表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

45/137

第45話 クラン内での活動

 アリステラを迎えに行き、無事アリステラを連れてクラン拠点まで戻ってきた。

 ヴェロニア、ミリアン、マーガレットに、アリステラのことを伝え、屋敷の中に入った。


 うん……ここまではよかったんだ。

 何故か俺は今一人で自分の部屋にいた。

 手持ち無沙汰になったので、魔力視の眼鏡を使って魔法の練習をしている。

 6種の魔力色を使う治療を便宜上、パーフェクトヒールと名付けた。

 名前に偽りなく完全に使いこなせるように、魔力色を作る練習はかかせない。



 女性陣は別の部屋で歓談中である。

 何を話しているかわからないが、俺は席を外すように言われてしまった。


 メアリは『暁の刃』のクラン拠点に行っている。

 昨日の話をメアリに伝えたところ、オーガスと話に行くと言って、今朝早く出かけて行った。

 『暁の刃』はお咎めなしになりそうだし、元の鞘に収まるかもしれないな。

 別に弟子をやめるというわけでもなく、従来の関係になるだけだ。


 メアリはクラン拠点の屋敷に引っ越してきたけど、また戻るつもりならミリアンの収納であっという間だし。

 しかし、ケイトさんの料理に慣れてしまうと、この場所は捨てがたいかもしれないな……。



 そうだ、こういう時こそ【以心伝心】の出番じゃないのか?

 異論は認める。


 {まだかかりそう?} とマーガレットに伝えてみる。


 {今いいところですので、お待ちくださいませ} とマーガレットからの返事。


 あっけなく終わってしまった。

 今のところ、マーガレットしか返事ができないし、10文字制限あるので、使い勝手はよくない。

 顔を出さなくても伝わるのは、便利だけどね。


 それにしてもいいところって何のことやら。



 一人思考するには、今がいい機会だな。

 レアスキルはジェロビン達から情報を待つことになるが、本当は自分から積極的に探してみたいんだよな。

 必要なスキルが集まればダンジョン攻略に入れるわけだが、何が必要かもう一度整理してみよう。


 俺の考える理想的な戦闘は、味方が一方的に有利な状況を作り、敵に何もさせないまま殲滅することだ。

 これを実現するために必要なスキルは何だろう?


 【察知】は先に敵の存在を知ることができる。

 【嗅覚】は特定の匂いを嗅ぎ分けたり、追跡したりできる。

 【闇魔法】のダークミストは敵の目を暗ますことができる。

 【火魔法】のファイヤーフロアーは敵の進行を阻害できる。


 盗賊団を退治するときは、これらを組み合わせて使ったが、これだけでは一方的というにはほど遠いだろう。

 最も困ったのが、内部の状況がわからないことだ。

 地図も不明、敵の配置や人数も不明、人質のいる場所も不明だった。

 味方の力量が敵より優れていたから、問題はあまり発生しなかったが、もし同等の力量であれば被害が出ていただろう。


 地図や敵の配置を事前に知ることができるスキルはないのだろうか?

 ないとすれば、【察知】や【探知】のようなスキルを駆使し、探索範囲を徐々に広げつつ攻略するしかないだろう。


 魔物が立ちはだかる以上、攻撃力、防御力がなければどうしようもない。

 攻撃力は、【剣術】や【火魔法】スキルなどで得られるが、魔物には耐性を持つものがいる。

 未知の敵にあたるには、より強い攻撃、より強い魔法の準備が必要だろう。



 次に探索に必要なスキルは何があるだろうか。

 【収納魔法】は便利で役に立つだろう。

 食料や水といった兵站の確保、ポーションや毒消しといった薬類の持ち運びも収納で解決する。

 ミリアンの収納のような大容量があれば、いくらでも持ち運べる。

 しかし、ミリアンは冒険者ではないから、解決しているとは言えないが……。


 通常の攻略では、ダンジョン内に安全な拠点を確保しながら、徐々に探索範囲を広げる。

 しかし、転移魔法前提であれば話は変わる。

 転移陣さえ書いてしまえば、いつでもその場所に戻れる。

 いざという時に撤退も可能だ。

 転移陣が消されたりしないよう、何か結界の様なものが張れるといいのだが……。

 そういうスキルも欲しいな。


 罠対策も考えなければならない。

 もし地図を作製できるスキルがあり、罠も完全に把握できるのであればいいが、そうでない場合は、罠にかからないよう対策が必要だ。

 これは【探知】を熟練することでも対処できるが、未知の罠は防げないこともある。

 何か便利なスキルがあれば、修得を考えるべきだろう。



 とりあえず修得したいスキルはこんなところかな、と思ったところでマーガレットから【以心伝心】の連絡がきた。


 {チェスリーさん、お話終わりましたわ。こちらへいらしてください}


 歓談室にいくと、ヴェロニア、ミリアン、マーガレット、アリステラ、それにケイトさんもいた。

 優雅にお茶を楽しんでいる。


 アリステラも既に馴染んでいるようだ。


 「話し合いは終わったそうだが、どんな話をしていたんだい?」


 「私のお部屋の話ですわ!実は空いているところに、建てさせてもらおうと思っていまして」


 「え?自分で建てるの?」


 「はい!今は人形作りより、家を作る練習をしていますわ」


 「ま、まさか。土魔法で家を作るつもり?」


 「えと、実は土以外でも作れます。あのクマさんの滑り台がとっても好評で、それならいろいろ作ってみようと思いまして、他の素材も試してますわ」


 「へええ。それは凄いね」


 アリステラの魔法で成型されたものは、強度も申し分なかったし、家の材料に適したものを用意すれば、いい家ができそうだな。

 ん……これってもしかして、転移陣を隠す結界代わりに使えるんじゃないか?

 結界候補として覚えておこう。


 そういえば、アリステラのスキルってちゃんと聞いてなかったな。

 てっきり【土魔法】スキルだと思っていたけど、他の素材でも成型できるのって何だろう?


 「アリステラのスキルって何だっけ?」


 「私のスキルは、【能工巧匠のうこうこうしょう】ですわ」


 「え!?まさかレアスキル?」


 「はい!私以外にもレアスキルのお仲間がいるなんて素敵ですわ」


 滅多にいないはずのレアスキル持ちが4人目。

 レアスキルってどれぐらいの確率で、与えられるのかな……。

 少なくともマクナルにいた頃は、他にいなかったけど。


 「【能工巧匠】か……。どういう意味なの?」


 「えーっと、意味は単純で”技能に優れた腕のよい職人”ですね」


 「おお、わかりやすい。それでいろんな加工や成型が上手いんだね」


 「はい、チェスリー様に治療してもらってから絶好調ですわ」


 「チェスリー、そのことでね。アリステラちゃんを私に預けてほしいの」


 「ヴェロニアにかい?それはかまわないけど、何か仕事かい?」


 「うん、魔道具作りに凄く役立ちそうなの。アリステラちゃんのスキルなら、素材を傷めることなく成型できそうなのよ」


 「なるほど……。アリステラはそれでいいかい?」


 「はい!ヴェロニアさんとご一緒にお仕事させていただきますわ」


 アリステラは早速仕事が決まったな。

 今度レアスキルを使ってるところを見せてもらおう。


 「あの、チェスリーさん」


 「ん?何だいマーガレット」


 「私に魔法を教えていただけないかしら」


 「あ、ああ。いいけど何が覚えたいんだい?」


 「その……何がいいかわかりませんの。私の覚えられそうなものはありますか?」


 マーガレットはシアンの魔力色だったな。

 それなら……。


 「多分、風と水の素質が高いと思う。あと治療の魔法が使えるかもしれない」


 「私にそのような素質が……是非、治療の魔法を教えてください」


 「わかった、練習しよう。でも急にどうしたんだい?」


 「……私の【以心伝心】は、既にチェスりーさんが修得しましたし、他の方がレアスキル使うのは難しいのでしょう?私の役割はなくなってしまったのかと……」


 「何だそんな事心配してたのか」


 「私にとっては大問題ですわ!」


 「あ……ごめん、そんなつもりじゃないんだ。マーガレットは俺より素晴らしい魔法の素質がある。【以心伝心】は、まだ可能性を秘めているし、他の魔法も俺なんかよりずっと上手く使えるようになると思うんだ。役割がないなんてありえないよ」


 「チェスリーさん……はい、これからもお願いしますわ」


 公爵様のお嬢様で、魔法の素質も抜群なのに、クランの役割で悩むなんて……。

 マーガレットにとって、クランが大事な場所になっているという事だろうか。

 俺にとっても、もうこのクランは手放したくないものになっている。

 支援してくれる人たちにも、応えられるように頑張ろう。


 「チェスリーさん、私からもいいでしょうか?」


 「ん、ミリアンは何だい?」


 「私も治療の魔法は使えるようにならないでしょうか?」


 ミリアンの魔力って……確か赤系の鮮やかな色だったな。

 火魔法がすぐ覚えられたのはそのためだろう。

 ヒールの魔法は、どうだろう……。

 白と黒の魔力色を作ることができれば治療はできるから、そっちのやり方を教えたほうがよさそうだな。


 「そうだね、聖魔法としては難しいかもしれないが、魔班病治療のやり方ならできるかもしれない」


 「私にもできるかも……お願いします。一生懸命やります」


 二人とも治療の魔法が使いたいのか。

 病気で長く苦しんだ経験を持つだけに、治療に拘るのはわかる気がする。

 それぞれのやりたい事も決まったな。




 その後数日間は、クラン拠点でメンバー内のスキル修得や、魔道具開発を集中的に行うことにした。


 マーガレットは聖魔法の初級であるヒールをすぐ使えるようになった。

 白と黒の魔力色を制御するのは、まだ時間がかかりそうだが、徐々にできるようになっている。

 ミリアンの方は、白と黒の魔力制御がすぐにできるようになった。

 逆に初級のヒールのほうが苦手のようで、上手く使えていない。


 元から持つ魔力色に近い属性のほうが、早く上達するようだ。

 ミリアンが赤系なのに、白と黒の魔力色を早く覚えられたのは、先に火、風、闇の魔法を修得していたからだろう、と想定している。


 そして魔道具開発の方も、順調に成果がでている。

 アリステラのレアスキルは、魔物素材の加工にも適しており、今まで道具で成型して失敗していた素材が、無駄なく成型できるようになった。

 ヴェロニアが最も素材を無駄にしていたところでもあり、もうアリステラなしでの道具作りはありえない、とまで言っていた。



 このような感じで、クラン内でのスキル修得や魔道具開発が順調に進む中、ジェロビンとグレイスから、新たな情報が届いたのであった。


次回は「新たなスキル修得への準備」でお会いしましょう。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
読み終わりに↓ををクリック!いただけると嬉しいです。
小説家になろう 勝手にランキング
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ