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恋愛ゲームのシナリオはログアウトしました。  作者: 月嶋のん
恋愛ゲームの主人公と暗殺者の日常。

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恋愛ゲームの主人公、お世話イベント!16


ギルドに戻ると、ウィリアさんと王都から戻ってきたばかりのシヴォンさんはサラマンダーがまた出現したので大慌てで湖へ逆戻りである。シヴォンさんの「なんで戻ってきたばかりなのに!」と、いう叫びには同情しかない‥。


しかしここは貴族の別荘地。

ついでに言えばつい最近までレオルド王子もいた由緒正しき保養地だから‥。それなのに魔物がウロウロしていてはまずいだろう。白い魔石がないかをもう一度調査しないといけないし、黒の魔法石を持っていた人間を捕まえたとあって、そっちでも大変そうだ。



「いや〜、なかなか大変そうですねぇ。あ、ユキさんお怪我はどうでした?」



リィちゃんを抱っこしながら私の様子を見に来てくれたタリクさん。

本来ならすぐに調査へ向かうはずの人なんだけど、流石にさっきまで人形だった人を調査へ連れて行くのはダメでしょ‥と、レトさんに言われてお留守番である。まぁ、リィちゃんのこともあるから調査に行くことはないと思ってたけどね。


「えっと、やっぱり背中を結構強打してたみたいです‥。さっき回復魔術をかけてもらったので、しばらく安静に過ごすようにって言われました」

「そうでしたか。やはり診て頂いて正解でしたね」

「お姉ちゃん、元気になって良かった〜!」

「あ、ありがとうございます‥」


私の後ろでそれ見たことか‥といった顔をするルルクさんが深く頷き、「明日は絶対仕事を休めよ」と、すかさず釘を刺した。くそ、これなら明日は平気かなって思ってたのに‥。と、ギルドの扉が開いたと同時にスルリとタリクさんを連れていってしまった猫が入ってきて、ギョッとした。


ちょ、なんでここに猫?!

タリクさんと思わず身構えると、猫と一緒におじさんと三つ編みを揺らした小さな女の子も入ってきた。そうしてカウンターにいる職員さんに、



「すみません‥、あの人形の落し物はありませんでしたか?茶色の少し髪の長い女の子で、背中が少し裂けているんですけど‥」



と、尋ねた。

瞬間、タリクさんを顔を見合わせ、それからリィちゃんを見ればリィちゃんも驚いたように女の子をじっと見ていた。


「‥もしかして、お友達でしょうか?」

「うん!お迎えに来てくれたのかな?」

「きっとそうでしょう‥。もう少し遊びたかったのですが、残念ですがお別れのようですね」

「タリクもっと遊びたかったの?私と同じだね。でもまたきっと会えるよ?」


リィちゃんが可笑しそうに笑う声に、なんだか胸の奥がぎゅっとする。

タリクさんはそんなリィちゃんの頭を優しく撫でると、「約束ですよ」と、言うと、リィちゃんはクスクス笑いながら、



「本当だよ?だってもう‥友達だも‥ん‥」



そう言うと、ふっと声が消え、表情が動かなくなってしまった。


「リィちゃん‥?」


ハッとしてリィちゃんを呼ぶけれど、返事がない。

‥力が、尽きちゃったんだ。タリクさんはリィちゃんに「少しだけすみません」と、言ってから背中の裂け目から黒い魔鉱石を取り出すと、背中を合わせるように直し、それから女の子とお父さんの方へ近付いた。



「あの、このお友達をお探しで‥?」

「リィちゃんだ!!!」



三つ編みの女の子はパッと顔を輝かせ、タリクさんからリィちゃんを受け取ると嬉しそうにぎゅうっと抱きしめた。


「あ、ありがとうございます!先日泥棒に入られて‥、せめて娘の人形だけでも探してやりたいと思って‥、良かったなぁマリィ」

「うん!!お兄ちゃんありがとう!!」

「どういたしまして。ただ、すみません‥、背中が裂けてしまって」

「大丈夫だよ!お父さん直してくれるから!!」


にこにこと笑って話す女の子に、お父さんも嬉しそうに頷く光景に、嬉しいはずなのにどこか寂しくて‥、なんとも言えず立ち尽くしていると、ルルクさんが私の手をそっと握った。


「ルルクさん‥」

「あの猫、友達を連れて来てくれたのかもな」

「‥そう、ですね。でも、ちょっと寂しいです」

「奇遇だな、俺もだ」


え、ルルクさんも?!

驚いて見上げれば、小さく笑って、「まぁ、子供に戻ってもおままごとはしないけどな」なんて言うのでつい笑ってしまった。そうだねぇ、ルルクさんはおままごとしなさそうだ‥。



と、女の子と別れてタリクさんがこちらへ戻ってきた。

あれだけ可愛いがってたから、急なお別れは寂しいんじゃないかと心配だ。



「タリクさん、大丈夫ですか?」

「‥‥すごく、寂しいです」

「ですよね」

「でも、ずっと友達だと言ってくれましたからね。きっとまたどこかで会えますよ」



眉を下げて柔らかく笑うタリクさんに、私も笑いかけるしかできなくて歯がゆい。と、ギルドにちゃっかり入ってきた猫がタリクさんの足元にスリッと体をすり寄せた。



「言っておきますが、私は美味しくありませんよ?」

「美味しく‥」



それはそう。つい吹き出してしまう私に、タリクさんも可笑しそうに笑って猫の頭をそっと撫でると、ゴロゴロと喉を鳴らす様子に目を細めつつ、


「‥大人だけで、遊ぶのもありですかね?」


と、私とルルクさんに尋ねたので、それはもう私は力強く頷いた!



「もちろんです!何して遊びます?」



そう聞く私に、横にいたルルクさんが遠くを見つめながら「おままごと以外だぞ」と、すかさず呟いた。





本日もありがとうございます!

明日一旦完結です〜。

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