森の中をいくと巨大な顔が……
終焉の森の中に入ると色々な変わった植物や魔物がいた。
ほとんどの魔物は俺たちとの戦いを避けるが、縄張り意識が強いのかたまに凶暴な植物がポチを襲ってきた。でも、そのほとんどをタロスが斧で刈り倒す。
「さすが、タロスは違うな」
「そんな、これくらいの植物なら全然ですよ」
「いや、あいつらはまったく戦う気がないようだからな」
俺の目線の先ではモッくんとジャミルは武器も構えずに後ろからゆっくりとついてくる。
「ダン、何を言ってんだよ。ちゃんと俺は後方警戒してるぞ」
ジャミルは心外だという感じで言ってきているが、手にはいつの間にか果物が握られかじりながらついてきている。
「ジャミルは何を食べてるんだ?」
「あっこれか? クジクの実だ。エルフ族には好評だが……食べてみるか?」
ジャミルは懐から一つクジクの実を取り出し俺へと渡してきた。
綺麗なピンク色をした可愛い実だ。
適度な弾力がありながらも柔らかそうだ。
俺が口の中に入れると、強烈な刺激が走る。
「ぐふぁ」
思わず吐きだしてしまう。
「なんだこの実は?」
「すごいだろ? この実をかじると大量のシュワシュワする泡が飛び出してくるんだ。エルフ族には好評なんだけどな。人族には好みがわかれるんだ。エールにはいっている泡のかなり強いやつだ。飲んでみると口の中さっぱりするぞ」
俺は試しにもう一口食べてみる。
最初は驚いてしまったが、強い泡のシュワシュワと木の実の甘さがまじりあって、のど越しが非常にいい。
「確かに最初は驚いたけど慣れてみると美味しいものだな。これってこのまま絞ってジュースとかにできないのか?」
「ジュースか? うーんできないことはないだろうけど。やったことはないな。この木の実はそこらへんに沢山なってるからな。わざわざジュースにするメリットがないんだよ。ほら、あそこにもなってるだろ」
ジャミルが指さした方には確かに実がなっていた。ツルの植物の実のようだ。
「少しとっていくか」
「それなら、濃いピンクのものがいいぞ。そっちの方が甘さも刺激も強めだからな。逆に薄いピンクだと刺激は強いんだけど味がなくて食べられたものじゃないんだ」
刺激だけか……何かこれだけでも使えるかもしれない。
絞ってもこのシュワシュワが消えなければ美味しいジュースとかにしても……帰ってから挑戦してみる価値はある。
俺はいくつか実を集め持ってきたバックの中にしまっていく。
「パパーこの実をとるの?」
「そうだよ。あとでジュースとかに使おうと思ってね」
「ヒナもやるー」
「うん。じゃあヒナも届く範囲でとってくれるかな?」
ポチがヒナを上手に頭の上に乗せバランスをとりながら実をとってくれる。
今まで見たことはなかったが、見るとそこらへんに結構なっているので今日は少しあればいいだろう。
上手くすれば街の特産品とかにできるかもしれない。
「お兄ちゃん、これ食べてみる?」
「ヒナがとった奴なら食べてみるか」
「はい、アーン」
ヒナはポチが大きくあけた口の中に実を投げ入れてあげる。
なんとも微笑ましい……と思っていたがいきなりポチが地面に頭をおろし、ヒナを俺の前に連れてくる。
「ダン、悪いすぐに戻るからヒナを抱っこしてやってくれ」
「あっ……あぁいいけど。大丈夫か?」
俺がヒナを抱っこするとほぼ同時にポチが森の中へ消えていった。
いつもポチは俺を乗せて走ることが多いからゆっくりとスピードアップしていくが、今日は加減なしで移動をしたため、ポチのいた場所にクレーターができていた。
俺たちに土がかからない方向へと走っていったのはきっとポチの優しさだろう。
「お兄ちゃん大丈夫かなー?」
「大丈夫だよ。ポチは強い子だからね。すぐに戻ってくるよ」
きっと泡のシュワシュワがポチにはかなりきつかったんだろう。
森の奥の方で魔物たちのざわつく音が聞こえたがポチが何かしたんだろるか?
でも、かなり距離がありそうなのでこっちまで影響はなさそうだ。
「ポチが戻るまで一端この辺りでシルバーラビットを探そう。シルバーラビット見たことないやつっている?」
「俺見たことないと思います!」
モッくんが少し遠慮気味に手を挙げてくる。
「タロスと、ジャミルは?」
「俺たちは肉を食べさせてもらったしな。あの干してあった奴だろ?」
そういえば、最初の時にポチが倒してくれて食べたシルバーラビットの毛皮が干してある。
「あぁーあれですか。実際には見たことないですけどなんとなくわかりました。あれを捕まえればいいんですね。でもダンさん申し訳ない。俺は元々が地中での活動がメインだから地上での戦闘は不向きなんですよ。地上で俺が戦いを挑むのは俺よりも弱いと思った奴だけに数の力を使ってボコボコにするだけなので。もちろんダンのように例外な奴もいますけどね」
モッくんもなんとなくわかってくれたようだ。
でも、自分より弱い奴にしか挑まないとはっきりと言えるモッくんはある意味さすがだろう。
弱肉強食の世界では自分の力を知っておくのは大事だ。
強い相手を見極める目がなければ無駄に命を消費しかねない。
逃げる覚悟も時には必要なのだ。
「問題ないよ。できる範囲でやってくれたら。それにそのうちポチも戻ってくるだろうし。ポチがいればすぐに捕まえられるからね」
俺がモッくん会話をしているとヒナが俺の服を引っ張ってくる。
「ねぇパパーあれってなにー?」
「うん? どれだい?」
ヒナが指差す方向には巨大な人の顔があった。
なんだあれ怖すぎるだろ。
ご覧頂きありがとうございます。
かなりつです。
この度、別で連載してます『聖女の雑用係をクビになった僕は幼なじみと回復スキルで世界最強へ!』が2020年9月5日(土)BKブックス(ぶんか社)様から発売になりました。
・アニメイト様、メロンブックス様、とらのあな様ではそれぞれに書き下ろしSSが特典として付きます
(一部店舗ではお取り扱いのない場合がありますので、各店舗でご確認ください)
・その他の一部の書店様でも、共通特典が付く書店様があります
(特典のある書店様はお知らせできないため、各書店様の店頭告知やWEB、SNSでご確認ください)
・電子書籍には全て専用特典SSが収録されています
よろしくお願いします。
Twitter始めました。もしよろしければお友達になりましょう。
@kanaritu7
表紙になります。
滅茶苦茶いい絵ですよね!
絵riritto様




