知略
プレートを晴れて三つ揃えることができた久東とヒナタ達はダンジョンの奥地へ進む事をやめ、何故か入り口付近へと逆走する事にした。
「ねー、くーちゃん。何でまた入り口に戻るの?」
「いや、冷静に考えたんだ。先生達がどこにいるかって事を」
久東は基本的に学校側は被害者を多く出したいわけではないと考えていた。となると、弱い参加者が多くいるであろう入り口付近を先生達は巡回する可能性が高いのではないか?
中心部には手練れ達がわらわらと集まってくる可能性が高い以上、その激戦地区より安全地帯に身を隠す参加者の保護を優先させるのではないか?と。
「そんなこと早めに言ってよー!スライムな所でずっといればよかったのよー」
文句を言いながらもカレンはついていく。くるみと同伴している。
「あれ、くるみ。あんたあの人形どこにやったのよ」
「……ちょっと……ジンは作戦中……」
「作戦また久東の入れ知恵でなんかやらされてるのね。あんた。てか、私も協力してるんだけど」
「……やらされてるわけじゃ……ないよ……」
くるみはカレンの言葉を否定する。いつのまにかカレンとくるみも親しくなってた。くるみの人見知りより、カレンのコミュニケーション能力の高さが上回ったようだ。
「あんた凄い頭いいんだからもっと自信持ちなさいよ。普通ドラゴンの攻撃インターバルなんか分からないわよ。私なんか無敵だと思ったわ。あんな化け物」
それを聞いたくるみは答える。走りながら答えるくるみはいつもより少し語気が強めだった。
「……あれは学校の用意したモンスター……だから絶対……解答はある………って思った……無敵は……ありえない……設問にならない」
「あぁ……そうね。学校側が用意したモンスターだから必ず隙は用意してるって事ね。あんたはそこをついたんだ」
「……そう……だと思う……よ」
「やっぱむちゃくちゃ賢いよ」
久東は後ろで話す2人の会話に聞き耳を立てていた。くるみが、あのドラゴンは学校側が用意したモンスターであることから【必ず何かしら隙は用意されている】と思考したことに感心していた。
この年齢で大人側の視点から解決方法を模索することが出来るのはとてつもなく精神性が高い。
「で、作戦ってなんなんのよ、私にも教えなさいよ。私詳細まで教えてもらってないんだからね」
「……それは……ひみつ……」
「あんたまで私、バカにしてるでしょ!!」
ふふふとくるみが笑う。もしかしたら強敵に襲われるかもしれないと言う状況なのにここにいるものにその緊張感はあまりなかった。
****
「ほんまにこんな事、意味あるんかいな」
一方その頃、おじさんの人形に戻ったジンは【あるもの】をダンジョン中に撒き散らしていた。
せっせと白い丸を地面に置き回るおっさん人形のジン。
その白い丸とはナンバープレートであった。ジンはナンバープレート「89」をあちこちに置き回っていたのだ。
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