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新しい仲間ヒナ

「君に名前はあるのかい?」

「ないよー」


 生まれてまもなくで話せているが、まだ名前はないらしい。

「ポルックルはどうして生まれてきたの?」

「うーん。森に呼ばれてパパのところに行くように言われた」

「森に呼ばれた?」

「よくはわかんない。ねぇパパ私っていらない子なの?」


 ポルックルが木のコップを持ったまま目を伏せ、瞳をウルウルとさせ口をへの字に曲げる。

「いやいや、そんなことないよ。君はきっと僕たちのところに必要だから生まれてきてくれたんだよ。誰にでも、この世に生まれてきたからには役割があるんだから」


「そうだぞポルックル。ここにいるダンだって万年Dクラスでうだつもあがらない男だったけど、今はこうして仲間に囲まれているんだからな。一つの基準だけで自分の価値を決めつける必要はない。これからできることを探していけばいいよ」


「ありがとう、お兄ちゃん」

「ん? ポルックルは今俺のことをお兄ちゃんって呼んだのか?」


「そうだよ。だってポチはパパの子供みたいなものでしょ? 私よりも先にパパの子供になったんだからお兄ちゃんでしょ」


「グヘヘヘ」

 ポチの笑い方が気持ち悪かった。


「おいっダン聞いたか? 俺がお兄ちゃんだってよ。大丈夫なのか? 未婚なのに2人の子供のパパになっちゃって。こりゃ大変だな」


「あぁ大丈夫だ。もちろん。うちの長男は優秀だからな。しっかり頼むぞ」

 俺はポチの頭をしっかりとなでてやる。


「普通に返されると調子が狂うぞ。でも任せろ。一家の大黒柱として俺がしっかり働くからな」

「俺が大黒柱だ! なんて言うつもりはないからポチに任せた! それよりもジャミルから生まれて来た子供だけど、ジャミルの子として育てなくていいのか?」


「俺の魔力かなにかで生まれた可能性はあるが、このモグラが何かしたっていうのがあるからな。正式に俺の子というわけではない。それにどちらかというと、さっきの森に呼ばれたって言い方だとここの街の子って感じなんじゃないか? この街はダンの街なんだから、その子もダンの子でいいだろう。それに俺は子供を育てるつもりはない」


 ジャミルは完全に育てるつもりはないらしい。

 まぁ、今さら子供一人増えたところでこの大人数ではたいして変わりもしないだろう。

「モッくん、次から何か増やす場合には俺たちに声をかけてからにしてくれ」

「あぁ今回も一応言ってはあったけどな」


 言われてはいたが、半信半疑だった部分もあった。

 まさか本当に増えると思っていなかったし。


 まずは自分の常識から疑わないとダメだな。

「そうだな。悪かった。まさか本当に増えると思わなかったからな」

「俺たちも次からは気をつけるよ」


「それじゃ……ポルックルに名前を付けないといけないんだけど。なんて名前がいい?」

「タマ」

「ぽっちゃん」

「ポクル」

「ミル」


 なんとなく、みんな自分に関連した名前をつけたいらしい。

「どうかんがえてもポチの妹ならタマだろ」

「いやいや、俺の名前がモッくんなんだからぽっちゃんでしょ!」

「種族名を短くしたのが一番覚えやすいと思う」

「神聖な名前ジャミルからキレイな音域をとってミルという名前をつけてやろう」


 それぞれが好きなことを言いだし、口喧嘩を始めるとポルックルは怖いのか俺のお腹にギュッと抱き着いてくる。ポルックルの温かさに少しほっとする。


 その時、空の太陽が雲に覆われ、唯一日の光がポルックルに降り注ぐように当たる。

 光を浴びているその姿は神様にでも祝福を受けているようだった。

 その時ふと頭の中に閃く。


「……ヒナって名前はどう?」

「ヒナ……ヒナ……んっ! すごく可愛いと思う。パパありがとう」


「ヒナか。それならいいな」

「今までのネーミングセンスからは考えられないくらいいいな」

「可愛いな」

「いいと思う」


 こうして、新しい仲間ポルックルの名前はヒナに決まった。


「よし、そろそろシルバーラビットを捕まえに行くか。今夜の夜はモッくんの仲間たちも一緒に食べられるようにタップリ狩ってくるよ。それにできればシルバーラビットを生け捕りにしてこの街で繁殖させるから。ヒナはお留守番してようね」


「行くー! 私だって役に立てるよ!」


「ヒナ、わがままいわないで。今から行く森はとっても危険なところだからね」

「パパだってそんなに強くないんだから私だってお兄ちゃんに守ってもらえれば大丈夫だもん」

「ダン、このメンバーならそうそう強い敵に遭遇することもないだろうから、連れて行ってやったらどうだ?」


 ポチはヒナと一緒に行くのに賛成らしい。

 ヒナはポチの鼻先へとダイブしてポチの鼻の頭をなでなでしながらも俺の方を伺ってきている。


「わかったよ。そのかわりヒナは俺から離れないこと、それで危なそうならすぐに帰るからな」

「やったー! さすがお兄ちゃんの力は偉大だね」

「そうだろ? お兄ちゃんはカッコイイんだ」


 ヒナが抱き着いているポチを見ているとちょっと心がほっこりしてきた。

「ダン! ヒナ可愛いな!」

「本当に。可愛い。甘やかし過ぎないように注意しないとな。それじゃあヒナおいでポチの上に乗せてあげるから」

「うん!」


 俺はヒナを抱きかかえて一緒にポチの上に乗る。

「おぉー高い。お兄ちゃんの見てる景色ってすごいんだねー」

「そうだろ。ヒナしっかり捕まっていろよ」

「うん」


「それじゃあ森に行くか。あと行くのはタロスとジャミル、モッくんもかな?」

「ピクニックってやつだな。俺友達とピクニック始めてだ」

 タロスがウキウキした感じで斧をかつぎなおした。

 ピクニックってわけではないけど……まぁ楽しそうなならそれでいいか。


「よし! いくぞー!」

「「「おぉ!」」」」


 さて、夜のご飯のためにしっかり狩ってこないと。

ヒナ「お兄ちゃん少しでも面白かったら評価とブックマークお願いします」

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