24話:野営
大きな揺れで目が覚めた。碌に舗装などされていない田舎道なので多少の揺れはあるがそれでも大きな物に当たったらしい。
結局あの後朝方までかかって装備は新造&進化した。流石に疲れた俺達は揃って竜車で眠りについた。
二人揃って寝袋に入って寝ていたがおやっさんも起きたようだ。だがただの揺れと判断したおやっさんはもう一度眠りに落ちて行った。
寝直すのも何だったので寝袋から出て体を起こす。
水を少し飲み、乾いていた喉を潤す。ついでにカップを取り出して作り置きしておいたコーヒーを淹れる。
燃石で保温していたのでまだ温かい。砂糖がさほど貴重品と言う訳でもないのでさほど気がれなく使える。最悪塩やそこら辺の土を錬金術で砂糖に変えるだけだ。
日の上り具合を見るに昼前と言った所か。少し空腹感があるが昼の休憩にはまだ早いのでドライフルーツを幾つか食べる程度に抑える。
コーヒーを飲み、吐息を寒空に吐く。
目的のフォルマグラ鉱山都市に向かうには一度野宿を挟むことになる。
この街道にも幾つか休憩のための広場があり、そこで休憩をすることになるだろう。
竜車に揺られ更に一時間程で一度食事の為休憩をとる。竈の近くで竜車を止め、八重を放しておく。
幾つかの食材や折り畳みの椅子を下ろし、竜車の上で寝ていた白蓮を起こす。おやっさんは疲れてるだろうし、まだ寝かせておこう。
竈の様子を見て問題なさそうなのでそのまま持って来ていた薪を入れておく。
「白蓮、火を」
『了解した』
メニューはどうするか……おやっさんは寝起きだし簡単なスープとパンで良いか。後は肉を一口大に切って串肉にして出せばいいか。
焚火に手鍋を置き、水を入れる。固形コンソメキューブを放り込んで、フリーズドライの葉野菜と濃い目のジャーキーを削って入れる。
ジャーキーは軽くあぶってから入れておこう。味見をし、塩を削って入れて味を調える。
肉は適当に鉄串に刺して焼く。白蓮と八重の分もあるので多めに作る。味付けはシンプルに塩胡椒で良いだろう。
料理が大体完成したところでおやっさんを起こす。寝袋を揺らし、声を掛ける。
「おやっさん、お昼よ。早くしないと白蓮が全部食べちゃうわよ」
『食べんぞ』
「……うむ。良い匂いがするな」
「スープと串肉を用意したわ」
「そうか、ありがとよ」
寝袋から出て来たおやっさんを椅子まで案内し、共に食事をとる。
保温程度に火の勢いを落としており、いつでも温かいものが食べられる。
串肉を1つ焼き鳥を食たべるように食べる。ジューシーな肉は噛み締める度に肉汁があるれて美味い。
スープも簡単な物だったが、中々の物だ。特にこの冷える中では特にうまく感じる。
「美味いな」
「それは良かった」
「にしても……村から大分離れたが多少マシになった程度で寒いな」
「夜には影響圏からある程度抜けると思うわ。指輪は殆どセシリアに渡して来ちゃったし」
「あぁ、あの寒くなくなるって指輪か」
「そう。でもあの指輪でも過信はできないけどね」
「何事にも過信はできんさ」
「それはそうね」
「装備の調子はどうだ?」
「今の所不調は無しね。双剣の方はまだ使ってないから何とも言えないけど」
進化が終わった防具一式は既に装備している。見た目の変化はさほど無いがしっかり性能は向上しており上位互換の物となっている。
「その装備だがな。普通にセンヒョウコウの素材だけで作った一式防具と比べたら一歩劣るな」
「……そうですか」
「だが、一概に悪いとも言えん。そいつはプラウレドンの力も引き継いでいる。センヒョウコウとプラウレドンのミックスと言った所か」
「正直な感想だけれど……このまま真龍に挑むのはきついわね」
「だろうな……だがちょうどいい。ついでに火山のモンスターでも狩って来ればいい、それでちゃんと進化が出来るだろう」
「ちょうど良いのが居ればそうしましょう」
その後、その場を片付けて再び竜車に戻って街道を進んだ。
おやっさんは再び眠りにつき、俺はその間適当に新しい武器や防具の確認をして時間を潰した。
新しい武器と防具は変わった性能をしておりそのテストをしておきたかったのだ。
「別に冷たくは無いわね……」
今俺の腕は氷の装甲に覆われていた。まるでセンヒョウコウが纏っていた氷の鎧のような物だ。
氷纏
これがすべての防具の装備スキルに増えていた。見た目にも多少の変化があり、分かりにくいがセンヒョウコウの青い甲殻が少しある。
氷纏は文字通り氷を纏う力だ。デフォルトで氷無し、少な目、多めにできる。俺の場合竜人族の力である程度形とかを変えられる。
「かなり便利ね……」
意識さえできれば瞬時に防御を固めて物理防御力や火と氷属性に対する耐性を得られる。
武器の方も防具に近い物だ。氷を生み出し、刃とする武器である。
名称:氷纏刃
分類:片手剣~両手剣
ランク:Ⅱ
装備スキル:氷鋭刃:双剣状態
飛氷斬:大剣状態
一見二対の刃のないロッドのような物だが強く握る事で溶けない氷が形成される。
二本を繋げるようにすることで1本の大剣に出来る。
氷原を統べし武の具現。
その一振りは氷の大地にて一切を斬り捨てる。
その二振りは氷の大地にて凍り付いた屍の山を築くだろう。
形状はデフォルトでショートソード/ロングソード。防具と同じで多少の形状変化が可能と言った所か。
ほぼ手入れの必要も無く無限に使えると言うのはかなりの魅力だ。雑に使えていい。
適時小休憩を挟み、装備のテストをしたり、起きたおやっさんと軽く話したり、八重をいたわる事数時間。
予定されていた休息場所へと到着した。夜の暗い中で移動するのはかなり危険な為、大人しく野営をする事となる。田舎道を真っ暗な中ライトもつけずに運転するような物だな。
少し離れた場所に少し大きな林がある。あそこから薪を調達できるだろう。
昼食の時と同じで近くの竈に火をおこし、食事を準備する。
白蓮と八重の分も必要なので多めに用意しなければならない。とは言え、白蓮が豚の様なモンスターを獲って来たのでそれをそのまま使わせてもらう。
「んー木を切って串を作って丸焼きにでもしましょうか」
「豪快だな……だが火が通らんだろ?」
「手足は切り落として……胴体はあの子たちにあげましょう。丸焼きを食べる時は焼けた表面をナイフで削って食べましょう。手持ちの調味料を使ってタレを作ってそれをかけて焼けば美味いと思うわ」
シュラスコの横版と言った所か。タレをかけて焼いた肉の焼けた所を削って食べる感じだな。
「ほぉ……いいな!早速やろう。手伝えることはあるか?」
「丸焼きの準備をお願い。焼く台と言うか……そう言うのってできる?」
「あぁ、なるほどな。できるぞ」
「じゃあ突き刺す木の棒は準備しておくから」
試し斬りにはちょうどいい。木を両断して串にして、残りは薪の足しにしよう。
近くの林へ歩いていき、手ごろな木を探す。毒のある種などあれば不味いので世界の小窓を活用する。
丁度良さそうな木を発見し、腰の新しい武器を繋げ1つの武器とする。溶けない氷が流線形の巨大な刃ととして現れる。
美しくもあるその大太刀と言える氷纏刃を両手で上段に構え、俺の胴体程の木に向かって一息で振り下ろす。
斜めに断ち切られたその木はこちら側には倒れず、安全に倒れた。木の一本程度なら環境破壊にはならないだろう。
用が済んだので氷を解除すると嘘のように氷が砕け、元の2つのロッドに戻る。
適当な太さ、長さの棒を数本切りだし、残りは薪分を除いて即席の錬金台で肥料に変えて撒く。ついでに薪の水分を抜いておく。
串にする棒を持ち、薪用の丸太を担ぎ野営地に戻る。
既に周囲の岩で作られた丸焼き台が作られており、火も移されていた。
「ただいま」
「おぉ、おかえり。で、どうよ?」
「不満なし。でも、ただの剣として使うなら黒鱗刃や未天の埋星の方が上ね」
「そらそうじゃろ。そいつは氷の力が強いからな。全部合わせて見れば違ってくるはずだ」
実際物理的な攻撃能力を数値化した際氷纏刃はさほど高い数値では無かった。しかし、氷属性としての効果があり切った対象を冷却する力がある。
先ほど斬った木も切断面は凍っており、氷属性の効果も十分な検証結果が得られた。
「話は料理の後にしましょ」
「あぁ、そうだな」
だがまぁ……こんな大きなの焼くなら調味料足りるかな。
名称:氷纏刃
分類:片手剣~両手剣
ランク:Ⅱ
物理攻撃力:80(+20)~160
属性攻撃力:40
装備スキル:氷鋭刃:双剣状態:刃同士で削る事で切れ味を上昇させる
飛氷斬:大剣状態:強く柄を握りながら振るう事で氷の刃を飛ばせる
一見二対の刃のないロッドのような物だが強く握る事で溶けない氷が形成される。
二本を繋げるようにすることで1本の大剣に出来る。
氷原を統べし武の具現。
その一振りは氷の大地にて一切を斬り捨てる。
その二振りは氷の大地にて凍り付いた屍の山を築くだろう。
プラウレウドン【氷纏】シリーズの平均スペック
ランク:Ⅱ
物理防御力:60(+15)
火属性防御力:10(+10)
氷属性防御力:20(+20)
雷属性防御力:10
光属性防御力:-10
装備スキル(変更分)
氷纏:解けない氷を纏い追加の装甲を纏ったり減らす事で機動力を上げることが出来る数値の後ろの()は氷纏の効果による追加防御力




