異世界修繕紀行
人間達が住まう土地より南にある四季から熱帯域、さらに南の未開の氷の国までが、異業種たちの居住地である
長命が多い彼らの暇つぶしが、誰がニンゲンを滅ぼせるか
という遊戯であり、今のところ、達成できたのは最古の劉王と呼ばれる人物だけであり、その者のせいで人間の国は1000年程、文明が遅れることとなった
いまもニンゲンたちができることは、わずかな穀物や魚介類の収穫、珍しい鉱石は全て異業種たちの国でしか採取できない
金貨銀貨の素材となる金銀が、無限に湧く泉もあるらしく
ニンゲンにとっては彼らは排除すべき邪魔者である
異業種にはどうやら耳の長い人型や、背の小さい体毛が濃い人型も含まれている
全て人間の敵である
何回も出てくるその言葉は、呪いのように紙面のどこかに必ず存在した
天久手は本を閉じた
村に戻った天久手達は、ここに来るきっかけの当人が、目的を告げぬまま爆睡しており、確認のため起床を待っている
ドリュースは先の戦闘の傷が癒えているものの、精神的攻撃の余波が残り、村の家を借りて休んでいる
ケンさんは、外の踊りのメインに飾られ、何か明滅するランプを巻かれて、発光していた
シンドウは、光る会場の中で、ジンを揺り起こしているが、
全く起きる気配がなく、怒鳴りながらガクガクと揺らし続けている
天久手は興味がないため、ここの文化を知るためにも本を借りたのだが、果実もどうやら人間の国では限られており、
桃は神の供物であり、魔の供物でもあるらしい
牛を解体して振る舞われる料理に舌鼓をうち、先程読んでいた本を思い起こす
「周辺の生態調査を行おうと思います」
天久手は起きてきたドリュース、解放されたケンさん、ジンを引きずったまま合流しているシンドウに今後の目的を説明した
真っ白の綺麗な遺跡が屋根が吹き飛び凄惨なことになっているという一文からの発案であるが。
「いいと思います。とりあえず西にある海の森付近とかどうっすか」
シンドウはタナトスバードの群れが人間に危害を及ぼさないか心配していた
「ええ案じゃと思うの。あそこは食べれるハーブが多いからの、お前さんたちどこに行くにしても調味料として保存するにええぞ。」
ドリュースは、タナトスバードの肝も調理すればいい酒のつまみになると、ニコニコしている
にしのうみのもり
実際に海は存在せず、淡水の湖が広がる広大な森
タナトスバードが多く生息して危険な為、滅多に人は近づくことはない
だが最近、その森に主と呼ばれる存在が住み着き、タナトスバード達が住処を追われているらしい
餌が豊富な森を追われてしまい、食べるものがなく街へと襲いにきたのが、先日の事件の真相ではないか
「何ナレーションしてんだよ」
いつのまにか起きているジンが、神妙な顔で解説しているところをシンドウが思い切りはたく
乾いた音が響く中、天久手はジッと上役を見つめる
「多分それ、もう死んでますね」
シンドウは冗談だと受け止め、肩をすくめて森へ行くための馬車の手配をしに、外へ出ていった
ドリュースも続いて出て行く
指摘された男は、どう見ても生きている様子で顔色も良い
だが、いっこうに起きる気配はない
「魂を抜かれているんですね、仕方ないです」
天久手は、クロを呼ぶと頭を撫で、シンドウ達を守るように言伝を指で描いて指示をした
クロの上で文字が金の冠のようにくるくるまわり、粉々になって消えていく
「お願いね」
それだけいうと天久手はそこからいなくなった




