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第五章「白雪しおり、最後の配信」

いよいよ最終回です。


白雪しおり、最後の配信。


そして、兄と妹の一ヶ月のお話も、これで終わります。


最後まで見届けていただけたら嬉しいです。

 コラボ配信から数日が過ぎた。


 白雪しおりの登録者数は、二万人に届こうとしていた。


 俺は相変わらず昼は講義を受け、

 夜になると大学へ戻り、ゼミ室で配信をする生活を続けている。


 もう母も何も言わない。


「最近頑張ってるのね」


 そう言われるだけだった。


 嘘は言っていない。


 実際、レポートもちゃんと書いている。


 ただ、その前に配信をしているだけだ。



 夜。


 今夜も、いつものゼミ室。


 配信はまだ始まっていない。


 俺はノートパソコンを開き、時間までレポートを書いていた。


 キーボードを叩く音だけが静かに響いている。


 その横では。


 陽子が配信機材の片付けをしていた。


 使わなくなったケーブルを束ねたり。


 録画データを整理したり。


 今日も、いつもの光景だった。


 ふと。


 キーボードを打つ手が止まる。


「なぁ、陽子」


「ん?」


 画面から目を離さないまま返事が返ってくる。


 俺は少しだけ考えてから口を開いた。


「そろそろ引退配信をやろうと思うんだが」


 その瞬間。


 陽子の手が止まった。


「……え?」


 珍しく驚いたような声だった。


 俺は画面を閉じる。


「もう、役目は終わったと思う」


 少しだけ静かな時間が流れる。


 陽子は何も言わない。


 しばらくして。


 小さく笑った。


「……そうね」


挿絵(By みてみん)


 その笑顔は少し寂しそうで。


 でも、どこか嬉しそうでもあった。


「結衣ちゃん」


 そう言って陽子はスマホを取り出す。


 猫田にゃこらのチャンネルを開いた。


 最近のアーカイブが並んでいる。


『雑談配信』


『ゲーム配信』


『夜のおしゃべり』


 どれもサムネイルには笑顔の猫田にゃこらが映っていた。


 陽子は一つ再生する。


『こんばんはー!』


 元気な声が部屋へ流れる。


『今日はですね!』


『新しいゲーム買っちゃいました!』


 画面の猫田にゃこらは、本当に楽しそうだった。


 コメントを読んで。


 笑って。


 失敗して笑って。


 またコメントを読んで笑う。


 数字の話は、一度も出てこない。


 登録者は千人を超えていた。


「変わったよね」


 陽子が静かに言う。


「ああ」


「最初の頃とは全然違う」


 俺も小さく頷いた。


 以前の結衣なら。


 配信中もチャンネル登録者を確認していた。


 コメントよりも数字。


 楽しさよりも結果。


 そんな配信だった。


 でも今は違う。


 楽しそうに笑っている。


 その笑い声だけで十分だった。


「役目を終えるには」


 陽子がスマホを閉じる。


「ちょうどいい頃かもね」


 俺は静かに頷いた。


「最後はどうする?」


「普通に引退しますって終わるのもいいけど」


 少し考える。


 すると陽子が何か思いついたように笑った。


「あっ」


「最後に猫田にゃこらちゃんと二人でコラボしない?」


「二人で?」


「うん」


「また猫田にゃこらを見たいってリスナーさんもいたでしょ?」


「最後にゆっくりお話しして」


「その最後で引退発表」


 なるほど。


 その方が自然かもしれないな。


「それがいいかな」


「でしょ?」


 陽子は嬉しそうに頷く。


「じゃあ早速連絡してみるね」


 スマホを取り出す。


 DMを開く。


 送信。


『もしよろしければ、今度は二人で雑談コラボしませんか?』


 数秒後。


 返信が来た。


『えっ!?』


『ぜひお願いします!』


『すっごく嬉しいです!』


 陽子は思わず吹き出した。


「相変わらず反応早いね」


「喜んでるみたいだな」


「うん」


 少しだけ画面を見る。


 そして静かに呟いた。


「最後まで、この子らしいね」



 いよいよ引退配信の当日。


 夜の大学。


 静まり返ったキャンパス。


 ゼミ室だけに明かりが灯っていた。


 いつもの機材。


 いつものマイク。


 いつものノートパソコン。


 でも。


 今日は少しだけ違う。


 陽子は黙ったまま準備を進めていた。


 配信画面には二人だけ。


 左側に白雪しおり。


 右側に猫田にゃこら。


 コラボのときのじゃない、いつもの背景、

 シンプルなレイアウトだった。


「なんだか寂しいね」


 陽子がぽつりと呟く。


「そうか?」


「この一ヶ月、毎日ここで配信してたから」


「もう終わりなんだなって」


 俺は画面を見る。


 静かに微笑む白雪しおり。


 最初は、ただ結衣を助けるために始めた配信だった。


 それがいつの間にか。


 二万人もの人が集まる場所になっていた。


 コメント欄には。


『待機』


『今日は二人だ!』


『また猫田にゃこらちゃん来るんだね!』


『楽しみ!』


『こんばんは!』


 少しずつ人が集まってくる。


 陽子は深呼吸をする。


 そして。


 いつものように。


 マウスへ手を置いた。


「じゃあ、智也」


 小さく笑う。


「最後の配信、始めようか」


 クリック音が静かなゼミ室に響いた。


 画面の右上に。


【LIVE】


 の文字が表示された。

 

 

「こんばんは」


「白雪しおりです」


「今日も来てくださってありがとうございます」


 コメント欄が一気に流れ始める。


『こんばんは!』


『待ってました!』


『今日はにゃこらちゃんだ!』


『コラボ楽しみ!』


 白雪しおりは穏やかに微笑む。


「今夜は素敵なゲストをお招きしました、

 先日の配信でご一緒した猫田にゃこらさんです」


「猫田さん、本日もよろしくお願いしますね」


 画面の向こうで猫田にゃこらも笑顔になる。


「はい!」


「よろしくお願いします!」


 以前のような硬さはもうない。


 自然な笑顔だった。


「あれから配信はいかがですか?」


 白雪しおりが優しく問いかける。


「はい!」


「最近すっごく楽しいです!」


 即答だった。


 コメント欄。


『楽しそうだよね』


『最近めっちゃ変わった』


『笑顔増えた』


『毎回見に行ってる!』


 猫田にゃこらは嬉しそうに続ける。


「最近はコメント読むのが好きになったんです」


「ゲームももちろん好きなんですけど」


「みんなとお話しするのが楽しくて」


「気が付いたら雑談ばっかりしちゃってます」


 コメント欄。


『分かる』


『にゃこらさんの雑談好き』


『配信の空気変わったよね』


『すごく見やすくなった』


 猫田にゃこらは照れ笑いを浮かべる。


「この間のコラボからなんです」


「みなさんとお話しして」


「こんな感じでもいいんだって思えて」


「前よりずっと楽しく配信できるようになりました」


 そして。


 少し照れくさそうに笑う。


「だから」


「白雪さんには感謝してるんです」


「コラボに誘ってくださって、本当にありがとうございました」


 コメント欄。


『いい話』


『あのコラボ好きだったな』


『また見返そうかな』


 白雪しおりは静かに首を振る。


「いえ」


「こちらこそ、ご一緒できて楽しかったですよ」


 猫田にゃこらは少し考えてから口を開く。


「あの……」


「実は一つ、前から気になってたことがあるんです」


「はい」


「どうして私をコラボに誘ってくれたんですか?」


 一瞬だけ。


 ゼミ室の空気が止まる。


 陽子が小さく目を見開いた。


(えっ……)


 思わず智也を見る。


 智也は一瞬だけ考えたあと。


 いつもの穏やかな笑顔のまま答えた。


「猫田にゃこらさんが」


「初めて私の配信へ遊びに来てくださった時のことを覚えています」


 猫田にゃこらは目を丸くする。


「えっ?」


「コメントが、とても楽しそうだったんです」


「楽しそう?」


「はい」


「だから」


「一度ゆっくりお話ししてみたいなと思いました」


 コメント欄。


『なるほど』


『そんな理由だったんだ』


『知ってる、あれ見てた』


 猫田にゃこらは思い出したのか、少しだけ照れながら笑う。


「そうだったんですね」


「実は私も」


「白雪さんの配信を見て」


「配信って、こんなに楽しいものなんだって気付かされたんです」


 コメント欄。


『いい話』


『出会えてよかったね』


『泣きそう』


 白雪しおりは静かに微笑む。


「そう言っていただけると」


「私も嬉しいです」


 少しだけ間が空く。


 すると猫田にゃこらは、思い出したように声を上げた。


「あっ、そうだ!」


「もう一つ聞いてもいいですか?」


「はい、もちろんです」


「この前のコラボで」


「みなさん、VTuberを始めたきっかけを話してましたよね?」


「はい」


「でも」


「白雪さんだけ話してなかったなって」


 コメント欄。


『確かに』


『聞きたい』


『気になる!』


 白雪しおりは少しだけ困ったように笑う。


「そうでしたね」


「白雪さんは」


「どうしてVTuberを始めたんですか?」


 今回はさすがに答えに詰まった。


 妹を助けるために始めたとは言えない。


 ほんの少しだけ。


 視線を横へ向ける。


 陽子と目が合う。


 陽子は何も言わない。


 ただ。


 小さく口だけ動かした。


『そのまま』


 智也は小さく息を吸う。


 そして。


 白雪しおりとして静かに答えた。


「私の大切な人が」


「少し元気をなくしてしまって」


 コメント欄が静かになる。


「また笑ってくれたらいいなと思ったんです」


 誰も話さない。


 猫田にゃこらも。


 コメント欄も。


 ただ静かに聞いていた。


「それが」


「私がVTuberを始めた理由です」


 コメント欄。


『優しい』


『そういう理由だったんだ』


『その人、きっと幸せですね』


『誰なんだろう』


 猫田にゃこらも、小さく微笑む。


「その方」


「きっと今は笑っていますね」


 白雪しおりは。


 ほんの少しだけ目を細めた。


「そうだと嬉しいですね」


 その声は。


 どこか安心したようにも聞こえた。


「そういえば、この時間まで配信していると、お腹空きません?」


 と猫田にゃこら。


「そうですね、お夜食が欲しくなっちゃいますね」


「白雪さんって、好きな飲み物とかあるんですか?」


「ホットミルクとか、よく飲みますよ」


 白雪しおりが笑顔で答える。


「ホットミルクですか?私も最近よく飲むようになったんです」


「そうなんですか?」


「……なんでだろう?」


 猫田にゃこらは少し首を傾げる。


「寝る前に飲むと落ち着きますよね」


 白雪しおりも自然に笑う。


「寝る前にクッキーと一緒にいただくと、落ち着きますから」


「……えっ」


 猫田にゃこらの声が止まる。


 一瞬だけ。


 何かを思い出したかのように表情が変わった。


「どうされました?」


 気付かないまま話を続ける。


「甘いものを少しだけいただくと」


「よく眠れますよね」


 それを聞いた猫田にゃこらは。


 小さく笑った。


「そうですね」


「私も最近好きです」


 その笑顔は。


 どこか懐かしかった。



 少しだけ空気が戻る。


 猫田にゃこらが少し照れくさそうに笑う。


「私、最近ゲームしてても怒らなくなったんですよ」


「そうなんですか?」


「はい」


「対戦ゲームとかすると、どうしても勝ち負けにこだわっちゃいません?」


 コメント欄。


『分かる』


『熱くなるよね』


『あと一歩で負けると悔しい』


 猫田にゃこらも笑う。


「この間も、あと少しで勝てそうだったのに負けちゃって」


「悔しくて、思わずコントローラー投げちゃいました」


 コメント欄。


『ダメだよ(笑)』


『あるあるw』


『壊さないでねw』


 猫田にゃこらは照れ笑いを浮かべる。


「でも、そのあと笑っちゃったんです」


「前だったら、そのまま落ち込んで配信終わってたと思うんですけど」


「最近は」


「まぁ、いっかって思えるようになって」


 コメント欄。


『成長した』


『それ大事』


『配信楽しめてるね』


 白雪しおりも微笑む。


「それは、とてもいい変化ですね」


「はい!」


「負けるのは悔しいですけど」


「ゲームって、勝つことだけじゃないんだなって」


 少し笑う。


「前はそんなこと考えたこともなかったです」


 白雪しおりも思わず笑う。


「でも、昔から負けず嫌いでしたものね。」


 その瞬間。


 静寂。


「……」


 智也の動きが止まる。


 横にいた陽子も固まった。


(しまった)


 そう思った。


 今の一言は。


 白雪しおりが知るはずのないことだった。


挿絵(By みてみん)


 コメント欄は――


『負けず嫌いなんだw』


『かわいい』


『分かる』


 誰も気付いていない。


 ただ一人。


 猫田にゃこらだけが。


 数秒。


 何も言わなかった。


 そして。


「ふふっ」


 小さく笑う。


「そうなんです」


「私、負けず嫌いなんです」


 それだけだった。


 何事もなかったように。


 そのまま話を続ける。


 白雪しおりも。


 それ以上何も言わない。


 陽子だけが。


 そっと胸をなで下ろしていた。 



 そのあとも、取り留めのない雑談配信は続いた。


 コメント欄はいつも以上に賑わっていた。


『二人の空気好き』


『ずっと続けてほしい』


『またコラボして』


『最高』


 コメント欄を見る。


 そして、白雪しおりは…


 少しだけ視線を落とした。


「皆さん」


 その声色が。


 ほんの少しだけ変わる。


「今日は」


「一つ、お話があります」


 コメント欄。


『?』


『なんだろ』


『新企画?』


 猫田にゃこらも首をかしげる。


「実は私」


 一呼吸置く。


「今日で活動を終えようと思っています」


 一瞬。


 時間が止まったようだった。


 コメント欄が一気に流れ始める。


『え!?』


『嘘でしょ!?』


『なんで!?』


『引退!?』


『嫌だ!!』


 猫田にゃこらも固まっていた。


「えっ……」


 小さく声が漏れる。


「どうして……?」


 白雪しおりは。


 いつもの穏やかな笑顔のまま。


 静かに答えた。


「役目を終えたから……でしょうね」


 少しだけ笑う。


「それに」


「私より素敵な方が、たくさんいらっしゃいますから」


 猫田にゃこらは。


 何か言おうとして。


 言葉が出てこない。


「そんな……」


 ただ。


 その一言だけが静かに零れた。



 コメント欄はまだ騒がしかった。


『本当に終わっちゃうの?』


『寂しい……』


『また戻ってきて』


『最後なんて嫌だ』


 白雪しおりは静かにコメント欄を見つめる。


 そして優しく微笑んだ。


「皆さん、本当にありがとうございます」


「短い間でしたが」


「皆さんとお話しできて、とても楽しかったです」


 コメント欄。


『こっちも楽しかった』


『ありがとう』


『泣きそう』


 猫田にゃこらも、まだ少し寂しそうだった。


 何か言いたそうにしながらも、言葉が出てこない。


 そんな空気を変えようと思ったのか。


 猫田にゃこらは小さく笑った。



 時計を見る。


 終了の時間だった。


 白雪しおりは静かに微笑む。


「それでは」


「そろそろお時間ですね」


 コメント欄。


『もう終わり?』


『早い』


『寂しい』


 猫田にゃこらも小さく頷く。


「今日は本当にありがとうございました」


 少しだけ寂しそうに笑う。


「私」


「白雪さんとお話しできて」


「本当に楽しかったです」


 白雪しおりも笑う。


「私もです」


 少しだけ間を置く。


「皆さん」


「これまで本当にありがとうございました」


 そして。


 猫田にゃこらを見る。


「これからは」


「猫田にゃこらさんを、よろしくお願いします」


 コメント欄が一気に流れる。


『ありがとう』


『お疲れさまでした』


『猫田ちゃん応援する!』


『最後まで最高でした』


『またどこかで』


 白雪しおりは。


 最後まで穏やかに微笑んだ。


「それでは皆さん」


「おやすみなさい」


 画面が暗転する。


【配信終了】


 静かなゼミ室に。


 クリック音だけが残った。



 数日後。


 夜の大学。


 ゼミ室。


 俺は一人、レポートを書いていた。


 ノックの音。


「入るよ」


 陽子だった。


「終わった?」


「うん」


 陽子は俺の向かいへ座る。


「白雪しおりのアカウント」


「全部消したよ」


「チャンネルも」


「SNSも」


「動画も」


「全部」


 俺は小さく頷いた。


「ありがとう」


「今回は本当に助かった、陽子には感謝してる」


「どういたしまして」


 二人とも笑う。


 少しだけ沈黙が流れた。


 この一ヶ月、結衣を助けるために始めたVTuber配信が終わった。


 猫田にゃこらは毎日楽しそうに配信し、人気も自然と出ていた。


 ゼミ室も以前と同じ静けさを取り戻していた。


 陽子は思い出したように口を開く。


「そういえば、智也」


「ん?」


「言ってなかったことがあるんだけど」


「なんだ?」


「実はね、アカウント消す前にDM来てたよ」


「DM?誰から?」


 陽子はスマホを取り出しテキストファイルを開く。


 送り主。


 猫田にゃこら。


 陽子は、ゆっくりと読み始めた。


「白雪しおりさんへ。」


「今までありがとうございました。」


「コラボも、おしゃべりも、本当に楽しかったです。」


「それから……」


「もしかして、お兄ちゃん?」


「違ったらごめんなさい。」


「でも、もしそうだったら。」


「今までありがとう。」


「あの時のホットミルク、美味しかったよ。」


「クッキーも。」


「最近は配信が楽しいです。」


「みんなとお話しするのも好きになりました。」


「私、自分らしく頑張ってみる。」


「お兄ちゃんも元気でね。」


 読み終わる。


 ゼミ室は静かだった。


 俺は窓の外を見る。


 大学の外には夜景が広がっている。


 小さく笑った。


「そうか」


 ふっ、と一息ついた。


 陽子も何も言わない。


 二人で丘陵から見えるモノレールの駅と静かな夜景を眺める。


 きっと今頃。


 どこかで猫田にゃこらは配信をしている。


 もう数字を追いかけるためではない。


 誰かと笑って。


 誰かと話して。


 自分らしく楽しむために。


 それで十分だった。


挿絵(By みてみん)


(俺の妹が承認欲求モンスターなんだが、なぜか俺が人気VTuberになっていた・完)


最後までお読みいただき、本当にありがとうございました。


『俺の妹が承認欲求モンスターなんだが、なぜか俺が人気VTuberになっていた』


これにて完結です。


最初は、登録者数や再生数ばかりを気にして、配信を楽しめなくなっていた妹。


そんな妹を助けるために、兄が自分でVTuberを始める。


そこから始まった、一ヶ月のお話でした。


白雪しおりは、結衣を説教しません。


「数字を気にするな」とも、「もっと自分らしく配信しろ」とも言いません。


ただ、自分が楽しそうに配信する姿を見せて、同じ場所へ招いて、最後にいなくなる。


その結果、結衣自身が、


「配信って楽しいんだ」


と気付く。


そんな物語を書いてみたいと思って始めた作品でした。


そして最後。


白雪しおりの正体に気付いた結衣は、その場では何も言いません。


兄も、妹が気付いたことを知りません。


でも、最後のDMだけで。


二人には、それで十分だったのだと思います。


「あの時のホットミルク、美味しかったよ」


個人的にも、この作品で一番好きな言葉になりました。


ここまで読んでくださった皆さま。


白雪しおりと猫田にゃこらを見守ってくださった皆さま。


本当にありがとうございました。


また次の作品でお会いできたら嬉しいです。

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