畑を作っていたら変なのに絡まれた
俺とポチは一緒に家を建てることにした。
「ダン大丈夫なのか? 素人が家なんて建てて」
「バカを言うなポチ。俺は万年Cランクの冒険者だぞ。自慢じゃないが魔物を倒せない時の大半は建築関係でバイトしてたんだ。冒険者を諦めきれなかっただけで、腕は一流だからな」
「ダン……辛いことを思い出せたな。悪かった」
ポチに同情されてしまうと、なんとも言えなくなる。
ポチは肩を震わせている。
もしかして、同情して泣いてくれているのか?
「ポチ……お前まさか……」
「プププッ……」
「笑ってやがったな。ほらやるぞ」
「あぁ本当にダンは面白いよ。器用貧乏だから嫁がこないんだろうな」
「うるせぇ。飯抜きにするぞ」
「ダンさん早く家を建てますよ。立派な家を建てないと」
「誰だよ」
ポチが急に張り切りだす。
ふざけているといつまでも仕事が進まないので早速基礎から作り始める。
なんて思っていた時がありました。
鉄鋼木は強度はあるわりに軽量なため俺でも持ち運びはできたが、途中からタロスが復活したらただの足手まといだった。
とりあえず、設計図とこんな感じだと伝えるとタロスは短く、
「わかった」
それでけ言うと馬車馬のように働きだした。
もっと文句を言ってくるかと思ったが、全然文句を言ってこなかった。
家作りでは役に立たないことが判明した俺は2人のために料理を作っておいてやる。
朝の残ったシルバーラビットを解体し、肉に味をつける。
食べ盛りの子ばかりだからな。
からあげにでもしてやろう。
あとは街で買って来た芋も料理する。
こっちは茹でてサラダだな。
ふと、ポチとタロスの方を見ると作業に慣れてきたのか、ポチが木を投げ、空中でタロスが均等に材木へしている。
ジャミルはそれを見ながら固まっている。
わかるよ。この中でまだまともな方だからな。
でも、君働かないとご飯あげないからね。
それから、タロスは器用に材木に切れ目をいれて組み合わせていく。
タロス優秀すぎる。
普通の釘が使えないからね。
料理をしながら高速で組み立てられていく家を見ていると、途中で手を止めたタロスが俺の方へやってくる。
「どうした?」
「このまま組み立てると窓がなくなるがいいか?」
意外なところへのこだわりがあった。
そうか。窓か。
確かに木漏れ日が入ってくる小窓とかあったら素敵だよな。
「そうだな。ガラスが欲しいが。街に買いに行くしかないか」
「ダン、ガラスなら俺が作れるぞ。それにしてもこれ美味いな」
ジャミルが俺の作っている料理を勝手につまみ食いしながら、話しかけてくる。
「良かったよ。働かない奴に食べさせるご飯はないからな。すぐにできるのか?」
「ゴフッ! 変なところに入りそうになったよ。すぐにできるとは言えないが、明日までには完成させられるな」
明日まで木枠だけ先に作り上げて、明日ガラスができたらはめ込めばいいだろう。
「じゃあタロスと相談してあとは任せた。とりあえず料理ができたから全員飯にしよう」
いやータロスまじで優秀だな。
ポチも可愛いし。
それから、みんなで食事をすませる。
今回はラビット丼だ。甘辛ダレに油ののった肉と玉ねぎをささっと炒める。
それに簡単な芋のサラダ。
今回は運よくシルバーラビットを狩れていたが、そろそろ狩にも行きたいし、生きるためにやることが沢山ある。
でも、その前に畑作りだな。
早く植えないといつまでも育たない。
食事が終わってから俺は一人で畑作りをすることにした。
風魔法で土を掘り返す。
イメージは土の少し下を爆発させる感じだ。
この時にあまり深く掘りすぎないことがコツだ。
開墾した森の土は腐葉土を沢山含んだいい土地だった。
俺が風魔法で土を掘り返していると、土と一緒にモグラの魔物が飛び出してきた。
手には鋭い爪がある。
どうしたものか。
戦うか? 放置しておけば勝手に帰ってくれるだろう。
相手も状況を確認しているのか、しばし見つめあう時間が続く。
「やいやい、俺様を土からだすとはいい度胸しているな!」
いきなり強気にでてきた。
どうやら格下に思われたようだ。
このモグラどうしようか。
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