25話:フォルマグラ鉱山都市
フォルマグラ鉱山都市……ここら辺の中では大きい部類の街で、フォルマグラ火山の麓に広がっている中規模都市だ。
門番に身分証の金属製のハンタープレートを見せ、おやっさんのが自分の身分証を出して街の中に入る。
ハンタープレートはそれなりに信頼性が高いのですんなりと中に入ることが出来た。
「とりあえず宿に行きましょ」
「あぁ、そうだな。荷物を置いたらそれぞれ自由行動って事でいいか?どうせ待ってる間暇だからな」
「えぇ、こっちはハンターズギルドに行ってくる」
「こっちは鍛冶屋にでも行ってくるとしようか」
適当な走竜を泊められる宿を取り、宿の者にチップを払って荷物を運び込んでもらう。
先ほどの打ち合わせ通りハンターズギルドへ向かう事にする。宿の者へ聞いて場所は把握していたので迷うことも無い。
しっかりと防具を着て、氷纏刃と未天の埋星を装備したフルセットだ。わざわざ装備している理由はハンターにとって装備は名刺であり履歴書となるからだ。
今まで倒してきたモンスターの履歴が目に見える形で現れ、依頼達成能力の指標になる。
ギルドはチェルム村の集会場とは比べるべくも無く大きい。ロビーはかなり広く、何人かハンターも見える。
「手練れがあまりいない?」
どうにも手練れのハンターは見えない。もしかすると他の場所へ遠征に出ているのかもしれない。
この辺りで見ないであろう俺の姿を観察している様で、多数の視線が刺さる。ひとまずそれらを無視して受付へと向かう。
「初めまして、依頼でこちらに来たので挨拶にきました。アルテイシアです」
「あぁ、外のハンターさんでしたか。どのような依頼ですか?」
「燃石塊の採掘及び同行者の護衛依頼です」
そう言った瞬間受付嬢は顔色を曇らせた。
「それは……難しいかもしれませんね」
「と、いいますと?」
「現在フォルマグラ火山は立ち入り禁止となっています」
「立ち入り禁止……毒ガスでも出てるんですか?」
「いえ、原因はモンスターです。ハンターの貴方だけなら問題ありませんが……」
俺だけか……いや、広大と聞いている地下空間で探すとなれば相応に時間がかかる。それも原因となっているモンスターを迂回しながらとなる。
「少々難しいですね」
「となれば狩猟されるのを待っていただくことになります。実は既に一度今街にいる中で一番腕の立つハンターへ依頼を出したのですが失敗してしまって……遠征に出ているハンターパーティーが戻るのを待ってもらうので……1週間程待ってもらう事になるかと」
それもまずい。1週間も待っていたら村は永久凍土になっているだろう。どう考えても手遅れだ。
「因みにその原因となっているモンスターは何ですか?」
「グラウマグナク別名溶鱗竜です。この火山においても頂点捕食者と言えるモンスターです。暴走している様で下層から出てきて暴れまわっている状態です。かなり危険な状態と言えるでしょう」
グラウマグナク一人前と言えるハンターでも手を焼くモンスターか……。
「分かりました。一度同行者と話してきます」
「分かりました。ハンタープレートを見た所仮免許の様子……賢明なご判断を」
「はい……」
宿へ戻り、少し経ってから帰って来たおやっさんと食事に出かけつつ情報共有をする。
近くにあった居酒屋で適当に飲み喰いをしている。
「うーむ……安酒だな」
エールを一気に煽りながらおやっさんはそうこぼす。
「あら、普段は良い酒飲んでるの?」
「ふん。何時もは自家製のを飲んどるわい」
「持って来ればよかったのに」
「積んどるわい、だが飲み屋行くのに酒持ってこれる」
「……秘密よ?」
おやっさんが飲み切ったジョッキを取り、ナイフで器の底に手早く紋様を刻み、手を切って血を垂らす。
「……移し替えてから飲んでみて」
「お、おう。おーい!もう一杯」
「あぁ、私も頂戴」
新しく来たエールを移し替えると量がおよそ半分となり、色や匂いにも変化がある。
「おぉ?半分になっちまったぞ」
「良いから、飲んでみて」
おやっさんが恐る恐る飲むと一瞬で表情が変わる。
「こいつは……火酒か?」
「一応そう。蒸留を変換や置換でやったの。本当に作るならその更に少なくなったと思うし。正式に錬金台でやったわけじゃないからロスも大きいし味も私基準ね」
「いや、十分だ。ありがとよ」
「じゃあ情報共有と行きましょうか」
「あぁ。万事うまくいったって感じじゃなさそうだな?」
「えぇ、火山は今モンスターが大暴れで立ち入り禁止。私だけなら可能だけどおやっさんは無理そう」
「ほぉーいつまで待てばいい?」
「1週間」
「村が観光名所になるな」
「龍災の地って?」
「まぁ……俺もあの村は隠居するのに気に入ってる。どうにかならねぇか?」
「原因を排除するしかないわね」
「排除すりゃいいじゃねぇか」
「……相手はベテランが手を焼くレベルの火竜よ」
「大型か……中型の上の方相手にヒイヒイ言ってるお嬢じゃなぁ」
「うるさい……」
「だが、そいつもある。防具も火に対して耐性があるだろう?相性の悪かったセンヒョウコウとは違う。何とかなるんじゃねぇの?」
一理あるが相手はかなり強い。相性差を差し引いても微妙だな。
「んー……やるしかないわね」
「そう言うこった。俺達には後がねぇんだ。やれる時にやれる事をするしかねぇ。それでダメだったらもう駄目よ」
「ありがと……」
「気にすんな。それに……火なら丁度いいだろ?倒して素材を持って来れば真龍へ挑む挑戦権になる」
「はぁ、それを言われたら挑まないわけにはいかないわね」
「じゃあ俺はそれを信じて工房を使えるように予約を取っとくよ」
「鉱人の技術をおいそれと流して良いの?」
「なーに使用料よ」
鉱人の技術以前に熟練の鍛冶屋の技術なんておいそれと流せない。その一端ですら値千金の価値となるはずだ。俺すら最初本当に見ていて良いのかと再三確認を取ったほどだ。
「……ありがとう」
「気にすんな」
そうと決まれば明日ギルドに行ってクエストを受けてこよう。
無駄に高度で無駄のない無駄な技術




