北九州平定3
太宰少弐である少弐教頼、大友豊後守親綱と菊池肥後守持朝の間で開かれた戦さは膠着状態となり、双方決めてのないまま数日が過ぎた。
ある日の晩、菊池の陣を密かに訪れるものがいた。
「菊池殿にお会いしたい。吾は楠木正成の末裔にて、政秀と申す者、連れについては菊池殿に会ってご紹介したい。」
政秀のことはすぐに菊池持朝に伝えられた。
「なに!あの楠木正成公の末裔とな!
うーむ、合わずばなるまい。お通しせよ。」
政秀一行はすぐに菊池持朝の前に通された。
「楠木政秀でござる。こちらは、毛利備中守(煕元)殿、三好式部少輔(長之)殿、遊佐河内守(国助)殿。」
「なんと!御所様の武将達ではないか!もしや、あの噂は、そちらから流したものか?」
「いやいや、すまなかった。実は戦さを起こして背後から襲う気であったが、この楠木殿が菊池殿だけは、昔、南朝方として戦ったよしみで、お味方にして欲しいと頼まれてな。
戦さぶりを見させて頂き、我らも是非ともお味方になって欲しいと思って、こうして陣中に伺ったよし。菊池殿、なんとか御所様の新しき政の為にお味方下さらんか?」
「たしかに、少弐、大友と戦さを起こしてしまった今は、九州勢を一つとしてという当初の結びつきは、破綻してしまいましたが、あの島津を相手にするは、難儀ですぞ。」
「ということは、お味方してくださるということでござるか?」
「実は、御所様の新しき政については、早くから気にしていたところ。帝に対する態度も我ら菊池としては好意を寄せていたのでござる。
しかしながら、少弐、大友が近くにいて、我ら菊池だけが勝手に離反出来なかったからな。
丁度良い機会ではあった。
お味方いたす。
それで、これからいかに致せば良いかな?」
「我ら御所様方の兵の一部を菊池勢と合わせて、少弐、大友を攻め申す。
更に、背後から我らの兵が攻め寄せます。」
「単純な策だが、兵の多寡が、城攻めには有利。お任せ申す。」
翌日より、菊池、御所方が組んだ兵が、少弐、大友の籠る勢福寺城を攻め始めた。
あまりの多勢に少弐、大友軍は一方に兵力を集中させ、防戦したが、背後から御所方の兵が攻め寄せ、手薄な防御を打ち破り、城に乱入した。
もはやこれまでと観念した、少弐教頼、大友豊後守親綱は城を枕に討ち死に、御所方は菊池勢の手助けもあり、一気に北九州を手にした。




