恋愛ゲームの主人公、恋と花とイベント。28
黒い影を倒したルルクさん達。
でもあの液体は何?と、思っていると、ドタドタと足音がしてそちらを見ればアロンさんが騎士さんと一緒にこちらへやってきた。
「お、大丈夫だったか?」
「アロンさん、どうかしたんですか?」
「そこの兄ちゃんが血相変えてお前さんの方へ飛んで行ったから心配でなぁ」
と、ルルクさんを親指で指したアロンさんに、バツが悪そうな顔をするルルクさん。‥血相変えて来てくれたんだ。ちょっと緩みそうな口元を堪えていると、ノイエさんが私とルルクさんを交互に見て、
「勝手によろしくやってて。はい、あんたはそっち」
ぽいっとルルクさんの方へあっさりと放り投げられた私。
そ、そんなーーー!!ぽすっとルルクさんの腕にぶつかった私は、恐るおそるルルクさんを見上げると、ルルクさんもなんだか複雑な顔をしている?
と、アロンさんが倒れている男性の方へひょいひょいと軽い足取りで近付くと、ウィリアさんが慌てて止めた。
「アロンさん、危ないですよ」
「多分もう大丈夫だろ。ほれ、この腕を見てみろ」
「腕?」
アロンさんに指を指されたその腕をみんなで見れば、赤い花の紋様がどろっと溶けている!私はハッとしてルルクさんを見上げた。
「あの瓶の液体って‥紋様液?!」
「そうだ。途中でアロンに会って、もしかしたら紋様を描かれた相手かもしれないからと渡された」
「ダンだけじゃなくて、他にも描かれた可能性のある奴がいるかもしれないと思ってな。昔、実験で作った紋様消しなんだが結構効いたな!」
わはは!と笑うアロンさんに、ミッツさんが尊敬の眼差しで見つめ、私はまたも口をあんぐり開けた。紋様消しを実験で作った‥?!
「さっきダンが描かれた紋様はベラートのだって言ったろ。昔ベラートの紋様を描かれて苦しんでる奴がいて、こっちの紋様消しじゃあ効かなくて、あれこれ試して消したんだ。念の為作っておいたんだが、まさかこんなにすぐ役に立つとは思わなかったな」
「そんなことが‥」
「ま、紋様さえ消せばこの男も大丈夫だろ」
アロンさんの言葉にホッとしたウィリアさん達は、早速男性を騎士団に連れていく手配を始めた。良かった‥、これで大丈夫かな?と、また別の騎士さん達がこちらへ駆けてきた。
「ノイエさんここにいましたか!そろそろ花馬車の時間です!!」
「そうだ‥。仕事中だったわ」
そうでしたね。仕事真っ最中でしたっけね。
ノイエさんはスカートを摘んで、「ちょっと汚れてるけど大丈夫かしらね」と、言うとルルクさん達を見て、
「そんな訳でもう少しお仕事よ。すぐ来て頂戴」
そう言ってからそばにいたダンさんを見上げて、
「私、ダンからの花ならなんでも嬉しいわ」
きっぱりと言うと、クルッと踵を返しスタスタと歩いていくノイエさん。
それをぽかんと口を開けて見ているダンさんに、ミッツさんがバシバシと背中を叩き、「早く!!早く花を用意すべきだぞ!!」と急かした。
うんうんと頷いている私を、ルルクさんがチラッと見つめた。
「ルルクさん、どうかしましたか?」
「‥‥‥別に、怒ってない」
「へ?」
怒ってない?
「‥‥何かあったらと思うと、つい‥。悪い」
あ、もしかしてさっきのノイエさんに「嫌われるわよ!」って言葉を気にして反省してるの!?いや反省くらいするだろうけど‥。さっきの複雑そうな顔は気にしてたってこと、なのか?まじまじとルルクさんを見れば、「なんだよ」と悪態をつくとこはホッとする。
視線だけ上げてルルクさんを見れば、目を横に逸らすルルクさん。
じわじわと可笑しさと愛しさで一杯になってしまう。
「‥もしかして、嫌われたとか思ったり?」
「そこまでは思ってない」
そこはあっさり否定するんだ。
でもちょっと嫌われた?って心配したのか‥。あのルルクさんが。
そう考えたら可愛いって叫び出したくなってしまう。だってノイエさんの言葉を気にしてるんだよ!!!
ふっと口元が緩んで、私はルルクさんの綺麗な白い衣装の裾をちょっとだけ引っ張る。
「‥あとでお花をくれたら許しましょう」
「は、」
「そしたらお花、また描きますから」
そう言って笑えば、ルルクさんはコバルトブルーの瞳を輝かせた。
くうっ!!か、可愛い!暗殺者がこんな可愛いなんてゲームじゃ知らなかったぞ!!ギュッと胸が痛くなると、ルルクさんが私の頭にポンと手を置いて、
「ちゃんと用意しておく」
そう言うと、ふわりと花のように微笑んだ。
瞬間、心臓が過去最高に鳴り、私の顔も真っ赤に染まると、ルルクさんは小さく吹き出し、そのままノイエさんの後を追っていった。
明日2話更新で終了でーす!




