たちにここまで苦しめられたのは!」
瞬は向こうの八人を指差した。
「俺は、一撃でお前たちを倒せる」
「思い上がるな、小僧!」
九条四郎が手を振ると、一斉に火球が放たれた。
瞬は手を上げるだけで、氷壁を出現させてすべての火球を防いだ。
「確かにお前たちは実力者だ。昔の俺なら太刀打ちできなかっただろう。だが…」
瞬は魔法棒を右手に持ち、胸の前に掲げた。
「今の俺は違う——」
瞬が右手を右に振ると、魔法棒はまるで鋭い剣のように風の刃を放った。
(この一撃の風魔法には大量の魔力が込められている。奴らには防げない)
A組の面々は素早く反応し、それぞれ防御魔法を展開した。
しかし、風の刃が防御バリアに触れたその瞬間、九条四郎は悟った。自分が負けたことを。
魔女の力を宿した風の刃は、九条がかつて見たことのない力であり、かつてない強さだったからだ。
風の刃はまるで野菜を切るかのように、次々と八人の防御バリアを打ち破り、八人の体を腰のあたりで真っ二つに切断した。いずれも腰にまっすぐな切断面が残され、鮮血が飛び散った。椎骨の断面、筋肉の横断層の線がはっきりと見えた。残されたのは八つの上半身と八つの下半身。そしてすぐにA組八人の遺体は光の粒子となって消え去った。
しかし風の刃は止まらず、石壁にぶつかってようやく消えた。
「まさか高橋くんがこんなに強いなんてね」
美和子が瞬にウインクを送った。
瞬は戦いの勝利に浸る暇もなく、風の刃が石壁に接触した後の不可解な現象に気を取られていた。
(本来ならこの威力の風の刃なら石壁の数枚を切断するなど造作もないはずだ。なぜ…なぜこんなにもあっさり消えてしまったのか?まさか石壁は攻撃できないのか…)
「よかった!私たちの勝ちだ!あなたが私たちを救ったんだ!」
夏恋が走り寄って瞬を抱きしめた。
その拍子に瞬の思考は中断された。下を向くと、夏恋の、ほとんど発達していないように見える胸が、自分の体にしっかりと押し付けられているのが見えた。
思わず瞬の顔が赤くなった。
「何してるの!瞬から離れて!」
イリスが一気に夏恋を引き離した。
佐藤之介も歩み寄り、瞬の肩を叩いた。
「まさかここまでの実力があるとは思わなかった。君がいなければ、我々は全滅していただろう」
「大したことじゃない。同級生を守るのは当然のことだ。ただ、外ではあまり言いふらさないでほしい。目立ちたくないし、狙われたくもないから」
「わかった。兄弟、俺は絶対に口を割らない。ただ、A組の連中は出た後に何を言い出すかわからないけどな」
「わかった。さあ、進み続けよう。この迷宮はまだ俺たちが攻略するのを待っている」
一行は迷宮の奥へと進んでいった。
ツタンカーメンよ、ツタンカーメンよ。我は敵を撃破し、再び道を進む。いつになったら聖殿の真の姿を目にすることができるのか。
一方、どこか別の場所で――
「宮野、確かにお前が当時言った通りだ。彼には計り知れない実力がある。だが…もう一つの、あってはならない力も見えた。」
「あってはならない力…?」
「ああ。だがまだ断定はできない。こうしよう、お前は引き続き観察を続けろ。俺の方でも生徒会の者を使ってもう一度彼に接触させる」
「承知しました」
(高橋瞬…いったいどうやってその力を手に入れたのかは知らんが、新学期早々お前をマークしておいて正解だったようだ)




