恋愛ゲームの主人公、恋と花とイベント。11
散々ルルクさんにキスされた私‥。
朝からちょっと糖分高めなんですけど!?ルルクさんはしれーっとした顔で、準備をしているのが余計に腹が立つやら心臓が痛いやら‥。くそう、恋愛ゲームの主人公なのに翻弄されてばっかだ!いつか絶対やり返してやる。
復讐を密かに誓っていると、遠くからガラガラと馬車の音がした。
「丁度馬車が来たな」
「時間ぴったりですね」
ルルクさんが外を見たタイミングで、私はバレないように距離を取りつつそろそろと玄関まで歩き、急いで外へ出ようとすると、ガッと勢いよくルルクさんにドアを押さえられた。
「‥‥‥なんでこっそり行こうとするんだ」
「私の心臓の安寧の為です!!」
「一緒に外へ出たって問題ないだろ」
「さっきの行動に胸を当ててもらえます?!私は初心者なんですから、ああいう過剰なのは無理だって言ったじゃないですか!!」
「えーと、おはよう〜〜。二人とも朝から元気だな」
朝から言い合いをしていた我々を、馬車の運転席から声を掛けるウィリアさん‥。ひゃあぁああ!!会話聞かれてない?!聞かれてないよね??
「お、おはようございます!今日はよろしくお願いします!」
「うん、ま、元気ならいっか。馬車の方にもうシヴォンが乗ってるからお二人さん、そっちにどうぞ」
「あ、ありがとうございます」
ふーー、どうやらうまく誤魔化せたようだ。
ほっと額の汗を拭き、玄関の横に置いておいた荷物を持って馬車の方へ行くと、シヴォンさんが扉をあけてくれた。
「シヴォンさん、おはようございます」
「あ、ああ。おはよう。さ、席にどうぞ」
「はい!」
馬車へ乗り込めば、向かい合うように椅子が設置されていた。
えっと、奥の方に座っていいのかな?向かいに座るシヴォンさんに会釈をしつつ、椅子に座るとルルクさんが隣に座るが心臓がうるさい。主にさっきのキスのせいである。
そそっと奥へ詰めると、ルルクさんがドアを閉めてからまた私の方へ体を寄せてくる‥。
「ちょ、ルルクさん苦しいんですが?」
「ならもう少し真ん中に来ればいいだろ。なんでそんな奥へいくんだ」
「いや、それは、そのう‥」
「お前が大きいからだろ。ユキさん、もし狭いなら僕の隣に座っても構わないが‥」
「そうします!!」
パッとシヴォンさんの隣に座ると、慌てた様子で「せ、狭くはないか?」と聞いてくれた。流石恋愛ゲームの相手の一人。気遣いの人やぁ。「大丈夫です!」と、答えるとほっとしたように微笑まれた。
一方、向かいに座るルルクさん。
目には見えないが殺気を感じる‥‥。いやだって仕方ないやんか!
さっきめっちゃキスされて恥ずかしいから、ちょっと心臓をクールダウンさせたいんだよ!!そんな今から暗殺します!みたいな顔しないでくれ!
どうしたら良いものか‥と、思っていると、
「そういえばタリクから連絡が来て、今から行く町に腕利きの紋様士がいると話があったんだ」
「え?腕利きの?」
「なんでもあちこちで描いているそうで、ギルドで今回一緒に仕事をすることになるそうだ」
「そうなんですか?!うわ〜会うの楽しみだなぁ」
ふと、この間お婆ちゃんの手の甲に描かれていた紋様を思い出し、その人にこの間お婆ちゃんに描かれた紋様のこととか聞いたら、何かわかるかな‥と、思い付いた。聞いてみて知らなければそれでいい。とりあえず聞いてみるだけ聞いてみよう。
そう思ってから前を向けば、ちょっとぶすくれたルルクさんが目に入った。
あ、これは隣にいないから拗ねてる‥で、合ってるよね。
いかに私が恋愛初心者の主人公でもそれくらいはわかる。でもさ、朝からすんごいキスは勘弁して欲しい。首じゃなくて心臓が止まるから。
と、シヴォンさんがごそごそと自分のカバンから綺麗な包みを取り出しだ。
「ユキさん、実はアレスからお菓子を渡すよう頼まれてたんだ」
「え?!」
「先日のダルゴでのお礼だそうだ」
「すでに色々頂いてたのに‥。ありがとうございます!」
「僕からは、これを‥。その、いくつか良い鉱石を手に入れたんで」
「え?!いいんですか?」
「受け取ってもらえると嬉しい」
「ありがとうございます!大切に使いますね」
綺麗な包みに入ったお菓子と鉱石まで頂いてしまって、恐縮しきりだ。どんな鉱石かなぁ‥。できれば黄色、いや本当は金色でルルクさんの蝶を描いたらもっと綺麗かなぁって思ってるんだよね。
ルルクさんの手の甲で、馬車の揺れのせいかふわふわと飛んでいるような蝶を見ていたら、不意に睡魔が襲ってきて‥、どうやら私はスコンと馬車の中で爆睡したらしい‥。ふと目が覚めたらルルクさんの肩に寄りかかっていて、目を見開いた。
「あれ!?」
「‥‥よく眠ってたな」
さっきまでシヴォンさんの隣にいたのになんで?!と、目を丸くしたさ。一体いつの間に元の位置に戻っていたのだろう‥。
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