表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
4/11

第四話 奴隷

主人公が半端ないレベルのクズに……!

元々その気はあったけど、いつの間に爆発しちゃったんだろう……

 ダンジョンを踏破した俺は、無事にBランクの冒険者となった。

 さすがにいろいろと疑われたが、討伐証明部位の王冠を持っていたので、反論はできなかったようだ。

 まあ、今後もこの勢いで行くとマスターからの呼び出しとかいろいろと厄介なことになりそうなので押さえようとは思ったが。


「お前がまさかいきなりBランクになるとは……俺も鼻が高いぜ」


 あれから、俺の家族内における地位は大幅に上昇していた。

 兄ちゃんは俺のことを弱虫と言わなくなったし、父さんも俺のことを少しは認めてくれたようだ。

 母さんだけは「危ないことはやめてね」と言っていたが、内心では喜んでいる。

 いつも兄ちゃんより一品少なかった晩飯のおかずが、ちゃんと兄ちゃんと同じだけでるようになったのがその証拠だった。


「秘密だよ。それより兄ちゃん、俺のこと漏らすなよ」


「わかってるって。名無しの超凄腕冒険者さんよ」


 俺の顔は特徴がないことが特徴のような平凡顔。

 体系も中肉中背で、髪もこの世界だと良くあるライトブラウンだ。

 そのおかげで、ギルドのほとんどの人間には俺が噂の冒険者だとは気付かれていなかった。

 知っているのはわずかに俺を担当した受付嬢と兄ちゃんだけ。

 数百名いる他の冒険者のほとんどは、俺のことを未だただの新米冒険者だと思っている。

 その方が都合がいいから、助かってるんだけどな。


「さて、俺は次のダンジョンの準備をしないとな。お前も一緒に来るか?」


「兄ちゃんが行くのは<白銀の宮殿>だろ。俺はAランクの<火焔回廊>に行こうかなって思ってるから、パス」


「おいおい、もうAランクに行くのか? さすがに早い気がするぞ」


 AランクとBランクの差はデカイ。

 Bランクまではそこそこ才能があればなれるが、Aランクは天才の領域だ。

 月とすっぽんぐらいの差がマジで存在する。


 俺はあれからも毎日訓練場に入り浸り、スキルをパクっていた。

 そして昨日、<上級黒魔術>のスキルを仕入れたのである。

 上級剣術と上級黒魔術があればきっと何とかなりそうな気がするが、それでもやばいんだろうか?


「兄ちゃんは前、Aランクに行ったことがあるらしいけどどんな感じだった?」


「やべえぞ。超やべえぞ。ダンジョンに入ってから十分で帰ってくるはめになった」


「そりゃやばいなあ……」


 兄ちゃんは脳筋だけどその分強い。

 その兄ちゃんが十分でやられるとなると、想像以上のヤバさだ。

 これは何か対策をしないと。


「うーん、PTでも組むしかないか。だけどそれだと……」


「分け前とかが心配なのか? なら、奴隷を買ったらどうだ」


 おお、そういえば奴隷とかあったなこの世界!

 俺は兄ちゃんに礼を言うと、すぐさま奴隷商人のいる裏通りへと向かった。

 だがしかし……


「た、高いですね……」


「特殊なスキルで捕まえて……ごほん、服従させておりますからな。高くついてしまうのですよ」


 俺は奴隷商人に優秀な冒険者の奴隷を見せてもらっていたが、どれも恐ろしく高かった。

 想定していたよりも桁一つ多い。

 とても俺の払える額じゃない。


「もう少し負けられませんかね?」


「……失礼ですがお客様、お金がないようで?」


 商人の眼が変わった。

 やばい、これは怖い!

 俺は急いで彼に頭を下げると、一旦商館から引き揚げた。

 腕っ節では勝てても、商人を敵に回すと後々が怖いからな。


「どうしよ……うん、待てよ」


 奴隷は普通の人間に特殊なスキルで掛けることで生まれる。

 このスキルを使える人間、もしくはそれを雇っている人間が奴隷商人というわけだ。

 普通は借金で身売りをした人間や犯罪者にしかスキルの使用は許可されていないのだが、さっき俺が見たような冒険者の奴隷はほとんどが許可されていない違法奴隷。

 国も強力な奴隷を欲している関係上、暗黙の了解である程度はお目こぼしされているのである。

 しかもいったんスキルを掛けてしまえば、それが違法なのか違法でないのかの判断はほとんどできないから取り締まり自体も限りなく難しい。


「よーし、スキルをパクって自分で奴隷を用意すればいいんだ!」


 俺はさっそく、奴隷商人の商館の監視を始めた。

 そうして日が暮れた頃、ついに商人が護衛を引き連れて行動を開始する。

 どうやら今夜、奴隷の捕獲に向かうようだ。


「いよいよだな……!」


 一般の人間はほとんど近づかない貧民街。

 そこに侵入した奴隷商人一行は、周囲に人がいないかどうかを確認すると一人の子どもを捕まえてきた。

 そしてその子どもに向かって、奴隷商人が手をかざす。


「汝、我が手の内に墜ちよ!」


 商人の手のひらから光の鎖のようなものが伸びた。

 たちまちそれが子どもを縛り上げていく。

 これが奴隷を捕獲する特殊スキルのようだ。

 やったぜ、初日にしてうまく行った!


 見つかるとやばいので、俺はすぐにその場を離れた。

 そして十分奴隷商人から逃げたところで、ギルドカードを確認する。

 するとそのスキル欄には<奴隷捕獲術>というスキルがきっちりと増えていた。


「さて、あとは奴隷にする冒険者だな」


 これについては、俺には一つ心当たりがあった。

 王都に住む冒険者のうち、最強と目されている女騎士フェルナである。

 ギルドには二週間に一度しか姿を現さないが、人嫌いで常に一人で行動しているため俺のターゲットとしては最適だ。

 しかもいつも甲冑を着こんで顔を隠しているから、奴隷にしたところでそれを取ってしまえばまずばれない。

 ギルドにしても、ダンジョンに連れて行く奴隷について細かいことは詮索しないし。


「確か、次にフェルナがギルドへ現われるのは四日後だな」


 

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ