新たなる発見
久東の活躍により、上手くラグラスの魔の手から脱する事ができた一同は引き続き先生を探し、一次試験突破を目論む。
「はぁ……とんだ災難だったわよ。そもそもなんで外部の人間がこの試験に紛れ込んでるのよ」
カレンが文句をぶつくさ言いながら歩く。
「ラグラスのやつは町田先生のやつに化けていたからな。ダンジョンの中で町田先生を見つけて倒したんだろうけど……先生の方も心配だな」
「先生より、私が一番やばかったわよ……今回」
「そればかりは、ジンのやつに期待しよう。奴らの組織について何か情報を得てくれる事を」
久東は先生を探しながらも今回の件の事を考えていた。ラグラスはなぜコピースキルを持つヒナタではなく弱い回復魔法のカレンを連れ去ったのか。そして彼らの組織について。謎は深まるばかりである。
しかし、それ以上の謎というより、戦いの副産物が手に入っていた。
そう、久東にスキルが付与された事である。ヒナタは俺に火野のスキルを付与してくれたが他のスキルも付与する事はできるのだろうか?
「おい、ヒナタ。俺に他のスキルもコピーしてみてくれないか?」
「あっ!そういえばそうだね。やってみよっか。もう人にスキルをペーストしても大丈夫そうだもんね」
本当はもうしばらく久東は様子を見たかったが、もし万一ラグラスのような強的とまたいつ出会うか分からないため、研究は出来るだけ勧めておくべきだと思った。
「あぁ…おそらく俺は大丈夫だからやってみてくれ」
「うん!分かった!」
【第二のスキル ペースト】
ヒナタは久東の手を握りスキルを渡した。今回ヒナタが渡したスキルは前田くんの風巻だった。
「ありがとうヒナタ」
久東はさっそく風巻を使ってみた。
【第一のスキル 風巻】
久東の右手から竜巻が発射された。スキルのペーストに完全に成功している。
「すごいな……これは」
久東は思わず呟いた。
「何よ、あんたたち。もしかしてヒナタのコピースキルで火野ちゃんのスキルとかコピーしてたわけ?」
一部始終を見ていたカレンもさすがに気づいたようで、途端にはしゃぎ出した。
「え?じゃあ、私にもスキルをコピーしてよ!ヒナタ!私もこれですぐに強くなれるじゃん!」
「えぇ……でも昔くーちゃん以外にやったら、カマキリさん死んじゃったんだよ」
「そんな事いいから!久東のおじさんがいけるなら私も大丈夫でしょ!」
「いや、カレン…ちょっと慎重に……」
久東は止めようとしたがヒナタはカレンの熱に押されてスキルをペーストした。
【第二のスキル ペースト】
カレンの手を持ちしっかりとヒナタはペーストをした。
「ヒナタ?あんたどのスキルくれたの?」
「火野っちのやつ」
「オッケー」
カレンは右手を誰もいない森へ突き出し、唱える。
【第一のスキル 火砲】
しかし、カレンの手からは何も出てこない。
「え?なんでよ。なんで久東には出来て私には出来ないのよ!ヒナタ、あんたちゃんとペーストした?」
「ちゃんとしたよ!」
どういう事だ?と久東は思考する。そして、一つの可能性に気づいた。久東は再び火野のスキルを唱えた。
【第一のスキル 火砲】
今度は何も出なかった。
「分かったぞ。ヒナタ。おそらくお前のスキルのペーストは①スキルを元々持っているものにはペーストできない②スキル所持者でないものにスキルをペーストしたらスキルは上書きされる という事だ」
「そんなぁ……」
カレンがガックリと肩を落とす。
「……つまり……私たちのような……スキル所持者はもう……スキルを持ってるから……ヒナタちゃんの恩恵は……受けられない……」
結局1人一つしかスキルは持てないように人間の体はなっているのだろう。そして元々スキルを持っている人間の遺伝子の上からそれを書き換える事はヒナタのスキルでは出来ないみたいだ。
「まだまだ未知な事が多いが、概ねわかった事は上の二つだ。つまりだな」
「つまり……?」
「ヒナタ、俺にお前の【コピースキル自体をコピー】してくれ。そうすれば俺もお前と同様複数のスキルを扱える」
「なるほど!スキルは1人一つなんだったら、それをヒナタのコピースキルにしちゃえばいいんだ!」
さっそくヒナタは自分のコピースキルを久東にコピーした。
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