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20話『 動かなくなった刻(とき) 』


その昔、幼い頃ラグナは小さな村にいた。その村は小いさくとも人はそこそこの数いて賑わっていた。


「ねえお兄ちゃん!次どこ行くの?」


妹のリィナとの買い物の最中のラグナはその言葉に「うーんとねえ」とだけ返した。そして果物の絵が書いてある看板を見つけてそこを指差す。リィナは長い銀髪を後ろに下ろしていて煌びやかな宝石のような綺麗な眼をしている。


「私ね!私ね!早く大きくなってもお兄ちゃんと一緒にいたい!」

「そうか」

「お兄ちゃんのお嫁さんになるの!!」


そんな事をいうリィナをラグナは微笑ましく見ていた。


いつもの風景だった。なんの変哲のない平和な日常風景。


「やあ」

「今日も買い物かい?偉いねえ」


道ゆく人がそう声をかけてくれる。人口が少ないので街のほとんどがご近所さんぐらいの感覚だ。店に入り必要な肉などを数個を購入しお金を払う。そして外に出て家に戻うとした、そのときだった。


「ぐおおおおおおおおお!!」


突然響き渡る魔物の声。向こうでは大量の魔物が街を破壊し尽くしていた。民は逃げ惑うがなす術なく蹂躙されていく。ラグナも妹の手を引いてひたすら逃げていく。


魔軍侵攻(スタンピード)


ラグナはそう呟いた。100匹以上の魔物が勢いよく迫ってくる。街の人たちが逃げていく姿や無惨に食い散らかされる姿を見てリィナを連れて一目散に走り出す。


「お兄ちゃん!」

「大丈夫だ、俺が守ってやるからな!」


前からの魔物がやってきて、路地にうまく逃げ込む。リィナは「お兄ちゃん...怖い」と言いながら震えていた。


「大丈夫だ!俺が守ってやる!」

「うん!」


その時だった、後ろからクワガタのようなハサミを携えたムカデの魔物がラグナの後ろから迫ってくる。それを察知したリィナは勢いよくラグナを突き飛ばした。その結果、体に2本のハサミが突き刺さり、吐血する。


「リィナ!!!」

「お兄...ちゃん...逃げ...」

「お前を置いて逃げれるわけ!」

「はや...」

「ギュリァアアアアアアアア!!」


また魔物が大量にやってくる。今逃げればリィナが囮になってくれるだろう。だが妹を見捨てるなど...。


「逃げ...て!!お兄...ちゃん!!」



その迫真の言葉に後ろを向かラグナは走り出した。後ろで何が起こっているかを想像したくなかった。そこからラグナの(とき)は止まった。あるのは復讐だけだ。



「許さない...魔物は...絶対に!!この手で!!」


そう言って拳を握りしめる。ラグナは復讐の炎が燃え上がっていた。



「俺は魔物を絶対許さない全部ぶっ潰す!!」

「くっ!!」


セツナとラグナの攻防は続いていた。激しくぶつかり合いながらもお互いに隙をつきながらなんとか一撃づつ加えていく。


「消えろ!」


そう言いながら迫ってくるラグナの鉤爪の攻撃を仰け反りながら避けて剣を持ったまま手をそのまま後ろにつく。そして足を上げて手を払い腕を蹴り上げてそのまま体勢を立て直して両方の剣でラグナの腹を浅めに斬りつけた。


「ぐあっ!」

「どう?」

「ぐ...くそがぁ!!お前らは絶対に倒す!!絶対に絶対にぃ!!!」


そう言って何度も攻撃を仕掛けてくるが、セツナはそれを全部避ける。ラグナは感情的になり、攻撃がワンパターンになった事で少しばかり避けるのに余裕ができたのだ。


「がぁーっ!」


ラグナの攻撃を剣をクロスさせて防ぎ、また弾いたところの隙をつこうとしたがラグナは今度は蹴りをかましてくる。


「ぐっ!」


少し油断していたセツナは蹴りをもろにくらい少しうめく。その隙に腹に鉤爪を突き立て深く刺した。刺されたところから血を流しフラフラしつつもセツナはラグナの方を向く。


「まだ...絶対にアレは使わない...ここで...!」

「消えろぉ!」


吐血し、一撃を喰らったセツナの動きは少し鈍くなり身体中に鉤爪の攻撃を喰らう。爪痕が体に残りそこらじゅうから血が流れてくるが 竜天魔装(ドラゴ・アーム)を使う事はなかった。


「...?何笑ってやがる」


ボロボロになりながらもニヤリと笑うセツナに苛立ったようにそう尋ねる。そして片方の剣を捨て向かっていった。ラグナの鉤爪が胸のところに向かい、セツナは剣で避けるかと思いきやそのまま刺された。


「ぐがっ!」

「はっ!このまま抉り出して...っ!?」


セツナが片方の剣を捨てたのはラグナの腕を掴む為だった。鉤爪を刺した腕をガッチリと掴み離さない。


「くっ!」

「はあーーーーっ!!」


もう一方の剣に渾身の力を込めて勢いよく斬った。ラグナは「ぐああああああああ!!」と悲鳴をあげながら倒れた。それを聞いてセツナも刺されたところと口から血を大量に流しながら倒れた。


「やばい...死ぬかも...師匠...ごめん」


向こうから何やら足音が聞こえてくる。師匠かも..と霞む目で足音の方を見る。


「やあやあ!お疲れ様!!」


その声は今聞きたくなかった。なぜならその声はの主はシュンギルなのだから。


「シュン...ギル」

「退散するフリして見ていたよぉ!!」

「ぐ...!」

「さ、次は僕の番だねえ!」


動けないセツナはどうにもできない。


「さあどうしてあげようかな?どうやってこの恨みを晴らそうか」

「あんた...のは...逆恨み...」


それを聞いて倒れているセツナを蹴り上げた。蹴られたセツナは「うぐっ」という声と共に血が少し噴き出る。


「君みたいなバケモノを世に放っておけないと思って親切に君を辞めさせようと色々画策したんだけどなあ?」

「っ..!」


今までの行為はセツナの過去をしっていたうえで冒険者にいるとまたあのような事が起こると見越しての嫌がらせだったのだ。


「冒険者にバケモノは要らないからねえ。まあもう今は冒険者じゃないからどうでもいいけどねぇ」

「ぐっ」

「さあ、まずは四肢でも捥いで飾ってあげようかなあ!」

「やめ...」


その時だった。炎がシュンギルの方に飛んできてそれを避ける。その炎の飛んできた方向には2人の姿があった。セリとナズナだ。


「なんだい?君たちは」

「ちげーぞ!こいつが心配だからって言ったから!」

「何言ってんの?セリもめっちゃ心配してたでしょ?」


図星を突かれたのかセリは「う、うるせー!!」とだけ言った。


「君たち知り合いかい?」

「ええ、友達よ」

「友達...あーっはっはっはっはこれは傑作だねえ!こんなバケモノに!!」

「バケモノ!」

「ああ、君たちは知らないと思うけどこいつは街一つぶっ壊して人をいっぱい死なせたんだ!そして師匠もね!!」

「何それ」

「まじかよ..」


それを聞いて少し微妙な反応を見せる。おそらくもう一押しすればセツナなんて助けるに値しないと踏んだシュンギルは話を続ける。


「どうだい?そんな奴と友達だなんておかしいと思わないかい?思うだろう!?」

「何バカな事言ってんの?」

「は?」

「そんなものどうでもいいわ!いい?私たちはその程度で友達やめるほど薄情じゃないの」

「お前疾風のシュンギルとか持て囃されてたけど大したやつじゃないんだな。陰湿でねちっこい器の小さいやつだ。」


まさかの回答にシュンギルは「は???」と怒りをあらわにする。


「話によるとお前セツナを嵌めようとして失敗医したんだってな?それで逆恨みか?Aランクの名が泣くぜ!」

「これ以上セツナちゃんに何かするなら許さないから」


それを聞いて怒りが有頂天になりシュンギルの腕が青く肥大化してかなり大きくなった。その腕は人間というより化け物に近しい


「邪魔をするなら君たちから引き裂いてあげるよぉ...この悪魔教のシュンギル様に刻まれるんだから栄光に思いなよぉ?」

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