恋愛ゲームの主人公、お世話イベント!14
リィちゃんの少し裂けてしまった背中の縫い目から見えた黒い石‥。
よくよく見れば表面がほんのりオーロラに輝いている。私、これ初めて見たかも。驚く私に、リィちゃんが「え、どうなってるの?」と不安そうに聞かれ、慌てて背中を隠すように抱きしめた。
「大丈夫だよ、リィちゃん。そばにいるからね」
「うん‥、ありがとうお姉ちゃん」
っか〜〜〜〜!
可愛い!!お人形さんって最高だ。
そっと頭を撫でていると、ドカドカと馬の蹄の音がして顔を上げると、ウィリアさんが他の騎士さん達とこちらへ駆けて来るのが見えた。
「ウィリアさーーーん!!」
「ユキちゃん!‥と、タリクとルルク、戻ったのか?!」
「ええお陰様で。それよりちょっと困ったことになりました」
「え!?そっちも?」
「そっちも?」
ウィリアさんが後ろを指差した方を見れば、そこには私がさっき湖に突き落とした男性がお縄に繋がれて馬に乗せられている‥。
「さっきの人!無事だったんですね」
「溺れかけてたけどね。その分捕まえやすかった!でもなんで人形を持っていったかを聞こうとしたんだけど、いきなり「言葉わからなーい」とか言い出してさぁ!」
「言葉‥?」
「多分ちょっと訛ってるから海外から来たとは思うんだけど‥」
海外の人‥?
でもさっきは確かに普通に会話してたよね‥。すると、ルルクさんがじとっと馬に乗せられて不貞腐れた顔をしている男性を見上げ、
『おい、嘘をついても無駄だぞ』
「え!?」
ルルクさんが、外国の言葉を喋ってる?!
ウィリアさんと驚いたようにルルクさんを見れば、男性もルルクさんを見て驚いた顔をしている。ルルクさんが何語か分からないけど、責めるように話すと、男性はしどろもどろになって慌てている。
え、何?何が起きてるの?
思わず元先生だったタリクさんをチラリと見る私とウィリアさん。するとタリクさんはウィリアさんを呆れたように見て、
「隣国のベラート語は、必修ではなかったけれど一般教養で習ったはずですよ?」
「うっ。だって、あの言語って隣国なのに独特で‥」
「仕方ありませんねぇ‥。どうやら彼は魔石の輸入業者のようです」
「「えっ!??」」
魔石の輸入業者?
そんな仕事あるんだ‥と、感心しているとタリクさんが「ただし違法のね」と、付け加え、リィちゃんをチラリと見た。
「‥彼女の体内に魔石を埋めて、こちらの業者に渡そうとしたのをウィリアが先に拾ったようです」
「え!?オレ!??」
驚くウィリアさんに、ルルクさんが静かに頷いた。
「しかもそれはただの魔石じゃない。ベラートでごく稀に出てくる「黒の魔法石」だ」
「「魔法石!??」」
私とウィリアさんが同時に叫ぶと、タリクさんがリィちゃんをジッと見つめた。
あ、そういえば持った時ズッシリとした感覚あった!それに何かされたってリィちゃんも言ってっけ。でもまさか埋め込むなんて思わないよ‥。驚く私を横にタリクさんはリィちゃんをそっと撫でた。
「魔法石‥。それなら合致しますね」
「が、合致?」
「シヴォンが言っていたでしょう?呪いでなければ、何か大きな力がそこにあると。呪いを解こうとユキさんの魔力を一瞬で吸い取ったのが魔法石ならば納得です。加えて黒の魔法石など私も初めて見ます。ものすごい力があるとは聞いていましたが‥リィさんの願いを具現化させてしまうほどの力とは思ってもみませんでした」
リィちゃんの願い‥って、友達と遊ぶことだっけ?
そう考えたら確かにすごい!けれど白の魔法石が「呪い」や「呪いに染まった人」を溶かしてしまったこともあったし、そう考えると納得‥なのか?
「ともかくこのままここにいるのは危険でしょう。またサラマンダーが出てくる可能性もあります。ウィリア、早急に騎士団とギルドに報告しましょう」
「ああ、じゃあタリクはオレの馬に乗って‥、」
ウィリアさんがそう言いかけると、ガラガラと黒塗りの立派な馬車がこちらへやってくるのが目に入った。
「あ!シヴォンの馬車だ!おーい、止まれ〜〜!」
ウィリアさん、すっごいフランクに停めちゃうじゃん‥。
すると、バン!と勢いよくドアが開いたかと思うと、怒り心頭といった様子のシヴォンさんがウィリアさんを睨んだ。
「ウィリア!どういう事だ!?タリクもユキさんも人間じゃないか!?」
「っへ?」
タリクさんはわかるけど、私は元々人間だったけど‥?
ルルクさんがどこか納得した顔をして、
「‥‥大方お前が人形になったとでも言えば、慌てて戻ってくると思ってたんだろ」
「ええ!?」
ルルクさんもタリクさんも同じように心配すると思うけど‥。驚いた顔をする私にタリクさんはふふっと微笑んだ。
「ユキさんは大事な恩人ですからねぇ」
「え?何かしましたっけ?」
「‥‥お前はもう少し自分のした事を覚えておけ」
ええーー!?だって最近、私は何かした覚えがないんだが?
頭から疑問符をぽこぽこ出す私にタリクさんは優しく笑い、「ユキさんのそういうところ、とても素敵で好ましいですよ」と、言われた瞬間、ルルクさんが素早く私をサッと自分の後ろに隠した。こらこらお礼くらい言わせて下さい。
すぐに隠したがる男性っていいものですよね!!(にっこり)




