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09 綺麗な御髪

前話、ルナレイアが名前を言っていないのにラナリーは名前を呼んでいたので、修正しました。

 ラナリーと別れて、ユスティに送ってもらい、自分にあてがわれた部屋に戻ったルナレイア。


「湯浴みをされますか?」

「ええ、そうしますわ。準備、お願いしてもいいかしら?」

「かしこまりました」


 リサに頼んで、湯浴みの準備をしてもらう。今日はいろいろなことがあって、少し疲れたのだ。

 ラナリーに会えて、親しくなれたのは僥倖だったが、レイには申し訳ないことをしてしまった。取り込むなど、どうかしていた。自分は自分であって、あの子ではない。


「ルナレイア様、準備ができました」

「ありがとう」


 疲れた時にいろいろ考えると、悪い考えしか出てこないので、悩みを振り払って湯浴みをすることにした。

 リサに服を脱がせてもらい、髪を洗ってもらう。


「本当に、綺麗な御髪です。羨ましいです」

「そうかしら? 長い旅の間でだいぶ傷んでしまったと思ったのだけど、そうでもないのね。たくましい髪なのかしら」

「ふふふ、そうですね」


 次いで、体も洗ってもらう。華奢な肩、豊かな乳房、ほっそりとしたくびれ、女性の理想を詰め込んだような体型だ。


「お体も、本当に綺麗。神のご加護があるのでしょうか」

「さあ、どうかしら。神のご加護なんて、聞いてはいても感じたことはないから、本当かどうか怪しいところね」


 体を洗ってもらったあとは、湯船にゆっくり浸かる。


「では、私は外でお待ちしております。何かあったらお申し付けくださいませ」

「なにから何までありがとう、リサ」


 リサはお辞儀をして、浴室から出た。


 ルナレイアはぼーっとしながら、レイのことを考えた。自分の幼少期と違い、良い目をしていた。スラム育ちらしいが、そうは見えない。淑女教育もしっかりされていると見た。


「わたくし、は」


 そんな少女を、自分は取り込もうとしたのだ。ユスティのおかげで事なきを得たが、レイに嫌われてしまったのは間違いない。


「どうして、あんなことを」


 金の瞳を揺らしてこちらを見つめるあの少女を見たとたん、この子は自分であり、自分のものだと、本能が訴えた。もしこちらの世界とあちらの世界がくっつくようなことがあったら、自分を見つけた者たちは、そうなるのだろうか。取り込まれた者たちがどうなるのか、取り込んだ者たちはそれまでとは変わるのか、考えたくなかった。


「しっかり、しなければ。わたくしは、わたくし。あの子はあの子」


 そう、意識を保たなければ、また自分はあの子を取り込もうとしてしまう。そんな気がした。


「大丈夫、よ。わたくしはルナレイア。リュミエール王家の王女であり、聖女なのですから」


 意識を切り替えたルナレイアは、立ち上がった。そろそろ湯船から出ないと、のぼせそうだった。

 湯船から出て、浴室からも出た。外には、リサが待っていた。


「お待たせ」


 本当は自分で身の回りのこともできるルナレイアだったが、同時に、使用人の仕事を奪ってはならないということも知っていた。旅を終えて価値観が変わり、少しだけ恥ずかしいが、リサに身を任せた。

 服も着せてもらい、あとは寝るだけだ。


「ありがとう。もう眠いわ」


 落ちるまぶたと戦いながら、リサにベッドまで連れて行ってもらった。


「おやすみなさいませ」


 その声を聞いて、ルナレイアは眠りに落ちた。


***


「……様、ル……イア様、ルナレイア様」


 体を揺すられ、起こされた。だが、ルナレイアはもう少し、と言って眠ろうとした。


「ルナレイア様、もう朝ですよ。今日は予定が入っておりますので、起こさせていただきます。起きてください」


 仕方なく、ルナレイアはまぶたを開けた。


「……おはようございます、リサ」


 寝ぼけながら、リサに顔を洗ってもらい、化粧をされ、着替えさせられた。

 今日は少しだけよそ行きの簡素なドレスだ。誰かに会うのだろう。


「さあ、できました。朝食も準備しておりますので、召し上がってください」


 テーブルまで手を引かれ、朝食を見た。

 今日の朝食は、サンドイッチだった。リサが手配したのか、ルナレイアが好きな野菜がたくさん入ってあるサンドイッチだった。ひとつ手に取り、口に入れた。


「おいしい」

「それはようございました」

「今日の予定って、何が入っているのかしら」


 予定があるからと起こされたのだ。


「今日は午前中、ラナリー様に魔王討伐の旅についてお伝えするので、それに立会います。なので、お食事が終わったあとは、適当に時間を取って、近衛がいる訓練所まで行きます。そのあとは、聖女様に事情を説明しに行きます」


 どうやらラナリーに会うらしい。いろいろ説明もするのだろう。説明が終われば、ラナリーと恋愛話もできるかもしれない。楽しみだ。

 レイに関しては、ユスティが任せてくれと言っていたので、気楽に考えることにした。


「そう、わかったわ。ありがとう」


 返事をしてから、黙々とサンドイッチを口に運ぶ。飽きないように、ドレッシングが工夫されていて、とても美味しい。


「ごちそうさまでした。とっても美味しかったわ。料理長に伝えてもらえる?」

「かしこまりました。では、訓練所へ向かいますか? 時間はまだたっぷりありますが」


 ルナレイアは少し考えた。特にすることもないが、近衛のことはよくわからないので、聞いてみるのもいいだろう。


「少し質問があるの。いいかしら?」

「はい。なんでしょう」


 リサはにっこり微笑んだ。


「近衛って、どういう組織なの? 近衛のほかに騎士はいるのかしら」

「近衛とは、陛下の御身をお守りするために、護衛をしている者たちです。近衛騎士隊といいます。近衛のほかの騎士は、軍に所属しています。詳しくお話したほうがよろしいですか?」

「ええ、お願いします」


 ルナレイアは詳しく聞くことを望んだ。それにしても、リサはなぜこんなことを知っているのだろう、とも思ったが。


「まず騎士とは軍に所属する者のことを言います。軍の一番偉い方は元帥と言って、陛下の次に軍への命令権を持っています。今の元帥は、レドルヴィフィ・フォン・アルメーラという、アルメーラ家の当主です。この家は代々元帥を輩出しています、が、今はいいでしょう。次に将官、佐官、尉官……と続きます。近衛隊は将官から選ばれますので、15歳ながら将官まで上り詰め、近衛隊に所属するラナリー様は、天才と言っても過言ではありません。……と、軍隊に関してはこのようになっております。もう少し詳しくお話することも可能ですが、いかがいたしましょう」

「そのくらいで構わないわ。ありがとうございます」


 これ以上聞くと頭が混乱してしまいそうだ。ルナレイアはそう思ったので、聞くのをやめた。


「では、行きましょうか。散歩がてらに、遠回りをすることはできる?」

「時間もありますし、問題ありません。ご案内させていただきます」


 ルナレイアは、リサの案内に続き、城内を歩き回ることにした。向こうの世界の城と作りは似ているが、やはり違うところはたくさんあるだろう。そう思い、見てみたくなったのだった。

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