プロローグ
献辞
アバターが落とす影から筆を執る私は、目に見えぬ手で私の世界を支えてくれた人々へ、これらの頁を捧げる。
最も暗い日々の中で光を灯し続けてくれた人々へ。
そして、今はもう私と共にいなくとも、私たちを繋ぐすべての糸の中でその存在が響き続けている人々へ。
私たちを支える音楽が鳴り響き続け、音符を生命のポリフォニーへと織り上げますように。
共有された共鳴の中で交差し、互いを見出しますように。
世界が壊れ、夜が永遠になろうとも、常に隠れ家がありますように。
ダンジョンは金属と濡れた石の味がした。空気には金属のような重みがあり、それが喉の奥に残っていた。
天井から雫が落ちる。
一滴一滴が、闇の中で鼓動のように響いていた。
薄闇が私へと迫り、ほんのわずかな動きさえ過ちのように思えた。
息苦しい静寂の中では、かすかな軋みひとつでさえ死を告げる兆しになり得た。
私は慎重な足取りで進んだ。
ブーツの下で石が軋む音は、ただの物音ではない。
――それは予兆だった。
傍らには、一頭の獣が引き裂かれた姿で横たわっていた。
腐った木と酸っぱい樹液の残骸。
古びた紙のように、ぼろぼろと崩れていく。
粘ついた液体は、もう動いていなかった。
その静けさに、私は血の気が引くのを感じた。
人間の身体がひとつ、床に横たわっていた。
微動だにせず、そのトリケトラは消えた灯火のように光を失っていた。
隅では、仮面の人物が誰かを抱えていた。
まるで壊れた物を抱えるように。
その仮面には、人間らしい特徴がなかった。
上部は滑らかに湾曲し、額に亀裂の入った葬送用の兜を思わせる。
その下には、細い裂け目がひとつあるだけだった。
閉じた顎のように息づく、暗い線。
目はわずかな切れ込みにすぎず、瞳を見せるにはあまりにも細かった。
私に見えたのは、ただ鈍く濁った虚無だった。
まるで、この世界に属さない何かが私を見つめているかのようだった。
心臓が戦太鼓のように激しく打ち鳴らされ、逃げろと迫っていた。
それでも、足は逃げることを許さなかった。
世界が停止したように感じられた……それでも、考えている時間はなかった。
その人影が消えた。
そして次の瞬間、あらゆる道理を超える速度で、私の目の前に現れた。
鈍い一撃が、私の左腕を麻痺させた。
凍てつく冷気が骨の奥まで走った。
私の核が、流れ出し始めた。
一秒、また一秒。
まるで生命力そのものを、内側から引きずり出されているかのように。
痛みが炎のように腕を駆け上がり、肩まで達した。
虚無が全身へと広がっていく。
私の思考は、逃げ道を探して渦を巻いた。
恐怖のただ中で、ただ一つの考えだけが鮮明になった。
――今、動かなければ、すべてを失う。
<やれ!>
その声は、ダンジョンのどこかから聞こえた。
聞いたのではない。
感じた。
まるで空気そのものが砕けたかのように。
私は必死に、なおも意志に応えてくれる唯一の刃を掲げた。
刃が淡い光を震わせる。
まるで、私の血の熱を感じ取ったかのように。
残酷なほど鮮明な一瞬の中で、私は自らの肉体から、その絆を引き剥がした。
考えなかった。
迷わなかった。
ただ、そうした。
唇から迸った叫びは、痛みだけではなかった。
恐怖だった。
怒りだった。
生き延びるための叫びだった。
仮面の人物が動きを止めた。
その仮面の裂け目が、私を見つめたように思えた。
敵としてではない。
証人として。
まるで、私自身がまだ理解していない何かを測っているかのように。
やがて、その姿は影の中へと溶けていった。
消えた。
私はよろめきながら立ち尽くした。
心臓が激しく打ち鳴らされている。
何もかもが、もう以前とは違って感じられた。
空気はさらに冷たかった。
私が知っていた世界は、あの瞬間に砕けたのだ。
みずからの血が蒸気となり……無へと消えていく。
おそろしくも、もう二度とあのような夜は訪れないだろう……叫ぶよりも先に、刃が選んだのだ。
本作の著者、サト・テカワナです。
私はスペイン語を母国語とする海外の作家ですが、日本のハイファンタジーやウェブ小説の文化を深く愛しており、本作『銀の糸』を自分自身の力で日本語にローカライズしながら執筆しています。
日本語の美しさや独自の響きを損なわないよう精一杯努力していますが、もし不自然な表現や読みにくい箇所がありましたら、温かい目で見守り、アドバイスをいただけますと幸いです。
皆様とこの『銀の糸』を通じて、言葉の境界を越えて繋がれることを心から嬉しく思います。どうぞよろしくお願いいたします!




