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まどろみの中で



「…僕、少しぬける!休憩!」

「ちょ、神様?!さっきも休憩とってたじゃないですか!」

「あとでちゃんとやるから!」



今はーーを、手助けしなきゃ。







突然世界が真っ白になった。あれ?私今起きてる?


「ミリア、急にごめんね」


ルイさんでもジンさんでもない声が響き渡る。だ、だれ?!


「僕は訳あって君の前に姿を現せないけど、世界のことわりを決める神様だと思ってくれていい」


理?神様?な、なに言ってんの?てか本当にだれ?


「だから神様だって!それ以上の詮索禁止!疑うのも禁止!」


一方通行な人だこと!それで?神様とやらが私に何の用ですか?


「君には、この世界を救ってほしい」


この世界?ミミリアたちの?なんで?滅びたりするのかしら。ファンタジーじゃあるまいし。


「残念だけど、その路線が強いね。だけど僕はこの世界がすごく好きだ。だからこの世界に直接干渉できない僕の代わりに君が必要だった」


はあ?!じゃあ私がこんなミミリアとかいう典型的な悪役令嬢になって人殺しを見させられたのも貴方のせい?!私、怖かったんだから!日本人になにさせんだ!


「ごめんね、でも代わりと言ってはなんだけど、君にはこの世界にはない魔法をあげたよ。かつて僕がもっていたあの魔法を」


ルイさんが言ってたやつ?魔力がなんとかとか…。なんの魔法なの?なんも使えてないし、私強くもないし…世界救うとかの前に私が死んじゃう!


「大丈夫。君の魔法はもう発揮されてる。あとは操れればいいんだ。その他にも元来の君に宿るべき魔法が隠されてるみたいだし!なにかは言えないけど」


…使えない!神様なのに!教えてくれてもいいでしょ?だって私ほぼ丸腰状態なのよ。


「は、はっきり言うなよぉ!これ以上僕がこの世界のバランスを崩すわけにはいかないんだ。それこそ全て壊れてしまう。だけどね、ひとつだけヒントだよ」


ヒントくれるなら答え言えばいいのに…。なんなのこのエセ神様は!っていうか私今なんの状態なの?寝てるの?起きてるの?


「今は君の精神の中に直接話しかけてるだけの状態だよ。ヒントは、『える』」


みえる?見える?この世界きてからわかんないことばっかり…。ルイさんとジンさんが味方になってくれたのは心強いけど、正直ルイさんについては少し引いた。あんなに躊躇なく人を殺せるなんて、どんな生活してきたのかな…。私、この世界に慣れることできるの?人なんて殺したくない。


「……君はできることをやればいいんだよ。どうか、この世界を助けてほしい。頼んだよ、ーー」



声は消えていき、白い世界はスゥーッとなくなり、目を覚ました。


「ミリア!大丈夫?」

「目が覚めるように魔法かけようとしても何度も弾かれたんだ。なんかあったか?」


目の前には私を心配そうに見つめるルイさんとジンさん。

あれは、夢だったのかな?神様とか世界を救って、とか…。途方もない話だこれまた。…ってか、あいつらは?!どうなった?!


「いや、なんもなかったんだけど、盗賊たちは?!どーなったの?!」

「逃げたよ」


逃げたのか。みんな殺したんじゃ…と思ってしまったけど…。


「ミリア、怖がらせてごめんね。僕、なんていうか血がすぐ騒いじゃうんだ」

「俺ら、殺し合いなんて日常茶飯事なんだ。ごめんな、いきなり目の当たりにしたらこえーよな」


謝る2人。その瞳には自責の念と共に、恐怖に揺れていた。「嫌わないで」というように。


「…うん、びっくりした。私のいたところ、人を殺すなんてなかったから。でもここはそういうところなんだよね」


この世界にきてもう戻れないというなら、受け入れなきゃいけないことがある。郷に入りては郷に従え。それに神様あいつが言った世界が滅びるとかなんとかいうのも無視できない。


「私は、人殺しとか絶対にダメだと思ってるし、やりたいとも思わない。やりたくない」


2人の瞳を見ながら言う。真剣な表情で私を見てる。だけどわかるの、「嫌わないで」というその声が。


「私は自分の力を護るために使おうと思う。自分を、2人を。それがどういう力の使い方になるかはあんまりわからないけど。こんなことで、嫌いになったりしないよ!むしろ拾ってくれて感謝してるんだから!」


そう、この2人はまごう事なき命の恩人なのだ。それにこんなシリアスなモードは好きくない。もっと楽しい事が好きだ。パーティーのような。


と、


グキュルルルル〜〜



「え?」


今の私のお腹?



「え?」

「え?」


………。



「ぶひゃひゃひゃひゃひゃ!!」

「あはははは!!ヒーッ」


「笑うなよ!何も食べてないんだから!お腹だってすく!!」


「今のこの…っ!この流れで?!あはははは!!あーおもしろい」

「ぶひゃひゃひゃひゃひゃ!!フガッ」



相変わらずジンさんの笑い声は気持ち悪いですね。


神様のことを話すのはやめた。いきなり世界が滅びる!なんて言っても信じてもらえないし最悪頭おかしい奴だと思われてまた捨てられるかも…。


ところでほんとに神様ってなんだったんだ?








「神様ぁー!!遅い!遅いです!」

「わぁ!ごめん!」

「この仕事、全部神様のですからね」

「こ、こんなに?!無理だよ!手伝って!」

「私は今日休憩無しだったんですよ?それをまだ働けと?」

「……僕がやります」



(頼んだよ、ーー)






神様、謎ですね、誰なんだろう。

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