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生きるとは

あのとき浮かんだ疑問は、

すぐに答えを持つものではなかった。


高校を卒業して、

僕は介護職に就職した。


施設までは、自転車で片道およそ九キロ。


往復すれば、ほぼ二十キロになる。


毎朝、早く起きて、

その距離を自転車で通っていた。


正直、かなりきつかった。


それでも最初のうちは、

なんとか続けていた。


勤務は日勤が中心で、

仕事の内容は、ほとんど毎日同じだった。



利用者さんを起こして



食事を手伝って


トイレの介助をして


おむつを替えて




ベッドに戻す



時間が来たらまた起こして


食事を手伝って



また寝かせる




同じことの繰り返しだった


でも、その中で、

どうしても考えてしまう瞬間があった。


寝たきりのおじいちゃんやおばあちゃん


自分で動けない人


おむつの中で排泄をする人


それは、決して珍しいことじゃない。


むしろ、介護施設では当たり前の光景だった。


でも、その光景を見ながら、

僕はふと思ってしまった。


――これは、生きていると言っていいんだろうか。


もちろん、命は続いている。


心臓も動いているし、

呼吸もしている。



でも



もし、この人たちの若い頃に

今の姿を見せたら。


「こうなるまで生きたいですか」と聞いたら。


本当に「はい」と言うんだろうか。


そんな疑問が、頭の中に芽生え始めていた。

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