第126話 黒きトロールとの戦い
黒きトロールとの戦いが始まります!
零夜達はバクトラのピンチを救う事に成功した後、倫子以外は次々とベヒーモスから降りていく。目の前のトロールは突然の展開に驚きを隠せずにいたが、すぐに起き上がって立ち上がろうとしていた。
「ベヒーモスの突進を喰らっても倒れないなんて……」
「身体の色も黒いし、明らかに普通のトロールとは違うみたいね。図鑑にもこのトロールについては記載していないけど、今はバクトラの傷を治しましょう」
「それなら私達が向かいます!」
倫子とトワは黒いトロールに視線を向けて、真剣な表情をしながら睨みつける。この様なトロールを見たのは初めてであり、モンスター図鑑にも記載されていない種類でもあるのだ。
しかし今は負傷者の手当てを優先する事が先決であり、メディ、アイリンの二人がバクトラの傷を回復魔術で治癒し始めた。
「救援感謝する。だが、ラッセル達はもう……」
「そうですか……もう少し早く来ればこんな事には……」
ラッセルからの報告を受けたメディは、悔しそうな表情をしながら顔を横に向ける。S級であるラッセル、ケイト、レントの3人が亡くなった事は、まさかの想定外と言えるだろう。
先程絡んできたラッセル達については、その性格によっていけ好かない部分もある。しかしギルドの一員である以上、お互い支え合う必要があると感じているのだ。
「けど、亡くなった人達を悲しんでいても仕方がないわ! 私達の目的はあのトロールを倒す事よ!」
アイリンは真剣な表情をしながら、立ち上がるトロールに視線を移していく。敵は攻撃を邪魔されて怒りの表情をしていて、標的を彼女達に移しているのだ。
「ベティ、メディ、プラムはバクトラの護衛をお願い! 私達はあのトロールを倒しに向かうわ!」
「分かったわ。けど、あまり無理はしないでね!」
「大丈夫!」
アイリンはベティ達にバクトラの護衛をお願いした後、そのままトロールとの戦いへ向かい出す。同時に零夜達も武器を構えながら戦闘態勢に入り、トロールに対して真剣な表情で睨みつけ始めたのだ。
「トロールには角が生えてない奴もいるけど、弱点は角となっている。そこを破壊すれば弱体化するわ!」
「それなら、連携攻撃で攻める必要があるな。 すぐに行動開始だ!」
「「「おう!」」」
トワからトロールを倒すアドバイスを聞いた零夜は、連携攻撃を仕掛ける事を提案。それに倫子達も頷いたと同時に、それぞれの配置へ移動し始めた。
「倫子さんはベヒーモスに乗り込み、突撃の用意を!」
「任せて。ベヒーモス、一気に突撃用意!」
「グオオオオオ!!」
零夜の合図に倫子は頷いたと同時に、ベヒーモスに突撃の指示を出す。彼女の指示を受けたベヒーモスが叫んだと同時に、一気にスピードを上げてトロールへと向かい出す。
するとトロールが動き出したと同時に、ベヒーモスを殴ろうと拳を振るってきたのだ。あのパンチを喰らってしまえば、どんな大型モンスターでも勢いよく飛ばされてしまうだろう。
「いかん! 突撃すれば殴り飛ばされてしまうぞ!」
この状況を見たバクトラが危機感を感じ取り、思わず大声で叫んでしまう。ベティ達も冷や汗を流しながら見守る中、倫子はニヤリと笑っていた。
「エヴァ、準備はいい?」
「言われなくてもそのつもり! アイスラグーン!」
「「「!?」」」
倫子の合図でエヴァがウインクしながら応え、地面から大きな氷を次々と召喚する。同時にトロールは氷に囲まれて身動きが取れなくなってしまい、攻撃も止まってしまったのだ。
この光景にバクトラ達は驚きの表情をしていて、まさかの展開に何も言えずにいた。
「今がチャンス!」
すかさず倫子がトロールを指差しながら叫び、ベヒーモスはトロールに突撃タックルを繰り出した。その勢いでトロールは勢いよく飛ばされてしまい、氷も破壊されて消えてしまった。
「氷で足止めして、突撃攻撃を喰らわせるとは……見事な連携としか言えないな……」
バクトラはこの光景を見ながら、零夜達の行動を称賛していた。もしも自分達がこの連携を使っていたのなら、トロールも倒せたかも知れないだろう。
「状態異常攻撃を!」
「了解! パラライズショット!」
「スタンアロー!」
日和は痺れ効果のある魔法弾を発砲、トワは同様の効果を持つ矢をトロールに向けて発射する。二つの攻撃はトロールに直撃したと同時に、痺れ効果で動けなくする事に成功した。
因みに日和の銃は雷属性を持つ黄色い回転式拳銃「スパーキー」、トワは雷属性の弓矢であるサンダーレイズである。
「トロールが動けなくなったぞ! すぐに攻撃を!」
「「「了解!」」」
エイリーンの肩に乗っているヤツフサの合図と同時に、零夜、マツリ、アイリン、ハユンの4人が跳躍しながら動き出す。トロールが動けなくなった以上、倒すとしたら今しかないだろう。
「双牙破壊斬!」
「炎魔斬!」
零夜は村雨と勇者の剣、マツリは新たな炎の剣である「焔丸」を構え、強烈な斬撃でトロールの角を破壊する事に成功。同時にトロールは弱体化してしまい、巨体から人間サイズの大きさに変化してしまったのだ。
「トロールが小さくなって、人間サイズになっていくわ!」
「じゃあ、あの角が強化された原因となっていたのね。でも、どうやって角をつけられたのだろう……?」
この光景にアイリン達は驚きの表情で見ていて、ハユンは首を傾げながら疑問に感じていた。恐らく何者かによって角を付けられて強化されたに違いないが、それが誰なのかは不明であるのだ。
人間サイズの大きさになったトロールはそれでも戦いを止めず、持てる力を駆使して零夜達に立ち向かい始めた。
「そうはさせないわ!」
「これ以上暴れられたら困るからね!」
すかさずアイリンとハユンが飛び出したと同時に、強烈なハイキックをトロールの顔面に当てる。ハイキックを喰らったトロールがよろけてしまい、すかさずエイリーンが背後から接近。そのまま両腕を回しながらトロールの腰を掴んだ。
「終わりです!」
そのままエイリーンは後方へと反り投げ、ブリッジした状態でトロールの頭を勢いよく地面に叩きつける。
これぞプロレス技の一種であるジャーマンスープレックスであり、トロールは耐えきれずに消滅してしまった。
「ふう……終わりましたね……ん?」
エイリーンは地面に背中を付けた後、勢いよく起き上がって立ち上がる。同時に後ろの方を振り向くと、そこには大量の金貨と大きなトロールの角、そしてエンブレムバッジが地面に置かれていたのだ。
「このエンブレムバッジ……悪鬼のです!」
「何!?」
エイリーンはエンブレムバッジを拾いながら大声で叫び、零夜達は彼女の周りに集まってそのバッジに視線を移す。紛れもなく悪鬼のエンブレムバッジであり、トロールが持っていたのは予想外と言えるだろう。
「俺達が戦っていた黒いトロールは、悪鬼の者が放っていたという事なのか……もう少し早く気付けば良かったが、今は落ち込んでいる場合じゃないな」
バクトラは悪鬼のエムブレムバッジを見つめた後、そのままゆっくりと立ち上がる。仲間達は死んでしまったが、衝撃の事実を知った以上は落ち込んでいる暇はないのだ。
「すぐにギルドに戻って報告する! この戦いで起きた事だけでなく、悪鬼が仕掛けたモンスターについても!」
「分かった! 全員帰還するぞ!」
「「「おう!」」」
バクトラはギルドに戻って、この戦いで起きた事を全て報告する事を決断。それにヤツフサ達も同意した後、彼等は急いでギルドへと戻り始めたのだった。
トロールは悪鬼が放ったモンスターと判明。今後がどうなるのか?




