サヨナラ
「ううん、ここら辺探せば見つかるかな」
らしき何かは俊敏に辺りを観察する。生い茂った草木の中で一部、人道の跡が残っていた。
「あはは、やっぱこの短時間で逃げ切るのは無理だよね!」
らしき何かはなぎ倒された草木の道の後を辿って行った。
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「……と言うことでだな、おそらくアイツの再生スピードは徐々に速くなっている事を考えるとココはアイツ自身を倒すことでは」
久東達は火動を発射されたのち、森の中に身を隠していた。その中で、この局面を切り抜ける作戦を伝える。
「これで……ほんとに……大丈夫かな……」
「くーちゃんの作戦!失敗したことない!」
いつもは口弁慶でおしゃべりなカレンだが、この時はなぜか1人黙って久東の作戦を聞いていた。
久東達が作戦について話していた矢先であった。
後ろの草木から、急にらしき何かが飛び出してきてナイフを振りかざしてきた!
「カレン!危ねぇ!」
【第三のスキル 火壁】
寸前の所でカレンは久東の作った火の壁に守られた。黙って久東の元へ駆け寄るカレン。
「はーい、見つけた。秘密のお話してる所、悪いんだけど君は連れて帰るからね」
らしき何かはカレンの元へ直行する。
「させるか!ヒナタ!」
「うん!」
【第一のスキル 火砲】
【第一のスキル 火砲】
2人はスキルを乱射して、らしき何かの進行を食い止める。2人の発射した攻撃はらしき何かの体中に直撃し、その部分の肉片を吹き飛ばしていく。
「ヒナタ攻撃をやめるな!」
「うん!」
2人は攻撃を続ける。その間にカレンは猛ダッシュで戦地から離れていく。
「ムダムダムダ。いくら打っても再生しちゃうんだ。それに同じスキルの攻撃ばかりしていたら……」
らしき何かの再生スピードがドンドン上がっていく。さっきまで打った箇所の穴は数十秒ほど経たなければ塞がらなかったのに、今では数秒で埋まってしまう。
「人間の体ってすごいよね。耐性ができてくるんだ。同じ攻撃ばかり、同じスキルばかり食らっていたら自然と学習して再生スピードが上がっていく」
とうとう、らしき何かの体に攻撃を当てても即座に再生するようになってしまった。
「僕の目的は君じゃなくて、奥のあの子。じゃあね!」
らしき何かは久東とヒナタ、くるみを飛び越えて逃げるカレンの背中を追う。
久東とヒナタはその背中目掛けてスキルを放つも、即座に再生しれてしまい意味を持たない。
「はっ…はっ…」
ぎこちない走り方で逃げるカレン。しかし、元々の走力に差があるためすぐに追いつかれしまった。
「はい、つーかまえた!一緒に僕のボスのところに行こう!絶対に悪いようにしないよ!」
「……」
カレンは怯えているのかなにも話さない。
「あれ?怖くないの?そんな無口だったかな?まぁいいや!連れて帰るね!」
後ろから久東の発射した火砲が、らしき何かの背中を直撃し、即座に回復する。
「ごめんね!この子、ちょっと連れて行くね!」
「クソォ!やめろ!カレンは嫌がってるだろ!……お前たち……お前らは一体なんなんだ?」
「僕たち?ううん、僕たちはDeveっていう組織さ。どこの国にもどこの派閥にも属さない。独自にスキルの研究を進める組織さ。あっ!僕の名前言うの忘れてたね!一応顔はコロコロ変わるけどみんなからは、ラグラスって呼ばれる……。ううん。それくらいかなぁ」
「カレンを……返せ……」
「ごめんね!また会おう!君達は面白いスキルをたくさん持ってるチームだね。興味深いな」
ラグラスはそう言ってカレンを抱えて行ってしまった。
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